表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/236

第150話 六神王強襲!

 side ニーア


「くそ。いきなりえげつないことをしてくるな」


 私はドーム状に魔法陣を展開した。落ちてくる瓦礫は魔法陣に触れた直後に次々と消滅していく。周りは酷いことになっていた。壁があちこちボロボロになり、瓦礫に潰された団員も何人かいる。


「流石は右腕の妹というべきか。凄い力だな」


 ラルカが感心したように言う。近くにいたから、運よく私の魔法陣の中に入れたようだ。彼女が瓦礫に潰されなくて良かったと思ったよ。


「それにしても、これは一体何なのだ。いきなり建物が崩落してきたが」

「妙なタイミングで攻められたものだな」


 魔法陣を解除して周りを見ると、土煙の中から何十体もの化け物が現れた。真っ白な体に球体の肘や膝。ヴァルキュリア家にいたときに何度も見た化け物だ。


「なっ!? あいつらは」

偽熾天使(フラウド・セラフィム)。あいつらがいるということは」

「やあイシス。数時間ぶりですねえ」

「よおイシス! 久しぶりだな!」


 大量の偽熾天使(フラウド・セラフィム)と共に現れた2人の人間。1人はスーツ姿の茶髪の男、プロメテウスだった。


「プロメテウス」

「元気そうですねイシス。いやー驚きましたよ。本部に帰ったらすぐにノース支部に襲撃することになったのですから。ドタバタして焦っちゃいました」


 もう1人は日焼けした男。顔には黒のサングラスをかけており、アロハシャツに短パンと私が嫌いそうな雰囲気を出しまくっていた。ラルカはその男を強く睨み付ける。


「あいつは」

「おや。そこにいるのはラルカじゃないか。久しぶりだなあ。元気にしてたか? 体はもう大丈夫なようだな」

「まあな。我の威信にかけて、今回こそ貴様を叩き潰してやる!」

「威勢は良いが、お前じゃ俺を満足させることはできねえよ」


 その言葉にラルカが更に目をとがらせる。どうやら、彼女は奴に対して因縁があるようだ。それにしても気になることがある。


「貴様ら、一体どうやってこの場所を」

「知りたければ、私たちを倒すことです」

「その通りだ。プロメテウスを倒し、俺を満足させられたら教えてやるよ」

「お前らか。美しい花を傷つける外道ってのは」


 横を振り向くと、バルテリアとダレスが無傷で土煙の中から現れた。


「無事だったのか」

「あの程度の瓦礫なんざ余裕で防げるさ」

「あっはっはっは! いやー面白かったよ。バルテリアの魔術というかパワーというか。初めて見るものばかりで楽しかった。それにしても、随分強そうな奴らがいるねえ。ワクワクチキチキしてきたよ」


 ダレスが何を言ってるかよく分からないが、そのことは後で追求するとしよう。


「バルテリア。周りの天使たちをどうにかしてくれ。スーツ男とアロハ男は私が倒す」

「そう言うと思って、もう終わらせてるよ」


 奴が指を鳴らすと、偽熾天使(フラウド・セラフィム)たちが胸を抑え、苦しみ始めた。


「Aaa……aaaa!?」

「!? これは」

「Aaaaaa!?」


 奴らは悲痛な叫びをあげ、体が風船のように膨らんて破裂し、粉々になっていった。


「とりあえず、ざっとこんなもんだな」

「すごい! 天使たちをあっという間に粉々にしちゃったよ! こんな魔術は初めて見た!」


 ダレスはキラキラした目で褒めちぎっているが、その気持ちは分かる。触ってもいないのに偽熾天使(フラウド・セラフィム)たちをあっという間に全滅させた。一体どういう魔術を使ったんだ。


「ふむ。流石は審判者(ジャッジメント)というべきですか。一国の軍隊を超える力を持つ存在。一筋縄では行きませんね」

「この程度の雑魚どもならどうとでもなるんだよ」

「ふむ。イシスとあなたを同時に相手するのは骨が折れそうですね。もう片方の相方にも手伝ってもらいましょうか」

「もう片方だと?」


 私が疑問を持った瞬間、後ろの方で爆発の音が小さく響いた。それと同時に煙が少しばかりこっちに来る。それだけでなく、六神王クラスの魔力と気配を感じた。


「おいおい。花の集まるノース支部でずいぶんなことしてくれるなあ。このクソ野郎が」

「爆発。だがノース支部の入り口は前しかないはずだぞ。一体どうやって忍び込んだ?」

「ふふふ。うちの仲間には、入り口を無視して侵入できる便利な奴がいるんですよ。さあどうします? 私たちだけを相手する余裕はありませんよ?」

「ちっ。嫌なことしてくれるねえ」

「バルテリア。お前がダレスとラルカを連れて後ろにいる敵を対処しろ。奴らは私がなんとかする」

「待て。あのアロハシャツは我が倒すぞ。奴には借りがあるんだ!」

「酷なことを言うが、お前では奴に勝てないぞ」

「知るか! 一度やられた敵から逃げるなど、我のプライドが許さぬ!」

「……はあ。好きにしろ。足手まといは見捨てるからな」


 奴の意思は固いみたいだし、私が何を言っても無駄だと判断した。


「了解。気を付けなよ。ラルカちゃん、ニーアちゃん。行くよ、ダレスちゃん」

「むう。こっちも楽しそうだけど、ニーアの指示に従うとするよ。頑張ってね~」


 バルテリアとダレスはそう言って爆発のした方へ飛んでいった。


「さて。騎士団の人間は出来るだけ殺すよう言われてますし、そろそろ始めますか」

「よーし、行くぞおおお!」


 プロメテウスたちがこっちに向かって来ようとした瞬間。


「残念だが、勝負はもう終わっている!」


 ラルカが手を突き出すと、地面から飛び出した鎖が奴らの体を雁字搦めに縛り上げる。その鎖の量は非常に多く、奴らの体が鎖で見えなくなるほどだった。


「魔封じの鎖。これで魔術の発動は封じた」

「ぐぬう。あの時よりも強く縛り上げてるな。なんて奴だ」

「ついでにこれもプレゼントしてやる!」


 彼女がそう言うと、先端が槍のように尖った鎖が敵の頭を刺し貫いた。


「これで死んだとは思ってないが、動きは止めれた。ニーア!」

「ナイスアシストだ。崩衝時雨!」


 上空に緑色の巨大な魔法陣が出現し、そこから緑色のレーザーが降り注いだ。それはプロメテウスたち諸共大地を抉った。


「さて。これで片付いてるなら良いんだが」

「残念ですが、この程度で片付くほど、私たちは弱くありませんよ」


 声のした方を振り返ると、奴らは無傷でぴんぴんしていた。分かってはいたが、あの程度の鎖では数秒も拘束できなかった。


「その通り! 我ら六神王はこの程度でやられはしない!」


 穴のした方から声がしたかと思えば、ヘラクレスが穴の中から飛び出してきた。多少の火傷は負ってるが、ダメージは無いに等しいだろう。


「ひゅう! 流石はイシスだな。今の攻撃は最高に気持ち良かったぜ」

「私の攻撃をまともに喰らってその程度とはな。相変わらずの耐久力だな」

「くそ。相変わらずあいつは化け物だな。にしてもあのスーツ男は、どうやって我の鎖をほどいたのだ!」

「事前に策を打ってたんだよ。プロメテウスはお前が鎖を出すのを分かってた」

「馬鹿な。我のしようとしたことが分かっていたというのか?」

「イシスの言う通りです。ヘラクレスからの情報であなたのことは知ってましたし、不意打ちのように鎖を出すのは分かってましたから、それで縛られる前に、少しばかり細工をしたのです」

「そんなことできるはずがない。魔封じの鎖はあらゆる魔術を無力化するのだぞ」

「魔術は無力化出来ても、魔力は無力化出来ないでしょう? 私の魔力は少し特殊でしてね。こんなことが出来るのですよ」


 プロメテウスが指を鳴らすと、周囲の地面から巨大な口のある植物が飛び出してきた。


「ぎゃあああああ!? なんだあれええええ!」

「食虫……いや、食人植物だな。だがあの程度なら」

「こっちもいることを忘れるなよ!」


 食人植物が前方から、ヘラクレスが後方から襲い掛かって来る。


「めんどくさいな。崩衝波動(ほうしょうはどう)!」


 私の周囲から消滅の力を纏った衝撃波が飛び出し、食人植物を消し飛ばしてアレスをふっ飛ばした。


「ぬおおおおお!?」


 奴は間抜けな声を出しながら壁に叩きつけられたが、そこまでのダメージは無いようだった。


「ぬうううう! 最高だ。流石はイシスだな。もっと俺を満足させてくれよ。耐久を耐久して耐久せよ。我こそは力の悪魔。全てを破壊し、ねじ伏せる。存分に泣け。喚け。絶望しろ!」


 奴の赤い左目が強い輝きを放ち、ヒビのような模様が腕まで広がる。


「ふふふ。全力全開だあ!」

「ほお。ならば私も全力で行きましょう。成長を成長して成長しなさい。我こそは緑の悪魔。古きものを破壊し、新しきものを創造する。存分に泣け。喚け。絶望しなさい!」


 プロメテウスの赤い左目も輝き、ヘラクレスと同じようにヒビのような模様が腕まで広がり、4枚の黒い翼が生える。


「さあ。行きますよ!」


 奴が指を鳴らすと、背後から巨大な植物の巨人が床をぶち壊しながら姿を現した。


「おっと。こいつが出たのなら、俺は下がらないと危険だな」


 ダレスは自分が邪魔になると判断したのか、上の階に避難した。


「ひええええ!? なんだあの化け物はああああ!?」

「ちっ。面倒な奴を出しやがって」

「さあ行きなさい。我が僕よ!」


 巨人が拳を振り上げ、私たちの方に降り下ろしてきた。


「ラルカ、避けろ!」

「言われるまでもない!」


 私たちは巨人の攻撃を飛んで避け、左右に散る。


「くそ。でかいだけで我に勝てると思うな!」


 ラルカが両手から大量の鎖を出し、植物の巨人を縛り上げる。


「おっと。それは判断ミスですよ」

「! ラルカ、その鎖を捨てろ!」


 巨人を縛っていた鎖が突然腐りだし、それに気づいた彼女は咄嗟に鎖を千切って被害を免れた。


「ふふふ。そいつはただでかいだけの存在ではありません。迂闊に攻撃すると痛い目見ますよ」

「ちっ。面倒なことを」

「ふむ。アレスから聞いた話では、あなたは思い通りの鎖を出せると聞きましたが、そこまで便利なものではないようですね」

「喧しい。条件があったとしても、貴様のような奴に喋りはしない!」


分かっていたことだが、ラルカの鎖はほとんど効果なしか。


「ならこれはどうだ。崩衝連弾!」


 いくつもの魔法陣から緑色のレーザーが放たれ、巨人に向かっていく。しかし、それらの攻撃は弾かれてしまった。


「なに!?」

「はははは! 残念ですが、巨人は私の魔力をたっぷり練り込んでますので、熾天使(セラフィム)の力には強い耐性がありますよ」

「なら、もっと強い一撃をぶちこむだけだ。破壊を破壊して破壊しろ。破滅を破滅して破滅しろ。滅亡を滅亡して滅亡しろ。我は闇を消しさり、楽園をもたらす天使なり!」


 私の腕にヒビのような模様が入り、両目が赤く輝く。背中からは3対6枚の黒い翼が生えた。私の放出する魔力のせいで、足元の床にヒビが入る。


「……なんという魔力。右腕の妹はとんでもない化け物だな」

「ふふ。それがあなたの全力ですか。面白い。行け僕よ! 奴を叩き潰せ!」


 奴の命令に従い、巨人がこちらに攻撃してくる。


「邪魔だ。崩衝魔槍(ほうしょうまそう)!」


 右手に巨大な消滅の槍を作り出し、それを奴に向けて放つ。それは支部の壁諸共奴の上半身を消し貫いた。この状態になると余計な被害を生み出してしまうが、支部の状況もどんどん酷くなってるし、プロメテウスたちを倒すためにもそんなこと言ってる余裕がなかった。


「おっと。あなた対策のために造った巨人なのに、こんな簡単に消し飛ばされるとは」

「はっはっはっは! 面白いぞイシス!」


 ヘラクレスが高笑いしながらこちらに飛び降りて来た。


「その状態のお前は最高に満足できそうだ! さあ戦おう!」


 奴が構えに入ると同時に、私は奴の隣を通り過ぎ、魔術で作った剣で四肢を切り落し、体を真っ二つにした。


「悪いが、この状態になったからにはチンタラしてられないんだ」

「!? なんだあのスピードは!」

「ほお。流石ですね。でもその程度では、ヘラクレスは死にませんよ」


 斬った奴の四肢と上半身がくっついた。ここまでの再生力は天使ではなくゾンビだな。だが。


「この一撃はどうだ?」


 私が指を鳴らすと、斬った箇所が緑色の光に包まれ、四肢と上半身が消し飛んだ。


崩衝滅殺(ほうしょうめっさつ)。思い付きでやったが、意外と上手くいったな。後は貴様だけだ」


 奴の元まで一瞬で詰め寄って斬りかかるも、奴はその攻撃を翼を纏った腕で防御した。


「ふふふ。これは凄まじいパワーですね。しかし」


 奴が笑みを浮かべると、私の持っていた剣が一瞬で消えてしまった。


「これは」

「そーれ!」


 奴が翼で攻撃してきたのでそれを私の翼を包むように広げて防御し、一旦距離を取る。


「ちっ。面倒な力を持ってるな。なんだそれは」

「私だけの特別な力ですよ。どんな力かは教えませんけどね」

「プロメテウスの魔力は面白いよな。不可思議でぶっ飛んでて非常に楽しい!」


 声のした方を見ると、そこから真っ赤な巨大ビームが放たれた。


「くそ! 崩衝結界(ほうしょうけっかい)!」


私は咄嗟に魔術で作った盾を展開し、それに加えて黒い翼で自信を包む。その防御でもヘラクレスの攻撃を完全に防ぎきることは出来ず、腕と半身が焼かれた。


「おおお! さすがはイシス! あのカウンターバーストを喰らってその程度で済むとはな」

「くそ。ドMのゾンビ野郎が。あれだけの攻撃を喰らって生きていたとはな」


ヘラクレスがまだ生きていたのだ。四肢や上半身の肌のあちこちが無くなって肉が露出しており、非常に気持ち悪い姿になっている。あれだけの攻撃をぶちこまれてよく生きていたものだ。


「こんなに満足する攻撃を喰らっちまったら、是が非でも生きたくなっちまってなあ。さあ、もっと強い攻撃くれよ。俺の心を満たしてくれ! お前じゃないと満足できないんだ!」

「気持ち悪いことばかり言いやがって。それならこれで終わらせてやる!」


 私が攻撃しようとした瞬間、巨大な魔力を感じた。それは奴らも感じたようで、ヘラクレスは笑みを、プロメテウスは驚きを浮かべていた。ラルカは泣きそうになっている。


「なんだ。この莫大な魔力は」

「おいおいおい。もうなんなんだ。まだ化け物が増えるというのか。我はもう帰りたいぞ」

「この威圧感。とっても満足できそうなパワーではないか!」

「……さすがに想定外ですね。まさかあれが来るとは」


 支部の壁を突き破り、何かがぶっ飛んで向こうの壁に叩きつけられて瓦礫が降りかかった。


「なんだ!? 誰が吹き飛ばされてーー!?」


 煙が晴れると、クロノスがボロボロになった姿で倒れていた。身体中酷い火傷を負っており、魔力も弱弱しくなっている。


「クロノス! 一体何があったんだ!」

「あぐ……しくじりました。この私があんな奴に……負けるとは」


 壊れた壁の方から現れたのは1人の男だ。炎のような色の髪を逆立て、眼鏡をかけている。赤い羽衣を身に纏い、上半身はボディビルダーかと思うほどに筋肉がしっかりしている。そして圧倒的な威圧感と熱。奴の近くにいるだけで体が焼けそうなほど熱い。


「貴様、何者だ」

「俺はウリエル。四大天使が1人にして、炎を司る天使だ」


 そこに現れたのは世界を滅ぼす力を持った四大天使。そのうちの1人だった。


「貴様らに聞きたいことがある。ミカエルの器はどこにいる。あの腐れ外道の場所を教えるならば、慈悲として命だけは見逃してやろう。教えないならば、灰も残らず焼き尽くす」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ