表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
186/236

第184話 決着! 2人の思い

 side カイツ


 マリネは巨大な氷の刃を手に、静かに動く時を待っていた。次の一撃で全てが決まる。神経を張り巡らせていると、彼女が話しかける。


「カイツ。貴様はなぜ弱者の虐げられない世界を作りたい?」


作りたい理由。そんなのあの時から決まっている。全てを失い、ミカエルと契約したあの日から。


「テルネのためだ。俺が馬鹿だったせいで、彼女を殺してしまった。だから、その償いのために彼女の理想を叶えると決めた。それに、テルネたちみたいな人間が生まれるのも、ヴァルキュリア家みたいな奴らが好き勝手暴れるのも気に喰わない。弱いというだけで虐げられ、強いというだけで支配者気取りで人々を弄ぶ。かと思えば、弱い奴らがその立場を利用して強者を痛めつける。そんな腐ったものを良しとする世界なんざ、ぶっ壊して作り変える」

「……そうか。お前も考えなしで妹の真似事をしてるわけではないようだな。不思議な気分だよ。少し前までは憎しみしか無かったというのに、今はそれ以外の思いも湧いている。だが」


 彼女は更に魔力を上げ、刃は青く光り輝く。


「私の為すべきことは変わらない。貴様を殺し、テルネへの手向けとする」

「来い!」

「うおおおおおお!」


 彼女は紅い翼を巨大化させ、一気に接近して刃を振りかざす。


「剣舞・神羅龍炎剣!」


 巨大な光の剣を生み出し、その攻撃を迎え撃つ。


「なんて威力だ。だがこの攻撃なら」

「まだだああ!」


 刃の魔力は更に強い輝きを増し、冷気も強くなっていき、俺もそれに対抗するように剣にさらなる魔力を流し込んで威力を上げていく。


「お前は。ここで止める!」

「止められるものなら止めてみろ!」


 強い魔力のぶつかりあいが嵐のような突風を生み出し、地を抉り、今にも吹き飛ばされそうだ。


「ぐう。私の攻撃をここまで受け止めるとは。だが」


 ピシっと音が鳴り、俺の剣にヒビが入る。それだけでなく、俺の体も凍り付き始めていた。流石にここまでの冷気となると、龍炎波動の鎧でも防ぎきれないようだ。


「終わりだ。氷の棺で罪を懺悔して眠れ」

「終わるかああああ!」


 俺は凍り付く体も構わずにさらに力を込める。剣のヒビが大きくなっていくが、確実に押し込めていた。


「馬鹿な。そんな体の……どこからこれだけの力を」

「これが俺の思い。俺の覚悟の強さだあああ!」


 剣に最大の膂力を込めると、奴の天誅は真っ二つに折れた。しかし、俺の剣、デュランダルは粉々に砕け散ってしまった。


「私の天誅を砕くとは。だが、貴様にもう武器はない!」


 奴は冷気を集中させて折れた刀の先から氷の刃を作り、斬りかかってくる。俺は魔術で紅い光の剣を作って受け止めるも、即座に砕かれてしまった。


「ぐっ!?」

「今更その程度の付け焼刃で何とかなると思ったか!」


 彼女は上段から剣を振るってくる。俺はその攻撃を白刃取りで受け止める。触れた直後に両手の感覚が一瞬でなくなってしまうが、攻撃は受けとめられた。


「馬鹿な。私の刀を」

「せっかくだ。こいつを喰らわせてやるよ」


 俺は周囲に何十もの紅い球体を生み出した。


「剣舞・五月雨龍炎弾!」


 一斉に爆破させ、視界が爆炎と黒煙に包まれる。だが手ごたえは感じられない。黒煙を風で吹き飛ばすと、奴は脱出していたようで少し離れており、ダメージはほとんどなかった。彼女の周りに妙な気配を感じる。恐らく、幽霊を鎧のように展開して攻撃をしのいだのだろう。だがそれも想定内。


「六聖天 脚部集中! そして風よ!」


 紅い光の剣を2本生み出した後、六聖天の力を足に集中させる。同時に風の力も使い、今までにないスピードで飛び出すも、柔らかく、見えない壁にぶつかってしまい、動きを止められてしまった。


「ぐっ!?」


 しまった。あいつ、俺の動きを先読みして幽霊の壁を配置してたのか。


「終わりだ!」


 奴は居合の体勢を取り、一気に接近して俺の体を切り裂いた


「ぐあ……」

「ここまでのようだな。お前の覚悟の強さは分かったが、それでも私に届くことーー!?」

「勝手に殺すなよ。付け焼刃でどうにもならないのはお前も同じだ」


 わけではなく、氷で作った部分が溶けてなくなっていた。体を纏っていた龍烙波動を一か所に集中させて熱の温度を上げ、氷の刃を溶かしたのだ。

 一か所に集中させたせいで体に霜が降り始めてるが、その程度で済んでおり、動きも問題ない。予想通り、天誅が折れたせいで辺りの冷気が弱くなっているみたいだ。


「ちっ。だがこの程度で!」


 彼女が腕を伸ばし、何かをしようとする前に一気に距離を詰める。


「はや!?」

「うおおおおお!」


 俺は2本の光の剣で彼女を十字に斬り裂く。しかし、剣が奴に届いた感触はなかった。この感じ。幽霊を鎧のように展開して攻撃を防御したのだろう。


「残念だったな。あと一歩届かなかった」

「いや、届いたさ。受け取れ。剣舞・絶龍怨嗟! 爆龍十字!」

「!? これは」


 俺が流し込んだ魔力が輝き、その光のおかげでぶくぶくと膨れ上がっていく幽霊が見えた。その直後に大爆発が俺たちを包み込む。絶龍怨嗟と爆龍十字の二重爆撃。かなりのダメージになってるはずだが。

 そう思った瞬間、黒煙からマリネが現れ、彼女の攻撃を光の剣で受け止めるも、即座に砕かれて姿勢を崩されてしまった。絶龍怨嗟のダメージは見られない。恐らく、幽霊に魂を移して攻撃を回避したのだろう。


「くっ。なんてパワーだ。まだこんな力を残してたとはな」

「私は……負けられないんだあああああ!」


 突き刺そうとする攻撃を俺は素手で受け止める。当然、刀が手を貫通するも、動きを止めることが出来た。


「俺だって……負けられないんだよ。テルネのためにも、世界を変えるためにも!」


 俺は刺さっていない方の腕に魔力を集中させる。まだ幽霊に魂を移すためのインターバルは終わってない。ここで決める。


「魔力解放 剣舞・神羅龍炎槍!」


 地面を蹴り、俺自身が巨大な炎の剣となって奴を貫き、ただ一直線に進んで行った。炎は巨大な龍の姿となり、灼熱の炎が彼女の体を焼いていく。


「ぐあっ……がああああああ!?」

「うおおおおおおおお!」

「このお……負けるかあああ!」


 巨大な炎はマリネの体を焼いていき、刺さっていた天誅もヒビが大きくなり始めた。しかし、その状態でも彼女は俺の体の中に霊を入れ、心臓を握りつぶそうとしてくる。


「ごはっ……ぐう……これで終わりだああああああ!」


 血を吐いても勢いを殺さず、俺は城の地下の壁に突っ込んだ。巨大な大爆発、舞い上がる土煙と黒煙、激突したマリネの周辺は、まるで隕石がぶつかったかのように巨大なクレーターとなり、彼女はその中で倒れていた。完全に意識を失ってるようで、もう起き上がる気配はない。


「はあ、はあ。やっと……倒れた……か」


 戦いが終わったことに安堵したのか、体から力が抜け、その場に倒れこんでしまう。


「くそ……受けたダメージが、大きすぎた……か。これは……しばらく動け……ないな」


 その言葉の最後、俺の意識は完全に途絶えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ