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間章2 雑用のいないパーティー(side :ブレイズ)

 数分後。


「おいブレイズ、テメェどーゆー了見でい!」


 浅いとはいえ、傷の多いリエン。

 ホブオーガの死体の目の前で、ブレイズを詰める。


「なぁにタンクが吹っ飛ばされてやがんだ! あっしを殺す気か!」


 だがブレイズも怪我が目立つ。

 鎧の所々がへこみ、部位によっては壊れて脱落している。


「お前が避けたからだろ! 攻撃があたるって分かってれば、俺だって武技を使ったに決まってんだろ!」

「あ゛ぁ!? んなら、こいつの一撃を受けろってのか!? ざけんじゃねぇッ!」


 口論を続ける二人。

 一方、ウィザードのライヤは疲れた様子。

 腰を下ろして、魔力ポーションを飲んでいる。


 彼女も、いつもより消耗が激しい。

 イオの援護が無いからか、攻撃魔術の効果が薄かったのだ。


 それは、ブレイズもリエンも同じ事で。

 いつもなら、ブレイズだけに攻撃が集中しないよう、イオが掻き回す。

 リエンの攻撃がさらに効果的になるよう、イオが支援魔術を掛ける。


 だが、今回はそれが無かった。


 イオがいないだけで、危うく死にかけるほど、パーティ全体の力が落ちてしまったのだ。


「クソッ! 分かった、リエン。さっきの失敗は、次の戦闘で取り戻してやるよ」

「いや、もう帰るぞ」

「は……?」


 口を開けて、疑問符を浮かべるブレイズ。


 普段は、もっと深部を探索している。

 そのほうが、より希少で、より高価な魔物が出現するからだ。

 しかし、


「イオがいなけりゃ、あっしらの誰が傷を回復するってんでい。まさか、このまま進むってのか?」

「い、いや……」


 傷は目立つし、鎧もボロボロ。

 《ヒール》の一つでも無ければ、これ以上の戦闘は危ない。

 さらに深部に向かうというのなら、尚更だ。


「あとなぁ、追加で魔物を倒したところで、どうやって運ぶんだ? 《ストレージ》なんて希少な魔術、使える奴はこの場にいんのか?」

「それは、いないが……」

「なら、決まりだろうが」


 リエンは縄を取り出し、ホブオークの巨体に結びつける。

 その端をブレイズに投げ渡した。


「ほら、引っ張りな」


 ブレイズは、露骨に嫌そうな表情を浮かべた。

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― 新着の感想 ―
[一言] イオが抜けたことで起きる弊害が極端じゃないので手遅れになって明確になるんでしょうかね。テレーズはどうなるんだろう。あと兄も。
[一言] リエンの荒っぽい江戸っ子口調がなんか変。似合う似合わないじゃなくて語尾とかが正しくないような。関西出身じゃない役者が関西弁をしゃべってるのを関西出身の人が聞いたような気持ち悪さがあります。あ…
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