表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

その6。

 来るか来ないかわからないルカからの申込を待ちながら、僕は次の申込メールを開いた。

 特別コースの見積依頼だ。

「八月二十三日から一週間の記憶を消してください。よろしくお願いします」


 理由を告げず、特定の期間の記憶を消そうとする申込は少なくない。マニュアルに対処方法が記載されているほどだ。

 特定の短期間の記憶を消す依頼は、高確率で犯罪がらみだ。

 先輩たちの話では、危険薬物の売人が捕まりそうになると記憶を消したがるとか、組織ぐるみの犯罪だと上の人間から記憶を消すことを指示されたり、犯罪者が「犯人しか知りえない情報」を忘れようとしたり、とにかく犯罪関係者の申込がかなりの数あるらしい。

 そういった申込に対してマニュアルでは「できるだけ法律用語を使って固い文面で」「正当な理由がない場合は施術ができないので理由の記入をお願いする」と共に「記憶消去法に基づいて警察に照合する旨を伝える」よう書いてある。

 僕は、マニュアルに記載されている文例をコピペして返信する。

 これで犯罪者からの申込を幾分減らすことはできる。


 そうして幾つかの相談と申込を処理して退社時刻も近くなった頃、ルカからのメールが届いた。

「特別コースを申し込みます。先ほど十万円振り込みました。よろしくお願いします」

 彼女の住所、氏名、生年月日などとともに、身分証明書類の画像も添付されていた。「ルカ」は本名ではなかった。

「本気だ……」

 僕はちょっぴりワクワクした。なぜだかわからない。

 申込内容に不備はないので、僕は審査部門に送信した。

 審査部門での審査は時間がかかる。ルカの案件も数日から数週間はかかるだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ