表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

企画・コンテスト応募作品

ルームメイトと恋心

作者: おおらり

「カイってさあ……オレのこと好きなの?」

「え?」


 スカイツリーのイルミネーションの下で。戻ってきたカイの手からハルは温かいカフェラテを受け取る。


「彼女と別れたてでクリスマスしんどいだろって、オレのこと連れ出してくれたけどさ。

 今日ずーっと嬉しそうなの、カイじゃない?」


 何と答えれば良いかわからず、カイは黙り込む。


「オレの好きなキャラクター知ってるし、昼ごはんはオムライスだったし、カフェラテは砂糖たっぷりだし」


「オレ、こんなにエスコートしてもらったのってはじめてだよ」


 ハルのやわらかな笑顔に、カイは頬を赤らめる。


「ハルは、俺の……ルームメイトだよ」

「……それだけ?」

「3年も一緒の部屋だったら、好みくらいわかる」


「でも、オレのこと大好きなんでしょ?」

「……まあ、」

 カイは目線をそらす。

「嫌いじゃ、ないけど」

 それからもう一度ハルを見た。

「おまえのこと、なぐさめたかっただけ」

「ありがとう」


 コーヒーを飲み終わると、ふたりとも体が幾分か温まっていた。それでも寒空の下、クリスマスマーケットを歩くと、指先がどんどん冷たくなっていく。


「クリスマスに男2人でスカイツリー、周りカップルだらけで気まずいんだろうな〜って思ったけれど……ここまで観光スポットだといろんな人がいて、なんも目立たないね。多国籍だし」


 ハルはドイツ製のくるみ割り人形を手にして眺め、棚に戻す。


「寒いし、恋人つなぎでもしてみる?」

「おまえ、ふざけすぎ。そんなんじゃないから」

 ふざけて手を繋ごうとしてきたハルの手を、カイは軽く払いのける。



 門限ぎりぎりで部屋に戻ってきて。

 ハルが寮のシャワー浴びに行った隙。カイはベッドに仰向けになり、ため息をつく。


 一年生のとき、はじめてハルを見て。好みの相手と同室になって焦った。しかしハルには彼女がいた、ずっと。

 だから、別れたと聞いて有頂天になった。でも『彼女と別れた』は決して『自分にもチャンスがある』という意味ではない。


(今日のハルには参ったな……)

 からかわれているだけだ、本気にしてはいけないと、カイは考える。

 卒業するまでは、この恋は秘密だ。




 ハルがシャワーから戻ってくると、カイは先に寝落ちしていた。

「あーあー シャワーも浴びないで」

 ハルは、カイの寝顔を眺める。

「カイは、ずるいな。なんで彼女と別れたか、知りたくないのかな?」

 ハルは、カイの髪をそっと触って笑う。


「責任、とれよなあ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ