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先生と私  作者: 綿花音和
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春、入院

 通院開始から二回目の春、私は入院することになった。咲く桜が敷地内のあちこちにあり、ただ美しかった。

 病棟には閉鎖と開放があり、開放病棟に入院することになった。大きな食堂と、六畳ほどの和室、男女共用の浴室、トイレ、ナースステーションがあり、古びて暗い印象だった。

 当初は休養を取ることが大きな目的だった。どのくらいの入院になるのかは、はっきり決まっていなかった。広くない四人用の病室も、そこに入院している患者さんにも嫌悪感はなかった。病室には、私を不安にさせる父も妹もいなかったから、落ち着いたのを覚えている。

 持ち込んだのはサガンの小説と音楽を聴くためのコンポ、着替え・鏡・タオルなど簡素なものだった。それらの荷造りはすべて母がやってくれた。


 荷物を運ぶため父が車で送ってくれた。仕事とギャンブルで疲れてるはずなのに、珍しく文句を言わなかった。私たちを一緒にすると衝突するので、母が心配してパートを休みついて来てくれた。

 長谷川先生が私と両親に入院の目的について説明をしてくれたが、父が話を自分の方に引っ張るので余計な時間が掛かり、またえずいてしまった。察した母が父に車に戻るように頼んで、しばらく手を握ってくれた。

 先生からは、一週間はまず食事と睡眠をしっかりとり部屋の人と話をせず、テレビなども見ず静かに過ごすよう指示された。私は気力がなかったので他人に関心もなかった。意識せず先生の指示通り過ごすことになった。



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