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08 日記「伊藤・忠明と『木』と『岩」達」

 警告、警告である。

 私はこの日記が読まれていることをただ願う。

 これは、人類に対しての警告である。


 私がこの日記を書くのは、一つの危険を伝えるためにある。

 神が自分で創生した私達人類に対する一つの自滅プログラムについてだ。

 この日記がただの精神異常者の戯言だと考えるのなら、それもよし。

 しかし、深く知ろうとする者が居るのならば、私はそれを断固として止める事をここに記す。

 知る事には限定があるのだ。

 



 ここに伊藤・忠明の辿った事を記す。

 

 1日目

 

 ここから始まった。

 美津研究主任達と共にある研究を行っていた。

 それは加速器の小型化である。

 美津研究主任は上月さんが考え出した小型化の方法を採用し、それの製作を開始した。

 私はまだ若輩ものであったが、人数の少なさもあってか重要な部分を任される事もあった。

 そしていつの間にか、その加速器の小型化に対して、他の研究員よりも負けない情熱を持つようになっていたのだ。

 そしてこの日の深夜、プロトタイプが完成した。

 部屋の中には美津研究主任と広野さん、三城さん、上月さんが居た。

 そしてそのプロトタイプを動かし、粒子を作り出した。

 その途中、上月さんが井上さんを呼ぶといって部屋を出て行き、私と4人だけがその部屋に残ることになった。

 しばらくして、美津研究主任が私の肩を叩いた。

 君が最初の結果を見なさい、と。

 どうやら私の情熱が皆に伝わっていたらしく、最初の記念者として私を選んでくれたのだ。

 私は嬉しかった。


 だが、だがしかし、これが私の破滅へと進ませる一言だった。

 

 私は、結果を見るため、スコープを覗き込んだ。

 そこで見たものはひもであった。

 私は超ひも理論で定義されていたそのひもを見たのだ!!!

 私はその様子を皆に言った。

 私の耳には皆の喜びの声が聞こえた。

 最初の観測者として嬉しい気持ちを私は持った。

 だが、その時私は思ってしまったのだ!!



『もの』と言うのは結局はこの『ひも』で作られていのか・・・

なら、『人間』ってそこらへんにある『木』や『岩』と変わらないんじゃないのか?


 

 思ってしまった!!

 頭の中でなにかがカチリと音を立てたような気がした。

 その後、美津研究主任が私に声をかけた―――私はこれをよく覚えている。

 さぁ、私にも見せてくれ

 私はこの声を美津研究室長だと認識・・した。

 するとどうだろうか。

 私の隣で何かが大きくなるような気配を感じた。

 ドォンという音を立た。

 私は何事かと目を向けると、そこには『木』が一本立っていたのだ!!私の隣で、だ!!

 意味が分からなかった。

 そして直ぐ、声が上がった。

 広野さんと井上さんのものだ。

 私は2人の声を聞いた・・・のだ。

 その瞬間、広野さんと三城さんが『木』と『岩』になったのだ。

 私はその目の前の出来事が何も分からなかった。

 次に部屋の入り口からカチャンと、音がした。

 誰かがペンを落としたのだ。

 そして女性の叫び声―――私はそれが誰だか上月さんか、井上さんか分からなかった。

 そしの声の主はそこから離れていった。

 私もそこに残されるのが嫌であり、何が起きたのかを聞きたかったのでその人を追いかけた。

 部屋を出た時、その声の主を目に捉えた・・・・・

 上月さんだ。

 その瞬間、上月さんが岩になった。

 そしてそれを見たのだろう井上さんを私は見た・・

 井上さんは岩になった。

 何度も書くが、私は何も分からなかった。

 どうなったのか分からなかった。

 言い知れぬ不安に囚われた。

 私は研究室に戻ると、もう一度何かを確かめようとしたがそこには2本の木と1つの岩があるだけだ。

 加速器は動き続けていたが、電源を切った。

 これは何かの幻覚だと思い、それがこれのせいだとなんとなく思ったからだ。

 しかし幻覚は止まらない。

 研究施設を離れようと思い、外へ出て山道を歩いていたら多紀さんを見つけた・・・・

 その姿をはっきりと見た瞬間、彼は木になった。

 

 もうどううしたらいいかわからなかった。

 



 ここで言っておこう。

 この時の私は自身がどんな存在に成ってしまったか、何も気付かなかった。

 私はただ混乱していた。

 そして1人であることがとても怖いことに気付いた。

 


 もう夜明け前だが家に帰り、家族に会いたかった。

 私は走って家へと向かったが、すれ違い際に目に捕らえた人は全員、『木』や『岩』になった!

 恐怖で私は何か可笑しくなった。

 家へ着き、急いで中に入った。

 その時、大きな音を立ててしまい、妻が起きてきた。

 腕には私達の子供を抱えてだ。

 そして私の家族は―――


 (インクが飛び散ったようでこの部分は読めない)



 ―――究施設に戻る際、また『木』や『岩』にしてしまった。

 私はこの数時間でげっそりとしていた事だろう。

 頭をあげる気力も無く、おぼつかない足取りで研究施設に着いた。

 なにやらジャリっと音がしたので私は頭をなんとかあげた。

 そこにはこの研究施設を訪れた警察官が2人居た。

 そして『木』が2本あった。



 私の取り乱しようは目も当てられぬものだっただろう。



4日目


 数日間、私は研究施設の中で過ごし、そして何が原因か探るようになった。

 


 私の見た者は『木』や『岩』になる。

 声を発した者が誰だか分かっても『木』や『岩』になる。


 その事は分かった。

 何が原因か・・・それは加速器しか思い当たらなかった。

 でも、それがどのような原理で私に作用したのか・・・


 これは私の推論であるが、このような非現実な事でもなければ考えもしないだろう。

 それは―――


 私が『人』というものを『木』や『岩』と同じものと考えてしまったから

 そのこと自体は、原子の存在や人がいろいろな要素で作られている事を学んだ人なら考えてしまうことだと私は思う。

 だが、私は確認してしまったのだ。

 『ひも』という存在が実在している事をだ。

 『ひも』こそが全ての物質の原点であり、ありとあらゆるものの中を構成している。

 その事が私の認識を認めてしまった。

 『人』が『木』も『岩』と同じ。


 しかし、それだけで何故私が認識した『人』が『木』や『岩』になるのだろうか。

 それに対して、私は『観測者』という単語を挙げる。

 『シュレティンガーの猫』と云うものは猫の生死は誰かに観測されない限り判別はできない。

 生死判別不能な状態で存在が不安定な猫の存在を安定させるためには『観測者』が必要なのだ。―――深く書くにはもう何枚も紙が必要になりそうであり、また、これを読んだ者が深くこの心理に気付かないように、記さないようにする。


 今のこの世界で『人』の存在が不安定だったらどうだろうか?この次元に存在できるほどには安定しているが、『人』の定義として不安定だとすればそれを観測してしまうとどうだろうか?

 私はその『観測者』になったのではないだろうか。

 『観測者』たるものが『人』が『木』や『岩』であると考えてしまえば、『人』の定義は『木』や『岩』になる。

 『観測者』が観測してしまった者が『木』や『岩』になってしまう。

 

 もう一つ私がこの考えにいたる理由としては、私が『木』や『岩』にしてしまった者に対しての印象によるものだ。

 私の情熱を認め、最初の記念者としようとしてくれ美津研究主任に対して、その大らかな印象を私は『木』だと思った。

 また、上月さんは会った頃から私は固いイメージを持っており、規則に対しても厳しかった事から『岩』だと思った。

 他も同じだ。

 私の寄り木となる家族は『木』になった。



 私は『観測者』になってしまい、そして最初にもった印象で『木』か『岩』で区別し、その者の存在を『木』や『岩』として安定させてしまう。


 

 なんとも絵空事のような話だ。

 しかしだ。

 現に私の観測した者は同じ末路になってしまっている。

 私は私の考えを信じ、人里から離れよう。




5日目


 私は一つの潰れたキャンピング施設を見つけた。

 ここに住もう。

 

6日目


 なんということだ!!

 私は研究施設を出る際に、重要な資料を全て持って行き、焼き払ったが一つ忘れていた。

 加速器の処分だ。

 急いで私は研究施設に戻った。

 見ると中が少し荒らされていた。

 誰かが来たらしい。

 調べてみると、名簿やらの資料が無くなっていた。

 警察だろうか・・・今頃『木』や『岩』にしてしまった人たちは行方不明になっているだろうし、警察が来てもおかしくはない。

 とりあえず私は、加速器を壊しキャンピング施設に戻った。


7日目


 警察が動いていることから、とりあえず違うキャンピング施設に移動することにした。

 ついでに、研究施設から持ってきたヘッドフォンとアイマスクも常備することにした。

 もし何かの偶然で人を認識してしまった時のためだ。


8日目


 1人が怖い。


9日目


 誰か、側に居て欲しい。


10日目


 もしも・・・だ。

 次に私が『人』を変えてしまったら、私は死を選ぶかもしれない。

 しかし・・・、もし私は『人』を『人』だと考えていたならば、こんなことにはならなかったのかもしれない。


11日目


 鳥を捕まえた。

 肉だ。

 私は火をおこし、食した。

 頑張ろう。





(日記はここで終わっていた)

さて、こういう形式書くのって疲れますね・・・。

次を1部でまとめて最終回にするか・・・それとも2部にするか・・・どうしたら面白いか。

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