第三章 魔女メリー
前回のあらすじ:前回の小説を読もう!
「魔女?私が?」
まるで意味が分からない。魔女はそもそも空想上の存在だ。現実の存在ではない。それに仮に私が魔女だとして、魔法が使えたことなんて一度もない。
「君が信じなくても、君が魔女だということには変わらないよ。教えてあげるよ、君のこと。」
「猫...あなたは一体、何者なの?」
「僕は猫さ。この館に、一番最初から住んでいるただの猫。」
「一番、最初から?」
「そう、最初から。僕は、君が産まれる瞬間からずっとを見ていたんだよ。」
「私は、ここで産まれたの?」
「そうだよ。」
「じゃあ、私のお父さんとお母さんはどこ?」
「いないよ。」
「じゃあ、どこかへ行ったの?」
「違う。最初からいないよ。少なくとも、君が想像しているようなお父さんやお母さんは。」
「教えて。どういうことなの?」
「もちろんだよ。最初からその予定だったからね。」
そうして猫は、語り出した。
「まず君は、この館が産み出した魔女という存在なんだ。人間のように、親から産まれたんじゃない。魔女という存在として、創られたんだ。この館にね。」
つまり猫がいうには、私の親は人ではなく、この館なのだ。
「君は、最初この館から出ようとした時、玄関の場所がすぐに分かったよね。」
「確か...そうだったわ。不思議と、知っていたの。」
「それは、所謂遺伝だよ。」
確かに、理屈としては成り立つ。何かの本に、子供は親や先祖の記憶を、遺伝として受け継ぐと書いてあった気がする。
「本当に私は、この館の娘なのね。」
あまり、理解できないけど。多分、そういうことなのだ。自分で言ってておかしくなりそう。
「でも猫。私より先にこの館に住んでたって言うのに、どうしてずっと私の前に現れなかったの?」
ずっと疑問に思っていた。この館には今私と猫しかいないはず。つまり、猫とずっと暇だったらということになる。それとも、猫には他に話し相手がいたのだろうか。
「それは、ちょっと言えないなぁ。」
「あら、どうして?」
「それより、僕の名前はメル。」
「あ、話を逸らした。」
露骨に話逸らしたよ?この猫。
「まぁまぁ、細かいことは気にせずいこうじゃないか、メリー。そんなことより、もう一つメリーに大事な話があるんだよ。」
「あら、何かしら?」
「メリー。君には、この館の地下に行く方法を見つけて欲しいんだ。」
この猫は、一体何を言っているのだろう。だって、この館に地下なんて存在しないのだ。
読んでいただきありがとうございました。
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続きが欲しいという要望が強ければ、僕が書きたいと思う限り続く可能性が高くなります。
この作品はフィクションです。