悪役令息婚約破棄される?
最近貴族の間では『断罪』が流行っている。幼い頃からの婚約者だったり、政略結婚の為の婚約だったり…とにかく身分の高い男から婚約者へ『お前なんか願い下げだ!この、悪役め!』ってな感じで婚約破棄を果たすのだ。
先日なんか隣国の王子が幼い頃からの婚約者だった令嬢を断罪して、王子はちゃっかり男爵令嬢の娘と婚約した。もちろん、男爵令嬢って言っても普通の男爵令嬢じゃなくって『特別』な神の加護を受けていたり、『特別』な力を持っていたり、『特別』な知識を持っていたり・・・『普通』な令嬢ではない子ばかりなんだけど。
あ、ついでに、何故か隠し子の出現もやけに増えて、世の中のお貴族のお父様、どうしたのって感じで。学校の方でも・・・王都に貴族学院っていうのがあるんだけど、名前は『貴族』ってついてるんだけど庶民にも門徒を開いている学校で、しっかりと学業を修めたいと思っている者で成績がそれなりに優秀な庶民なんかは結構普通に通っている学校で・・・
まぁ、そんな学校でも貴族は貴族ってだけで通えちゃうから全くもって平等ってわけにはいかないんだろうけどね。
話がそれちゃったけど、そんな貴族学院では年に数回『ダンスパーティー』が開かれていて、それは貴族学院での『顔合わせ』であったり『場慣れの為』であったり『卒業記念』であったりして、その『卒業記念』の『ダンスパーティー』でこそ『断罪』が行われるわけで。
ちょっと『隠し子の令嬢』や『特別な力を持った庶民の女の子』なんてのが学園に入学、編入すると周りは戦々恐々としていたんだけど、あまりの数の多さに最近ではまたかって感じで少々呆れ気味なんだ。
そんな俺はしがないし子爵令息なんだけど、お父様には商才があって小さな領地は結構潤っている。実は僕には前世の記憶っていうものがあって、前世は『日本』の『40代のおっさん』で趣味が『物づくり』だったので、お父様の商才っていうのもほぼ俺の知識からできたものだったりするんだけどね。
まあ。そこは置いといて、そんな俺に貧乏伯爵令嬢との婚約話が持ち上がった。伯爵令嬢とは数回会ったけど、たぶん子爵との婚約は随分ご不満だったんだろう。いつあっても機嫌が悪くてふて腐れた表情しか見たことがない。反対に彼女の父親は下手くそなおべんちゃらばっかり使ってたけど。
そんな伯爵家との繋がりでも商売をする上では有利になってくるので、よっぽどの根性悪や、尻軽でなければまぁいい縁談となるんだ。
こちとら前世を合わせて50歳オーバー。小娘の癇癪ぐらい気にもせんよ(ニヒルな笑い)
◆◆◆
「○○令嬢、君には失望した!」
はぁ、今日も断罪作業ですかね。もう最近では場所すら選ばないんっスか・・・
今日は学生食堂。お相手は誰だ?また元『庶民令嬢』連れてるやつか・・・庶民ってのは生きる知恵が優れてるんだろうか?そのうち身分制度崩壊するかもな・・・
ってバカなことを考えていたら、僕の前に3か月ほど前(あれ?2か月だっけ?まぁいいか)に婚約者に決まった伯爵令嬢がやってきた。彼女は庶民と食事するのは許せないとほとんどここに来たことはないはずなんだが・・・
「ク」
「エドワルド・ゴース、私は貴方を断罪します」
へ?何言ってるのこの子?
思わず食べていたオムレツが口からこぼれたじゃないか。お父様は商才はないけどマナーには厳しいんだ。
ちょっといったん落ち着いてナフキンで口周りを拭いて俺は
・・・
「ク」
「理由は明白、貴方の私に対する裏切り行為。貴方のその隣にいる平民トリン・デキスとの事です」
俺の横でニヤニヤしていたトリンが突然の事に目を白黒させる。ざまーみろってんだ・・・って、そうじゃなくて!なんだ?
「ク」
「あなたがトリン・デキスと特別仲がいいと見せかけてトリン・デキスの妹とあ、あいびきしているとのうわさは私にもはいってきているのですよ!?」
言いなれない言葉に少々言葉を詰まらせてクリスティーナ(さっきから言わせてもらえない彼女の名前だ)は言った。
言ったけどちょっと待って!?トリンの妹は最近生まれたのよ?確かに会いにいったさ!手も握ったさ!どんな言い掛かりなのよ!?ってちょっと女言葉っぽいな俺(汗)
「ク」
「証拠ならいくらでもありましてよ?私が貧乏伯爵家の娘だからって・・・馬鹿になさるのもいい加減になさって!!」
“バチーン”
クリスティーナはボロボロと涙を流しながら僕を思いっきりひっぱたいた。なんなの、コレ?
「ク」
「ごきげんよう。もうお会いすることもないでしょうけど」
クリスティーナはスカートを颯爽と翻して僕の前を去っていった。彼女の後ろをついていくのは確か同じ子爵令息のオーストだったかローストだったか・・・とにかく俺んちより貧乏だけど顔のいい奴。
あれが取り巻きって奴なんだろうか?
うぉっ!さっきの断罪の余韻も冷めやらずみんな俺の方見てるし!てか、さっき断罪してたやつもポカーンと俺の方見てるし‼︎
「わぁ、エドってば僕の妹狙ってたの?」
ありえないことがわかっているのにニヤニヤしながら言うトリン。その顔面そぎ落としてやろかい!(`Д´#)
◆◆◆
そんな感じで俺は「ク」しか言わせて貰えずに婚約破棄される事となった。
きっと他に君に合った子がいるよ(ブフォ)笑




