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同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件  作者: 常陸之介寛浩★OVL5金賞受賞☆本能寺から始める信長との天下統一


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第四十三話 侵食ノ魔眼、妹領域(シスターフィールド)を穿つ

火曜日、放課後。


 下校中の商店街。


 俺はルナと一緒に歩いていた。




「ねぇ、真壁くん……なんで、家に連れてってるの?」




 斜め後ろから、妹・碧純の声が冷たく飛んできた。




「え、いや、違う違う。俺も急に言われて断れなくて――」




「“断れなかった”? ふーん……なるほど」




「わたしの観測によると、


 真壁くんは“押しに弱く、曖昧な好意を拒めない”傾向がある。分析済みよ」




 その言葉を発したのは――暁月ひより。


 なぜか商店街の自販機前でバッタリ出会ってしまったという不運。




 「貴様らの追跡スキル、なかなかのものだな……」


 と、ルナは不敵に笑った。




「だが、今日は絶対に譲らぬ。我が契約者との儀式は、“第三夜の満ち欠け”に合わせねばならぬゆえ」




「その“儀式”って、まさか……」




「“契約者の部屋で、共にカレーを食すこと”だ」




「ただの夕飯じゃねーか!!!」




 夕刻。




 俺の部屋。


 そしてダイニングには、四人の女の子。




碧純:家主にして正妻ポジ




明花:冷静な策士、常に分析モード




ひより:観察者からの参戦、微笑みの裏に怒気




ルナ:完全に中二病、でもなぜか可愛い




 俺は、**家庭内戦争の中心に置かれた“爆弾”**だった。




「じゃあ、いただきます――」




 カレーを食べ始めると、まずルナが一口目でうっとりとした表情になる。




「……このスパイス、まさしく“紅蓮の封印香”……真壁、貴様の調合、完璧だ」




「それ、市販のルーだけど!?」




 その隣で、碧純がピリピリとした表情でスプーンを握る。




 彼女の体からは、微かにバニラ系の柔軟剤の香りが立ち上っていた。


 風呂上がりなのか、うなじから漂う体臭が、生々しくて、どこか色っぽい。




 だが、本人の表情は静かな怒りそのものだった。




「……お兄ちゃん、ルナさんのカレー、もう二杯目?」




「いやその、あの、勝手に盛られて……!」




「ふふ……“自動追尾式おかわり術式”。避けられぬ定めだ」




 おかわりを魔法のように言うな!!!




 夕飯後。




 リビングでは――


 ルナ:「さあ、契約の続きを。貴様のベッドで“精神感応儀式”を行う」




 碧純:「……………」




 ひより:「“儀式”の名を借りた進入行動ね。真壁家、情報更新完了」




 明花:「……“家族”って、こんなにハードだったっけ」




 夜。




 俺の部屋でルナと二人きりになったとき、


 彼女がふと、トーンを落とした。




「……真壁。さっきは茶化したけど、


 私、ほんとに“この家に入りたかった”んだ」




「なんで?」




「だって……この部屋に入った女の子は、


 みんな、貴様のこと、真剣に好きになってしまうから」




 その目は――ふざけてるようで、


 でも、一滴の本音がにじんでいる気がした。




「……君も?」




「まだ、“なる途中”だよ。


 でも、たぶん、“最終段階ラストフェイズ”は近い」




 その夜、


 碧純は自室で、枕に顔を押し付けながら呟いた。




「……ここ、私の家なのに。


 なのに、なんで“侵入者”にドキドキしてるの……っ」




 枕カバーからは、昼間の汗とシャンプーが混ざった香りがわずかに残っていて、


 それがまた、やけにリアルで、悔しかった。




(つづく)

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