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男子校、恋愛未履修、恋の先生はAIです。  作者: なぐもん
第4章 好きを伝えるには、まだ怖くて
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第十八話 最強の恋敵!?謎のイケメン、その正体①

(……あの人、誰なんだろう)


振袖姿の椎名と並んで歩く、あの高身長のイケメン。

肩に手を添えるほど親密そうな距離感に、湊の頭は未だ混乱から抜け出せずにいた。


「……なあ湊。さっきから固まりすぎじゃね?」


隣で、要が眉をひそめて覗き込む。


「まさかとは思うけど──今のって椎名さんじゃないよな?」


「いや、本人だったと思う……」


ようやく口にした言葉も、どこか上の空だった。


「おいおい、あの男、マジで彼氏だったりしてな……って、湊!? 顔色やっば!」


「落ち着いて……! 佐倉くん……しっかりして……!」


陽翔と純が慌てて肩を支えるが、湊の目は遠くをさまよったままだ。


 


──そして、その瞬間。


 


《……我が主よ。》


頭の中に響いたのは、やけに落ち着いたAICOの声だった。


《状況は理解した。あの者──高身長、整った顔立ち、姫の隣に立つという事実……これは、明らかに“恋の障壁”の気配……!》


「……やっぱ、ライバルか?」


《ぬぅううう……! このタイミングで登場とは、物語的に強すぎるではないかァァァッ!》


「なんか、テンション上がってきたなコイツ……」


《仮説①──イケメン彼氏。仮説②──いとこのお兄さん。仮説③──実はAIの実体化。……どれも一長一短……!!》


「最後、絶対ちがう」


「っていうか湊、どうすんの? このまま黙って帰るとかナシだぞ?」


「……うん。……行く」


湊はゆっくりと足を前に出した。


「直接聞くしかない……あれが誰なのか。椎名さんが、誰と一緒にいるのか」


「よっしゃあ! 主人公ムーブ、キターーー!」


陽翔が無駄に盛り上がり、要がニヤニヤと湊の背中を叩く。


「マジで突撃すんのかよ……正月早々、修羅場だったらどうすんだ……?」


「がんばって……! ぼく、応援するよ……!」


《ゆけ、我が主よ! その目で真実を確かめるのだ──“恋の真偽”を暴くのは、勇者だけッ!》


湊は唇を引き結び、鳥居の奥へと進んでいく。

振袖姿の椎名瑠璃と、隣を歩くイケメン。その背中を、真っ直ぐに──。



勇気を振りしぼって、湊は一歩一歩その背中に近づいていった。

背中を押してくれるかのように、後ろには陽翔、要、純の姿もある。


「……椎名さん!」


呼びかけると、椎名がぱっと振り向いた。


「あっ、佐倉くん! 明けましておめでとう!こんなところで偶然だね!」


明るい声が返ってくる。

そして、その隣の男子が、静かに湊を見やった。


 


──視線が交差する。


途端に、湊の背筋に冷たいものが走った。


(……え?)


ファッション雑誌で見るような整った顔立ち。

だが、何より印象的だったのは──その瞳に宿る、露骨すぎる敵意。


 


「え、えっと……その、隣の人は……?」


湊が言い淀むと、椎名はにこっと笑って答えた。


「この子? 弟の葵だよ。中学三年生なの」


「中三……!?」


後ろの三人から、そろって驚愕の声が上がった。


「でけえ……!」


「てか顔整いすぎて、中学生に見えねえ……!」


「……貫禄が、すごい……」


身長は180cmはあるだろう。

黒髪はさらりと整い、着ている黒いチェスターコートまで様になっている。

何より──その整いすぎた顔で、睨むように湊を見ていた。


 


「──あなたが、佐倉湊さんですね?」


「……あ、はい。そうですけど……」


その瞬間だった。


 


「姉さんをたぶらかしている、というのはお前か──ッ!」


続く

読んでくださりありがとうございました!


今回のエピソード、実は当初ひとつの話に収めるつもりだったのですが……

葵くんの登場と、想像以上のシスコンパワーにより、文字数がとんでもないことに(笑)!


というわけで、前後編に分割してお届けすることにしました。


振袖の椎名さんにドキドキしたかと思えば、突如現れる“最強の恋敵”。

彼氏かと思ったら、まさかの弟──しかも、タチが悪い(笑)

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