第七章 天使の護るもの(前編)
美鈴の戦いの場からほぼ一キロ離れたマンションの空室。
そこはかつて瑠璃の部屋だった。そこにウィルはいた。
ウィルが幸太に求めたのは、既に失われた世界との交信といっていい。
そして、幸太だけが唯一それを成すことができるのだ。
ウィルはその舞台を用意することが出来る。だが関与することは出来ない。
歯がゆい思いを残したまま、ウィルはそれを見守るしかなかった。
「瑠璃、俺はわかってる。俺のことを赦してくれないって」
それは、一緒にいたかったのに、自分を犠牲にしてしまったことの後悔なのだろう。
そして結局瑠璃を犠牲にすることにもなった。だから、瑠璃は赦してくれない。
幸太はそう考えているに違いない。
『ボクは幸太のこと赦さないから。キミは一生後悔すればいいんだ』
瑠璃の言葉が聞こえる。ウィルはそこに現れた瑠璃の記憶を確かに聞いた。
そして、幸太をみる。
――頼むぞ。
「だけど、それでも大好きな瑠璃に赦してもらいたかったんだ」
そして幸太の言葉の瞬間、世界に何かの衝撃が走っていたようにウィルは思えた。
ウィルは慌ててきょろきょろ周囲を見渡したが、何かが変わったように見えない。
だが、ウィルにはわかった。今の言葉は何かのキーだ。それは何だ?
幸太の言葉に、そこにいる瑠璃は微笑んだように見えた。
『ボクはやっぱりキミのことを赦してあげる』
そして、予想通り、最期の言葉が来た。毎度のことだが、神経をすり減らすものだ。
『だけど、もうキミのそばにいられない。これからボクのいない世界になる。そうさせたボクを許してください――』
おそらく、この言葉への正答はない。ただ、世界と瑠璃自身が納得できるかどうか、それにすべてがかかっている。ウィルは固唾をのんで幸太の回答を待つ。
だが、幸太が口を開く前に瑠璃が口を開いてきた。
『ボクを赦してください――』
ウィルはびっくりした。そこにいる瑠璃は、二度聞いてきた。
あり得ない。なぜだ?
ウィルは一瞬考えて理解した。
その質問は、いくつかのキーポイントなのだ。さっきウィルが感じた衝撃と直接関係するに違いない。そしてその回答に依存して、いくつかの事実が確定されるのだろう。それは、おそらく瑠璃の七芒星に関係することに決まっている。
つまりウィルの唱えたアカシックレコードの再構築とは無関係に選択が成される。
それは想像以上に深刻な事態だ。場合によっては、ウィルが唱えたこの魔法が世界にとって悪影響を及ぼす可能性すらある。
全ては幸太次第だ。
そして幸太は、ゆっくりと答えた。
「俺は最初から瑠璃のことを赦しているよ。瑠璃の全てを」
ウィルはその回答に絶句した。この回答は危険だ。
「ボクのいない世界を許してください」に対して、「赦している」
それは瑠璃がいない世界を許すことになるだろう。そんな選択はまずいに決まっている。
幸太の言葉に瑠璃は困惑したようだった。それはウィルが知る限り危機的な事態だ。
『ボクがいない世界でも許してくれるんだ?』
ウィルはただ見守るしかない。幸太をみる。幸太は微笑むばかりだった。
そしてその質問に答えたのは幸太ではなかった。
『ボクはボクが思うとおりのことをすればいいんだ。そういう意味だよね。わかるよ』
それは、瑠璃だった。瑠璃がそこに二人いる。瑠璃の側に別の瑠璃が佇んでいた。
ウィルは衝撃を受けた。世界の選択と瑠璃自身の選択が異なっているのだ。
普通ならあり得ない。アカシックレコードを元にした世界の選択が、本人の選択と異なることなど生じるはずがないのだ。
どちらが瑠璃の選択だ? そして、どうすればいいのだ?
ウィルの困惑をよそに幸太は、一人を指さして言い放った。
「君は俺が知ってる瑠璃じゃないよね?」
幸太が指さしたのは最初からいた困惑した方の瑠璃だった。
『どうしてそう思うの? ボクは瑠璃だよ』
「俺が知ってる瑠璃は決まった回答を相手に言わせるようなことをしない。『赦してください』っていっておいて、赦したら困惑するのって変だろ?」
その言葉を聞いて、幸太に指さされた瑠璃ははっとしたように答えた。
『そうか。ボクは、前の世界が求めた偽の瑠璃なんだね』
「偽者なんかじゃないよ。ただ俺が知っている瑠璃とは違うだけだろ」
『じゃあ、本物のふりをしたボクを赦してくれる?』
「俺は瑠璃の全てを赦すっていったはずだ」
幸太の言葉に、その瑠璃は微笑んでから消えていった。
残された瑠璃は幸太の方に数歩進んだ。
『もう少しだけ、ボクのことを想っていてね』
幸太が頷くと、その瑠璃も消えていった。
全く何という力業だろうか。ウィルは呆れるしかなかった。
世界と瑠璃の選択が異なっているのを、整合的に修正してのけた。
それは、おそらくこれからの世界に大きく関係することだろう。
そして世界が補完されていく。
これからの一〇分間が最も大切な時間だ。幸太が光に包まれている。
幸太自身はそうと気付いていないに違いない。幸太と世界は今接続されているのだ。それは世界を創世する手続きと変わりがない。
そして幸太は世界を創世する者となるだろう。
失われた世界の記録に接続する幸太をウィルは見つめ続ける。
そして、ふと今戦っているはずの美鈴を思い出した。
ウィルは如月と美鈴の気配を探した。
信じられないが、美鈴は完璧に如月を押さえていた。いや、むしろ押している。
美鈴がそのためにどれだけの犠牲を払っているのか、ウィルには想像も出来ない。
「美鈴よ。お前の想い、無駄にはせぬ」
そしてウィルが安心する直前のことだ。
世界が震えた。その次元振動は抑えたものだったが、ウィルは見逃さなかった。
「何だ?」
ウィルはびくっと震えた。
「まずいっ。くるぞっ。まさかっ!」
ウィルが小さく叫ぶと、幸太の方を振り向いた。幸太はウィルを不思議そうに見ていた。幸太の気をそらすわけにはいかない。
「気にするな。何とかする。そして――」
そう言って、ウィルは幸太の側から離れた。
「――さらばだ」
小さくウィルは言う。そして、ウィルは幸太のいるマンションの一室から離れた。
「まさか、あの天使が現世にくるとはっ! こんな重大な局面でっ」
ウィルは予想外の事態に困惑するしかなかった。
如月だけでも手に余るというのに、新たな天使が現れようとしている。
悪魔と異なり天使は召喚できない。
だからこそウィルは如月にしか注意を払っていなかったのだ。
天使が現世に顕在化することは可能だ。だが、現世に顕在化するためには周到な準備が不可欠。それをこの短期間で実現したと言うことは、ほぼ全ての天使が招集され、一人の天使に全ての力を注ぎ込んだのに違いない。
だとすればこの天使は、天使の意思の代表と言っていい。
おそらく、この天使は御前の七天使最強。つまり全ての天使の頂点だ。
「今の我に勝てるとは思えないが、だからといって逃げる訳にもいかぬだろうな。勝てぬ戦いでこそ、その者の真価が問われるのだ。我が護るべきものは明白だ」
ウィルが首輪を嚙むと、飾り部分がぽろっと外れた。そこからいくつかの石が転がり出る。そしてその一つを見つめてから齧りついた。口の中で砕いてから飲み込んだ。
「あとわずか一〇分だ。その時間を稼ぐなど、かつて史上四位であった魔法使いには造作もないと信じよう」
シングルランカーと呼ばれる史上九位までの魔法使いは、有史以来変化したことがない。彼らは伝説であり、神に等しい力を持つとまで言われていた。だが、もはやシングルランカーは存在しない。ウィルはそのほんの一部の欠片を持つに過ぎない。
やがてマンション前の広場の空間がゆがんでいくのがわかる。
的確に再構築の至近距離に顕在化しようとしてきた。
「ふん。来たか。今こそ、ウィリアム・ウィルバーフォースの真の力を思い知るがいい」
ウィルはそれを慌てもせずににらみつけた。
周辺空間を閉鎖して、他の空間への影響を避ける。どこまで効果があるかわからなかったがそうするしかなかった。
この天使相手に余力を持ったまま戦うことなど出来はしない。
初手から最大で最強の攻撃魔法を使うのが最善策だ。
「さすがにお前もこの禁呪を受けたことはあるまい。これに耐えた存在は皆無だからな」
それは、世界を破壊することすら可能な極大呪文だ。歴史上、その禁呪が用いられたのは、2度しかない。そして、必ずその呪文は唱えたものを勝利に導いた。
過去の全ての魔法使いは、その禁呪を得、それを唱えられるだけの実力を得ることが最終的な目的だったと言って過言ではない。それは三千世界の究極の破壊呪文と言える。
その究極の禁呪の教えを請う魔法使いは、決まってこう突き放された。
『この禁呪を使う場面があれば、それは最後の手段として使うことになろう。すなわち、それはお前自身が予想外の事態に陥り、敗北したときのことだ。そんな呪文を覚えてなんとするというのだ。そうならぬための手立てを考えるべきだろう』
『師よ。神ならぬ人が全てを予見できるはずがありません。それに、私がこの禁呪を知りたいのは、それを使うためではなく知りたいからです。魔法使いから知識欲を取り除いて一体何が残るというのでしょう』
『もし真にそうであれば、教えを請うのではなく、自らそれを編み出すべきであろう』
そして、真にその域に到達したものがごく僅かいた。それを唱えた魔法使いは、自らの全てを消費尽くすほどの魔力を失い、勝利と引き替えに生命を失った。
「だが、まさか我がこんな破壊にしか使えぬ呪文を使うはめになるとはな――」
ウィルは口を開くと、自分が現世で唱えうる最強の禁呪を唱え始める。
「灰燼と成せ。冥界の理を守護するものに創世者が命ず。現世への侵入者を焼き尽くせ」
ウィルはそこまで言った後、一瞬目を閉じて声を上げた。聞き取れないほどの早口で召喚と発現の理を続ける。一つの世界を滅ぼしうる呪文を歪んだ空間だけに展開する。
神業のような行為だったが、ウィルにとっては造作もないことだった。
「全てを焼き尽くす冥界炎よ。大天使を滅ぼせ」
ウィルの言葉は音と言うより世界への波動に近かった。ウィルが唱えた言葉は低かったが、周囲の全てがその響きで震えていた。そして一瞬静寂が現れる。
そして、次の瞬間、太陽に匹敵するエネルギーが世界の全てを覆い尽くそうとばかりにどっと溢れかえった。
そして全てを焼くまで消せない炎。それが歪んだ空間に殺到していく。ウィルが嘯いた。
「この炎が消えるまではそこから進入できまいよ。この炎は時間とともに低減していく。まあお前なら一五分もすれば通り抜けられるだろう。姑息だが、時間稼ぎには効果的な方法だ」
ウィルは究極破壊の禁呪をその天使の単なる足止めの手段として唱えていた。それは相手が単なる天使ではないからだ。その証拠に歪んだ空間から天使の声が響く。
『ウィルバーフォースっ』
その声は間違いなくウィルに向けた呪詛の言葉だ。普通ならその言葉だけで絶命してもおかしくない。だが、ウィルは薄く笑うだけだった。
「大天使風情が我の名前を呼ぶだと? 身の程を知るがよい」
天使は激高したようだった。その言葉をきっかけにして、歪んだ空間が無理矢理広げられていく。その天使は自らの身体に刻まれていく炎の刻印を意に介していないようだ。
炎に焼かれながら無理矢理空間の亀裂を拡張していくのが見える。
「ほお? この破壊禁呪に対して、躊躇せず自らの身体を犠牲にするのか?」
力押しはウィルの予想通りだ。だが、これほどすぐに決断するとは思わなかった。
そのことで、少なくみて不可逆的に何枚かの翼を失うほかない筈だ。あと一〇分待てば、被害は半減するだろう。だが、今すぐ通過すれば少なく見ても一〇枚近い翼を失うだろう。
普通の天使であれば致命傷に違いない。
だがこの天使は一六枚の翼を持つ。翼の半分以上を失ったとしても、まだ尋常でない力を保有するはずだ。
しかし、そんなことをウィルが予想していないはずがない。
「今の攻撃は我からのものだ」ウィルは慌てもせずにそう言い放った。「だが次は、この世界からの攻撃だ。この世界に来たことを後悔することになるぞ」
そう吐き捨てた後、ウィルは別の石を咥えた。
『この禁呪を使う場面があれば、それは最後の手段として使うことになろう』
そう言って教えを請う魔法使いが責められたことを知るウィルが、破壊呪文を切り札にするはずがない。最後の手段はもっと別なものにするのに決まっている。
ウィルの敵は、魔法使いではあり得ない。
相手がただの魔法使いであれば、ウィルが敵と認識した瞬間に命を失うだけだろう。
ウィルの敵がいるとすれば、天使か悪魔に違いない。故に力業で勝てないとしたら、ウィルは天使か悪魔が予想できない魔法を切り札にするのに決まっている。
天使か悪魔が予想できない魔法。それがあり得るとすれば、人間の魔法使いしか使えない魔法になるだろう。だからこそウィルは面倒な魔法使いとの交流を拒まなかったのだ。
――その為に我は人間界にとどまり、この禁呪を生み出すことに力を注いだのだ。
ウィルは咥えた石をかみ砕いた後、口を開いた。
「侵入者に祝福と滅びを」ウィルは早口で唱える。「世界を支える呪うものよ。生きとし生けるものに祝福を与えるこの存在を滅ぼせ。世界を祝福するものよ。祝福できぬものを許さぬこの存在を滅ぼせ。そして死とともにあるこの存在を許さぬものに祝福を」
二重の呪いを平行して展開する。プラスとマイナス双方を同時に発した呪文だ。善と悪の混在する現世でしかこの呪文は発することが出来ない。
これは、おそらく史上初めて実行された禁呪だ。
この魔法は悪魔も天使も唱えることが出来ない。もちろん普通の魔法使いが唱えられるレベルの呪文ではない。ウィルだから使える。そしてこの呪文に防御の方法はない。
この魔法の破壊力は、防御力の強いものほど効果を増すだろう。
その破壊力は、直接命に対して影響を与える。ウィルは世界を破壊せず、敵を殲滅させなければならない。この禁呪はその意味で究極の禁呪だ。無理にこの呪文を通過すれば、現世への敵対者として直ちに命が失われる。
ウィルに刻まれた五芒星の刻印が六芒星に変化していった。それがわかった。
そしてウィルに世界の力が集中していく。
「全てを守る現世の光に命ず。この世界に敵対する存在を祝福の名の下に滅ぼせ」
圧倒的な力が、その亀裂に殺到した。
ウィルはその天使を甘く見ていたことを知った。
いや。実際はわかっていた。だが、それを認めたくなかったのだろう。
「勝とうとしなければ、排除だけは出来ると思っていたのだが」
究極の禁呪で倒しきれなかった。
それはつまり、もはやウィルに排除できない存在であることに他ならない。
その天使は、マイナスに当たる魔の力だけ消した上で、正義の力を全身で受けていた。
その結果、その天使が持つ翼の大半が千切れていた。最上級の天使の一四枚の翼に不可逆的な破壊をもたらしている。その天使でなければ致命傷だったはずだ。
だが、高笑いした天使がそれでも残った二枚の翼を揺らした。
ウィルはその二枚の翼を凝視して気付いた。
その二枚の翼はこの天使に対する自分の罪だ。
だからこそ残された。そのことをこの天使は知っているのだろう。
恐らく、ウィルの呪文ではどうやってもこの二枚は失わせることが出来ない。
『古き創世者は滅ぶがいい』
そう宣言した後、その天使が実体化を開始する。攻撃力は現世最強だとしても、現世のウィルの防御力など紙くず程度のものだ。この天使が実体化を終えれば、ウィルなどあっという間に殺されるに違いない。だが、ウィルは小さく笑っていた。
「成り上がりがよく言うものだ。実体化の前に何枚の翼を失ったと思っている?」
ウィルはそう鼻で笑った後、ため息をついた。
「だが、やはり無理かね。では、私の全てを賭けるほかあるまいな。ウィルバーフォースの全てを。瑠璃を見届けられぬのは残念ではあるが――」
Will_forthの全て。それは創世者の意思の全てを意味する。
ウィルは実体を表しつつある天使を両腕で迎える素振りを見せた。
「お前を防げるなら、その価値はあるだろう。それにより、世界の理は変化するからな。そして、最後を託されたシングルランカーとしての義務を果たすことにしよう」
そう言った後、ウィルは下を向いた。
「すまぬ。やはり我はここまでだ――瑠璃よ、許せ。だが、あの者が我の代わりをするであろう。故に我は心配などしておらぬ。ただ、許しを請うのみだ。あの時のように」
その瞬間、ウィルに刻まれた六芒星が薄くなり、それに代わって別な紋章――七芒星が現れかけていた。ウィルはそれに気付いた。
――やはりな。そうであろうよ。
小さく呟いた後、ウィルは変わらぬ不敵な表情とともに顔を上げた。
今度は石を口に含まない。その代わりウィルから若干離れた場所にばらまいた。
それは触媒にしかならない。
今から唱える呪文は世界の理に影響を与えるものだ。故に、天使には唱えられない。
そして唱えたものも無傷でいられないだろう。アカシックレコードの再構築と違い、この魔法は術者の意思に基づく世界の改変を強要する。故に世界から復讐を受けるからだ。
これは勝つための禁呪ではない。時間を稼ぐための呪文に過ぎない。だが、この呪文は覚悟したものの魔法だ。だからこの魔法が効果を発したとき、ほんの少しでも回避することは出来ない。もしそれが出来たとしたら、それは相手の想いの方が大きいときだ。
この呪文は魔の心に問うのだ。自分と相手のどちらの想いが大きいかを。そして全てを賭けることを要求する。
この禁呪は、今まで多くの歴史に名高い魔法使いが、死の間際仲間を守るために唱えたと言われている。この禁呪は悲劇の呪文として知られている。敗北直前、そして最後の手段として唱えられ、そして効果が得られない。悪を内包するものしか唱えられず、そして自らを賭けて何かを想うときしか唱えられない魔法。矛盾する呪文。
だが、効果を発揮したことはただ一度あった。それは、ウィルが唯一経験している。
――貴様も理解するがよい。善と悪、世界の全てを背負う創世者の覚悟を。そして瑠璃を護ろうとする想いを。
「強い力、弱い力、電磁力、重力、四つの相互作用を司る隠れた変数に創世者が命ず。全ての要素をあのものへの災いと成せ」
その言葉の後、声を高めようとした。ウィルの全てを費やすために。
それを背後から誰かが止める。ウィルが最期の呪文を唱える直前に邪魔をしてきた。
「待ちなさい――」
ほぼ同時進行で、「猫耳娘が大切にする宝物と、 狼少女の優しい嘘」も投稿しています。もしよろしければそちらもご覧いただければ幸いです。