あなたのいるところ
夏のはじめを歩く並木道
見上げる午後の風が なぜだかまぶしい
あなたが後から図書館を出て
ひとつめの角を曲がったのを知ってる
振り向きたくても
させない
壊せない瞬間
こんなに怖がりな心をとがめないで
あなたのいるところを
いつも感じている
どんな気持ちも まだなじめないくらい
透明なやさしさにかなわずに
伝えられずにいるけど
ずっと好きでいさせて
昨日より濃くなった光の色
通り過ぎて見つめる あなたの残像
尾を引く初夏の鮮やかさのよう
今 あの角に戻っても届かない
声にならない言葉が
取り残されていく
揺れる人影の間で待ち続けてる
あなたのいるところが
いつも満ちるように
なにかできることがあればいいのに
こぼれそうな鼓動を閉じこめて
立ち尽くしているけど
ずっと好きでいさせて