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第127話 イチャイチャした空気

 一旦休憩をすることになり、俺はソファでくつろいでいた。リナーテ、メリナ、ウル、クロノス、ニーアの5人はどういうわけか別の場所に行ってる。ダレスは。


「色々あって疲れたし、昼寝してくるー。しばらくは楽しいことも無さそうだしねえ」


 と言ってベッドへ行き、昼寝している。メジーマは今回の件や俺の過去に関するあれこれを上に提出するため、別の場所に行って報告書を書いている。彼のことはよく知らないが、ずいぶんと真面目な人のようだ。他の人達が寛ごうとしてる時も、彼は休みよりも仕事を優先してたし。ミカエルは俺の膝の上でくつろいでおり、ケルーナは読書をしている。


「にゃふ~。お主の膝は気持ち良いのお。最高じゃ」

「それは良かった。お前が喜んでくれて良かった」


 俺はそう言いながら彼女の頭を撫でる。


「にゃふ~。お前さんの手が最高じゃ~。気持ちええのお」

「ミカエルの髪はふわふわしてて気持ちいい。触り心地最高だ」

「ふふふ。お主に褒められるのは嬉しいのお。気分が高揚してくるわい」


 そんなふうに遊んでいると、ケルーナが生暖かい目でこちらを見てくる。

「仲睦まじいもんやなあ」

「ま、彼女とも長い付き合いだからな」

「なのじゃ! この世界で、カイツは妾と誰よりも長い時を過ごし、波乱万丈な生活を共に送ったものなどおらんよ」


 そう言って彼女は得意げになる。可愛いなあと思いつつ、彼女の頭を優しく撫でていると、彼女が気持ち良さそうに目を細める。

「ふにゅ〜。気持ちええのお。ずっとこうしていてほしいわい」

「これが最強で崇高なる精霊か。一人の男にべた惚れしてる女にしか見えへんなあ」


 ケルーナは呆れるようにそういった。確かにこの状態の彼女を見て最強で崇高なる精霊とは思えないだろうな。今はただの甘えん坊だ。


「ふふふふ。カイツ、もっと撫でておくれ〜。」

「はいはい」


 こんな感じでまったりする時間を過ごすのもいいものだ。といっても、まったりばかりはしていられないが。


 カーリーは結局取り逃がしたし、それに加え、アレスよりも遥かに強い六神王か。今の俺では、1VS1で奴らに勝つことは絶対に不可能だが、それでもなんとかしなければならない。人体実験を平気で行い、弱者を踏みにじるようなあいつらは生かしておけない。必ず殺す。

 そんなことを考えていると、ミカエルが話しかけてきた。


「カイツ。無茶だけはしてくれるなよ。お主が死んだら、妾は絶望して死んでしまうじゃろうからな」

「無茶はしねえよ。お前やアリアたちを悲しませたくないからな」

「とか言って第3解放使った馬鹿はどいつじゃろうな。ニーア達がおらんかったら、お主もうこの世にいないんじゃぞ」


 それを言われると何も言い返せない。実際、あれはかなりの無茶だったし。


「……20秒」

「? 何の時間だ?」

「お主が次に第3解放を使える時間じゃ。第2解放でも15分が限界じゃろうな」

「なんでそんな短くなってるんだよ!?」

「お主が第3解放使ったのが原因じゃよ! あれのせいでお主の肉体やら魔力やらがぐちゃぐちゃになっておる。そのせいで六聖天の使用制限が出てるんじゃよ」

「マジか。参ったな」


 第3解放はたった20秒しか使えず、第2解放も使用制限が付いてしまった。まさかこんなことになるとは。


「なあ。少し質問なんやけど」


 落ち込んでいると、ケルーナが話しかけて来た。


「確か六聖天ってのは、元はミカエルの力やねんな?」

「ああ。俺は彼女の力を借りてるだけだ」

「なんであんたは六聖天の使用条件がついたんや? 肉体が耐えられへんとかそういう問題があるんか?」

「まあそれもあるな。今のカイツの肉体では、六聖天をフルで発動した瞬間に粉々にはじけ飛ぶじゃろう。じゃがそれ以上に、妾が力を取り戻せておらんという問題がある」

「ああ。やっぱり全開じゃなかったんやな。妙に魔力が少ないから変やと思っとったわ」

「昔にちょっとした喧嘩で体をバラバラにされてのお。今の妾は全盛期の4割程度しか残っておらん。そんな状態では存在を維持するのも大変じゃし、六聖天を使うのも一苦労でな。第2解放までなら問題ないんじゃが、第3解放を使うとなると、カイツの魔力でブーストせねば使えん。もちろん、それは普通の使い方ではないから異常な負担で体力が持ってかれるし、それをカイツが扱うわけじゃから負担が倍以上増える。

 カイツはあくまで妾の力を借りておるだけじゃからな。自分のものでない魔術を使う以上、どうしても負担は出てくるし異常も出てくる」

「なるほど。あんたも苦労してんねんな」

「まあの。そんな状態で第3解放の発動。おかげでカイツの体は一時ぐちゃぐちゃになったし、妾の魔術もめちゃくちゃになってもうた」


 どうやら、俺が思っていた以上に今の状態はまずいようだ。こんなんじゃ六神王を1人で倒すのはほぼ不可能。どうするべきか。


「お主、今1人で勝つのは不可能と思ったな?」

「なんで俺の考えてることが分かるんだよ」

「簡単に分かるわ。何年一緒におると思っとるんじゃ。カイツ、あまり1人で抱え込もうとするでないぞ。お主は何かと1人で抱え込もうとするからのお」

「あ、それわっちも思ったわ。カイツはんってやたらと1人で何とかしようとする癖あるよなあ」

「おまけに考えなしの突っ走りも酷い。過去の研究室の殴り込み然り、第3解放発動然りな。お主はもう少し、冷静に考える癖を身に着けい。でないと、仲間に迷惑をかけるばかりじゃぞ」

「うっ……」


 痛いところを突かれた。確かに研究室の殴り込みや第3解放の発動で迷惑をかけてしまった。冷静に考える。俺にできるのだろうか。

 いや、できないといけないな。仲間に迷惑をかける訳にはいかないし、俺は強くならないといけないんだ。六神王を倒すために。

「……ふむ。しばらくは監視の目を強める必要がありそうじゃな。お主はやたらと無茶をする癖があったが、いよいよ看過できないレベルになってきたからのお」

「監視って……別にそんなことしなくても」

「いーや。監視させてもらうぞ。あと、六聖天の一部制御を妾がやっておこう。また滅茶苦茶されたらたまらんからな」


 否定したいところだが、ついさっき第3解放を発動した手前、何も反論出来ない。


「ま、まずは目先の問題をどうにかせねばならんがな」

「目先の問題って、ヴァルキュリア家のことか? 確かにこの問題はどうにかしないと」

「いや。地獄耳の番犬をどうすべきかという問題じゃ。あやつは苦労するぞ」


 地獄耳の番犬。犬ってことは、多分アリアのことなんだろうが、彼女の問題は既に解決してるはずだ。それとも俺が見逃した問題でもあるのだろうか。

 そういえば、アリアはどこに行ったのだろうか。ニーアがどこかに移動させてるらしいが、後でどこにいるのか聞き出さないと。彼女にも話さないといけないことが沢山あるし。


「……あー。確かにその問題はどうにかせんとまずいなあ」


 ケルーナは何かを察したかのようにそう言うが、なんで分かったんだ。頭の鋭さがえげつないな。

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