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09 観測「刑事と拳銃」

 カチリ







 私はそれを読み終えた時、伊藤・忠明の苦悩がわかった。

 そして、彼の言葉を信じた。

 ならば、あの時・・・警部が丸太小屋に入った時、彼は必死で抵抗したのだろう。

 ヘッドフォンとアイマスクを外されないように・・・。

 だが、目も耳も働かない状況で勝てるわけも無い。

「・・・・・・」

 私はその不条理な展開に沈黙した。

 もしも、あの時、私が彼の後を追ったなら私も同じ運命だったのだろうか。

 彼は警部の拳銃を持ち出した。

 自殺を決意したのだろうか。

 私は彼の日記を読んで思った。


『神が自分で創生した私達人類に対する一つの自滅プログラムについてだ』


 彼の認識によって観測された者は『人』は『木』や『岩』になってしまう。

 だが、これは一つの自然帰還ではないだろうか?

 私達の壊した自然への最終形態がこれではないのだろうか?

 神は人間の行いを知っていたのかもしれない。

 いつかこの世界の心理について気付く者は出てくるだろう。

 伊藤・忠明がその第一人者だけなのかもしれない。

 いや、はるか以前よりも気付いていた者もいるのかもしれない。

 例えば、古代文明が滅びた原因とか・・・と、まぁこれはどうだろうと思うが、もし今私達人間が目にしている木が昔の人間の名残だとしたら、それはそれで人類は同じことを繰り返しているのかもしれない。

 超ひも理論によって宇宙は生まれ変わっていると云うサイケリック宇宙論もまた出てくる。

 もしかしたら、宇宙単位で繰り返されるものもあれば人類単位で繰り返されるものもあるのかもしれない。 

 ・

 ・

 ・

 私はこの事に関して忘れようと思う。

 知識の限定。

『無知は恥』

 と云う言葉があるが、結局それは当てはまらないこともある。

 知りすぎる時が人類滅亡のいい機会・・・神様もなかなか面白い事をやるものだ。

 さて・・・と、私は今回の事件からは外させて貰い、新しい事件に関わろう。

 それがいい。

 と、

「貴方〜、ご飯あるわよ!」

 どうやら私が起きている事に気付いたのであろう妻が呼びかけてくれた。

 それは一階から聴こえる声だ。

 そして私達の娘の声も一緒だ。

 私は2人の声を聴き・・、直ぐに2階に降りて2人の顔を見ようと思った。

 



 と、


 その時だった。













 ドンッ!! 

 と云う音と共に家が揺れた。

「!?」

 私は何事か、と書斎を出て、階段を見下ろす。

 そこには、何かが立っていた。

 いいや違う。

 それは何かじゃない。

 ちょっと前まで見ていた物ではないか!

 そうだよ。

 木じゃないか・・・。

 その木は家の天井を突き破っていた。

 そしてまだ見慣れたものもあった。

 それは私の妻の服とエプロンだ。

 それを、何故かその木が着ていた。

「おい・・・なんだよ、これは・・・」

 私は恐る恐る前に進む、階段があることを忘れ転がり落ちた。

「ぐはっ」

 丁度、妻の服を着ている木によって止められた。

 痛い、背中が痛い。

 私はに寄り添って立った。

 丁度、リビングに繋がる扉が開いていたので、私はその先のものも見えた。

 それは少し小さめの木だ。

 リビングにも木が立っていた。

「あ、ああ・・・・・・」

 駄目だ、考えるな。

 私は必死に自制した。

 だけど、あれは・・・

 駄目だ・・・

 しかし・・・

 

 伊藤・忠明の日記で家族に関するところだけインクが飛び散り読むことはできなかった。

 ・・・そう、彼はあそこを書く時にペンを折ったのだ。

 

 悔しくて、

 どこに飛ばせばいい憤りを持ち、

 絶望したのだ。

「あぁ・・・」

 私は見た。

 そのリビングにある小さな木は娘の服を着ていた。

 あぁ・・・あぁ・・・

 止まらない。

 思考が予想が止まらない。

 そうか、あの日記を読み終えた時に頭の中で何か音をしたのはコレ・・だったか!

「あぁぁぁ・・・」

 もう、その言葉しか出てこなかった。

 しかし、私の体は動いた。

 どうも、足の骨がいったらしく、上手く歩けない、だが、這いずってでも私は階段を登った。

 そして行くのは私の書斎。

 私は中に入り、ペンを持った。

 そして伊藤・忠明の紙の最初に何かを書き、そして横に目をやる。

 そこには拳銃があった。

 ホルスターに入ったままの拳銃があった。

 私はそれを見た。

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・






















報告書―――


 ―――同僚の刑事が彼が署に来ていない事に気付き、自宅へ訪問すると、そこには3本の木があった。

 この奇妙な状況については、刑事が関わっていた奥多摩集団失踪事件との関連があると思われる。

 うち、一本の木には刑事が携帯報告を出した拳銃が埋め込まれおり、その近くの壁では血痕が付いていた。

 血液鑑定で刑事の血と同じである結果が出ている。

 また、書斎で発見された日記は奥多摩集団失踪事件の行方不明者である伊藤・忠明の日記が発見されており、その日記に始めには刑事が書いたと思われる文章があった。



『この日記を読む前にこれを意識して読んでもらいたい。

 『人』は『人』である。

 忘れてはならない。

 私達は『人間』である。

 世界の心理を知り、

 貴方がよき観測者たらんことを願う』

結局、ここで終わりました。

10部ってことで丁度いいかな・・・と。

短いくせになんか期間が長かったですが、読んでもらえると嬉しいです。

誤字脱字はご愛嬌。



さて、魔導書ってどんな事が書いてあると思いますか?

結構、いろいろな書き方をされています。

自分の研究してきたことを書いたり、歴史をかいたりと。

確か自分の経験した出来事を書いたものもあったと思います。


まぁ、これは書いてて思ったのですが、この日記もひとつの魔導書みたいなものです。



これはホラーじゃないよ?多分。



次はツァトゥグアの世界を一度読み直して、修正しながら連載しようと思います。

・・・予定です。

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