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第194話 城門前の戦い バルテリアVSプロメテウス

「さてと。それじゃあ景気よく行きますか!」


 バルテリアがポケットから小さい宝石を取り出す。


「収納魔石。どんな武器が飛び出すのやら」

「目ん玉かっぴらいてよく見ておけ。進化した技術ってやつをな!」


 宝石は巨大なガトリングへと変化し、大量の弾丸がプロメテウス向けて放たれる。その攻撃は巨大な蔦が地面から飛び出して防がれる。


「素晴らしい威力ですが、その程度で私は殺せません」


 彼が指を鳴らすと、何本もの蔦が飛び出して攻撃してくるが、バルテリアはその攻撃を躱して跳ぶ。そして、ブーツから炎が噴き出し、空中にそのまま留まっていた。 


「滞空する靴。聞いたことありませんよ」

「凄いだろ。このジェットブーツは。こんな風に空を飛べて便利なんだぜ」

「まるで野鳥ですね。叩き落としてあげますよ!」


 地面から巨大な蔦が何本も飛び出して襲いかかるが、バルテリアは巧みな飛行技術で網の目のように張り巡らされてる蔦の攻撃を全て躱していった。


「ちっ。ずいぶんとすばしっこいですね。これはどうですか」


 プロメテウスが指を鳴らすと、地面から筒のような形をした植物が飛び出す。筒からは緑の鳥が何匹も飛び出していく。ジェットブーツの出力を最大にして逃げ回るも、鳥の速度はそれ以上で、次第に距離が近づいてきていた。


「無駄です。その鳥たちは1度目にした獲物を絶対に逃がしません」

「そのようだな。ならばこいつだ」


 新たに宝石を取り出して鳥の方へ投げると、そこから強烈な冷気が放たれ、鳥たちは一瞬で凍ってしまい、次々と地面に墜落していった。


「なるほど。妙な武器ばかり持っているようですね」

「まだまだ色んなのがあるぜえ」


 彼はポケットから更に宝石をいくつも取り出し、それを空中に投げ捨てる。それらは外側に刃物の着いた円盤型の武器へと変化し、一斉に襲いかかってくる。


「無駄ですよ」


 その攻撃に対し、巨大な銀色の蔦が壁のように立ち塞がる。


「鋼鉄を遥かに超える硬度を持つアイアン・アイヴィー。どんな武器だろうと、切り裂くのは容易ではー!?」


 円盤はバターでも斬るかのように蔦を切り裂いて襲い掛かってくる。その攻撃を躱すも、円盤は追跡するかのように追ってくる。


「その防御こそ無駄だ。そんなチャチな防御や避け方ではどうにもならないんだよ」

「そのようですね。ならばこうしましょう」


 彼は手袋を外し、魔力を衝撃波のようにして解き放つ。その魔力に円盤が触れた瞬間、一斉に腐り落ちて墜落してしまった。


「ほお。二重魔術師(デュアル・マジシャン)かと思ったが、どうやらそれよりも希少な奴みたいだな。魔力に属性を持つタイプか」


 魔力は本来、魔術を使用するために使われるエネルギーであり、魔力自体には何らかの力を持つことはない。カーリーのような高度な魔力操作の技術を持つ者を除き、魔力だけで出来るのは衝撃波を飛ばしたりする程度である。

 しかし、この世には稀に何らかの属性がある魔力を持つ者も存在する。それが彼、プロメテウスなのだ。


「あらゆる物質を腐らせる魔力だよな。その力で俺のスピニングソーサラーを腐らせたというわけだ。色んな植物を生み出して成長させる魔術と物質を腐らせる魔力。ずいぶんと厄介なもんだね」

「……流石は審判者(ジャッジメント)。聡明な方ですね」 

「野郎に褒められても嬉しくねえんだよ!」



 バルテリアは新たな武器を宝石から生み出す。巨大な槍のようなものが3本ずつ両腕に装着されており、トリガースイッチが彼の手に握られている。 


「3連ブラスターミサイル。発射!」


 放たれた槍のような武器は瞬きする間も無くプロメテウスの眼前に迫るも、それは飛び出した植物の壁によって防がれてしまう。ミサイルが着弾して爆発を起こすも、蔦は燃えることなく完璧に防いだ。


「俺のミサイルでも燃えないとは。ずいぶんと頑丈な植物だな」

「ウォールツリー。高い耐火性能を持つ植物であり、マグマの中でも生息できるという仮説もあります」

「そりゃ、ずいぶんと驚きな植物だな!」


 彼は新たに宝石を取り出して投げつける。それは鉄のビー玉であり、プロメテウスめがけて飛んでいく。


「その程度のチャチな攻撃など」


 再び鋼鉄の蔦が現れ、ウォールツリーと共に屈強な壁となる。ビー玉が壁に触れた瞬間、瞬く間に巨大な剣へと成長して二重の壁を貫き、襲いかかってきた。


「なに!?」


 間一髪で躱そうとするも、肌が剣を掠め、少しだけ血を流してしまう。


「これは」

「やっぱりそういう魔力だったか。今のは魔力測定石。吸収した魔力に属性があるかどうかを測定する石で、属性に応じた反応をするのさ。といっても、俺が使ってるのは戦闘用に改良した特注品だがな」

「なるほど。だからあんなことに」

「おかしいと思ったんだよ。でかい植物をポンポン出す癖に魔力をほとんど消費した様子が無かった。だからさっきの石で試してみたが、ビンゴだったようだ。お前の魔力は物質を腐らせるのではなく成長させる魔力だろ。お前が少ない魔力消費でポンポン巨大な植物を出せたのは、成長の属性あってこそというわけだ」

「面白い推理ですね。ならば、あなたの武器を腐らせたことはどう説明しますか? 成長することがどう腐ることにつながると?」


 プロメテウスは先端が燃えた蔦を何本も出し、それで攻撃しながら問いかける。バルテリアもその攻撃を避けながら答えた。


「物質の成長には限界がある。それを超えれば後は腐り落ちるだけ。花と同じようなもんだな。お前が異常なほどに物質を成長させたことで、俺の武器を腐らせたんだろ」

「ふふ。本当に厄介な存在ですね。審判者(ジャッジメント)というのは」


 プロメテウスが魔力の衝撃波を何発も放つも、それはジェットブーツですぐに避けられてしまう。


「危ねえな。こんな所から墜落したら死んじまうだろうが」

「殺すために戦ってるのですから、その程度のことは当たり前でしょう」

「ご尤もだな!」


 何発も放たれる魔力の衝撃波を避けていきながら、バルテリアは鉄の何十発もの鉄のビー玉を放つ。


「同じ手はくらいませんよ!」


 地面から大砲のような形をした植物がいくつも現れ、そこから紫色の液体を砲弾のように無数に放つ。それらが玉に触れると、一瞬で溶かし尽くしてしまった。


「やるねえ。手数が豊富だし、それを適切に扱う技術と頭脳。今まで戦ってきた敵の中でも結構な強さだ」

「お褒めにあずかり光栄です」

「だからこそ気になるんだよな。お前はなんのために戦うんだ。あのカーリーとかいう女に従って、お前は何を成し遂げたいんだ?」

「人に物を聞くなら、その上から目線をやめてほしいですね」


 彼がそう言った瞬間、バルテリアの足を何かが引っ張る。


「!? なんだ」

「成長させるのが大変でしたが、ようやく捕まえましたよ」


 周囲を見渡しても、誰が何をしているのかは分からなかったので、特殊なゴーグルを装着する。それは肉眼で捕らえることのできない物を視認出来る装置であり、それによって足を引っ張ってる者の正体を把握できた。


「これは……植物の蔓か?」


 足を引っ張っていたのは透明な極細の糸のような蔓だった。その見た目に反してとてつもない力を持っており、ジェットブーツの力を最大限使っても引きちぎることが出来なかった。


「くっ。なんつうパワーだよ」

「捕縛草。透明な蔦で相手を捕らえ、生命を吸いつくす植物です。そろそろ下に落ちてもらいましょうか!」


 プロメテウスがそう言うと、透明な蔦はバルテリアをそのまま引っ張り、地面に叩き落とした。


「がっ!? この野郎」


 彼が赤いボールを蔦に向けて投げつける。ボールは蔦に触れた瞬間に炎を噴き出して爆発し、蔦を焼きちぎった。


「たく。厄介なもんだねえ」

「先ほどの質問ですが、私は人類を強くし、人間中心の世界を作るのが目的です。そして、その先にある人類の姿を見たいのですよ。力に溺れて腐り落ち、悪人となるのか、あるいは大義を持ち続け、人を導く聖人となるのか。聖人と悪人の違いは何なのかを知りたいのです。そういう意味では、あなたやカイツ、ニーアのような人間は大変興味深い存在なのですよ。六神王に匹敵する力を持つあなたたちと私たちヴァルキュリア家。その違いは何なのでしょうね」

「分からないなら教えてやるよ。百合を守るという大義の素晴らしさ、お前たちヴァルキュリア家の愚かさをな!」

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