センサーレス
街の中心部、買い物客で賑わうコンビニエンスストア。店員はスマホをいじりながら仕事をしていたが、知らないうちに何かが忍び寄っていることに気づいていなかった。スナック菓子や食べ物が舞い上がり、何の前触れもなくガラスを叩き割ってドアを通り抜けていく。ガラスが割れる音はするが、店内の人々はそれに気づかない。
スナック菓子を持った浅黒い肌の青年の姿が映し出された。周囲の誰も彼に気づかず、姿も見ていない。彼の名前はタツオ。他の少年とは違っていた。誰も彼の存在を感じ取ることができず、ほとんど生き物と呼べる存在ではなかった。また、赤ん坊の頃に家を出て行った放浪者でもあった。指紋認証機も、カメラも、警報装置さえも、彼の存在を感知することはできなかった。
「この汚らしい、汚らしい世界が本当に嫌だ」
タツオは心の声を吐き出した。
「人間こそが諸悪の根源だ。私は生まれたときから数え切れないほどの人間の悪を見てきた。赤ん坊の頃は歩くことも考えることもできたのに、母はそれに気づかず、父は私と離婚した。いじめ、殺人、脅迫、告発、その他人間の悪を象徴するあらゆる悪を見てきた。だからこそ、私は世界を滅ぼそうと企んでいるのだ。」
タツオは話が終わるとすぐに、キャンディーを一切れ破って食べた。
場面は警察署へと移る。そこにはイタチという名の警官が駐在している。
(電話が鳴る。)
「もしもし、警視庁です。」
(発信者の声)
「はい。」
(発信者の声)
「はい。コンビニで3つの商品が理由もなく紛失しました。それでは、徹底的に捜査します。以上です。」
イタチは電話を切った。
「また原因不明の紛失事件ですか?」
イタチの上司が口を開いた。
「はい、また原因不明の紛失事件です。よくあることです。不思議なのは、警報も鳴らなかったことです。犯人はどんな手口であんなにスムーズに盗んだのか、とても気になります。」
イタチは少し間を置いた。
「これは本当に珍しい事件です。」
署長が口を開いた。
タツオが犯罪を計画しながらぶらぶら歩いている場面に切り替わる。以前にも軽犯罪を犯したことはあったが、誰にも気づかれていなかった。突然、全く予想外の男が彼に声をかけた。
「やあ。」
男が挨拶すると、タツオは振り返って尋ねた。
「僕のことか?」
タツオが尋ねると、タツオは答えた。
「ああ、君のことだ。」
男はタツオと同じくらいの年齢で、陰気なタツオとは違って明るい雰囲気だった。
「急にメールしてごめん。あまりよく知らないし、ほとんど会ったこともないから、ちょっと挨拶したかったんだ」
男は言った。
「正気か? いきなりそんなメール送るなんて。誰も話したくないだろう」
タツオは声を上げて立ち去ろうとした。
「待って、待って。どうしても話したいんだ。ちょっと一緒に来てくれ」
男は言った。
「はあ、わかった」
それから、タツオの提案通り、二人は話せる場所を見つけた。
「それで、何を話したいんだ?」
タツオは言った。
「お名前を伺いたいのですが。」
男は言った。
「タツオといいます。」
タツオは尋ねた。
「お名前は?」
男は答えた。
「イバリ 巨樹こといいます。あなたがどんな人なのか、何を食べるのが好きなのか、あなたのことをすべて知りたいのです。」
それからタツオは尋ねた。
「どうしてそんなに私のことを知りたいの?」
イバリは答えた。
「君の中にも似たようなものがあると思う。」
タツオは尋ねた。
「どういう意味?」
イバリは答えた。
「ねえ、僕は明るく見えるけど、みんなの前ではそう見えるだけ。でも心の奥底では、全然幸せじゃなかったんだ。君に出会って、心を許せるようになってから。君の友達になりたい。どうか受け入れて!」
イバリは涙で目がいっぱいになりながら、懇願した。
「友達になってくれて嬉しいけど、僕はこの世界には向いてないんだ。生まれてこのかた、ずっと一人で生きてきて、たくさんの世界を見てきたけど、見てきたのはこの世の汚さと悪ばかり。そんな人たちを絶対に許さない。」
タツオが言い終わる前に、イバリは涙を浮かべながらタツオの両手を握り、大声で言った。
「もう君は一人じゃないんだ!!!!!!!!! 僕は君のそばにいるよ!!!!!! そして、もう一つ…そしてもう一つ… 人間はみんな悪い人じゃないんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!! 君がまだ見ていない良いものがたくさんあるんだ!!!!!! だから… だから!!!!!!!!! どうか僕を友達として受け入れてください…」
ショックを受けたタツオは答えた。
イバリはタツオを抱きしめ、泣きじゃくった。
場面はコンビニエンスストアに切り替わり、店員が言った。
「警察が来ました」
到着した二人の警官は、署長とイタチだった。
イタチは店員に尋ねた。
「防犯カメラはありますか?」
店員は答えた。
「はい、あります」
店員は二人を防犯カメラの映像があるコンピューター室に連れて行った。店員は事件当日、つまり今日の防犯カメラの映像を確認した。映像を確認しているうちに、イタチはあることに気づいた。
「一体これは何だ…」
イタチの上司は尋ねた。
「何だ?」
イタチは言った。
「何かが浮いているのが見える。」
イタチの上司は言った。
「でも、何も見えない。」
「俺もだ。」
イタチは、なぜ自分は見えるのに他の人は見えないのか疑問に思い始めた。これは、タツオが存在間の空間のルールを超えており、何の理由もなく物を見ることができるが、それを見る可能性が極めて低い人々を選んでいることを示していた。
一人散歩するタツオの姿が映る。
「イバリさんとは友達だけど、僕は自分の道も選んだ。人類を滅ぼす道だって。だって、僕は彼らを信じられない。でも、君だけは僕が信じて、友達でいられる。ごめん…本当にごめん。」
数年後、タツオはイバリを含め、世界全てを滅ぼした。残された決断はタツオとイタチだけだった。画面には、廃墟と化した街の中で、傷つき、乱れた姿のタツオとイタチの姿が映し出されていた。
「本当は、世界全てを殺したかったわけじゃない…だが、これはお前のような人間に俺を殺させる計画の一部だった…計画の一部だった…悪に満ちたこの残酷な世界が憎いから…死にたくなった…でも、死ぬことはできなかった…自殺することもできなかった…今でもイバリの顔は心の汚点として残っている…最悪の悪夢だ。」
(息を切らして)「タツオ…!!!!!! あんなにたくさんの人を殺したのに。お前は処刑されなければならない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「じゃあ…殺してみろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
そしてイタチはタツオの足を撃った。
「どうしたんだ? なんで撃たないんだよ!!!!!!!!! ちょっと励ましが必要みたいだ」
タツオはイタチの左肩に銃弾を放った。
「肩を撃ったのに、まだ撃たないのか。本当に腹立たしい!」
タツオはイタチに銃弾を放ち、イタチもようやく反撃したが、また間を置いた。
「どうしたんだ? なんで撃たないんだ!!!!!!!!!!!!!!」
タツオは激怒し、イタチを何度も撃ち殺した。タツオは倒れ込み、泣きながら叫んだ。
「殺して……誰か!!!!!!!!!殺して!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
終わり




