第一回
『ライトレ』(三題噺のキーワードを作ってくれるアプリ)のうち、何の脈絡も無い3単語が選ばれる「ハードモード」で私が作成した小話をどんどん投稿してゆきます。「100字というかなり厳しい字数制限を課してくるアプリですが、それでこそ燃えるのです、私の如き和歌出身の詩人型物書きは。
尚、自らコメントも付します。更に、ギブアップした題も掲載しておきます。かたき討ちをしてくださる方、是非コメントの程宜しくお願い申し上げます。
※アプリの紹介
iPhone、iPadアプリ「ライトレ-三題噺-」
落語の三題噺をアプリ化。与えられた3つのお題を使って物語を作ります。時間制限や文字制限など自由に設定出来る機能も搭載
あなたの文章力が鍛えられます。
#ライトレ
①お題:明日なき,温泉,コーヒー
飲酒して後の温泉は危険だとの理由で、白く輝くような明日なき自分は、仕方なくブラックコーヒーを飲む。雪降り積もる冬の宿、僕はホット・スプリングの湯加減を見ることもせず、それにつかることを頭から拒んだ。
→コメント:「コーヒー」「飲酒」辺りの語が、必然性を持っては存在していないように思える。又、「白」「黒」の2色だけを使いモノクロに仕上げたが、読者にとっては恐らく大した存在感は感じられず、モノクロな作品だと思ってもらえないだろう。
②お題:混沌,白,お爺さん
老いているにも子どもにもみえる白面のおとこがいった
「わがでしいわく、こん沌は混とんだからこそ、混沌なのじゃ。」斯く述べると即時、男はお爺さんに為り、截然たる死を迎えた。
→コメント:題を見て、老荘思想の話が真っ先に思い出され、脳内を占拠し続けた。括弧内は「連続」を象徴する平仮名と「断絶」を象徴する漢字をごちゃ混ぜにして使ってあるが、これが混沌を表しているのだと一体誰が気付くであろうか・・・。恐らく1年後の自分ですらわからないであろう。又、「白」という題はもう少し有機的繋がりを持たせて登場させたかった。
③お題:新しい,夕焼け,アナゴ
→コメント:ギブアップしたお題。どうしてもアナゴを有機的に他の語に繋げつつ詠み込むことが出来なかった。穴を巣にする習性を利用しても良かったのであるが、いろいろ試みて、矢張り断念。求ムカタキ討チ。
④お題:射出,意識不明,夕食
スプレーを噴射出来てしまった。友人が意識不明に陥った。判決は「執行人の在宅している時に外出」となった。執行人の世では、罪を犯せば夕食がカツ丼になるという。私の最後の晩餐はゼリーであった。私は帰宅した。
→コメント:「斜出」が自分の中で「自由に使える語彙」ではなく、上手く手綱を握り切れる自信が無かったので、無理矢理な形で使った。その点を除けば、それなりに良く出来た作だと思っている。謎解き要素の如きものが含まれていることも自讃のポイント。尚、この④と⑤を書いたことにより、「100字に収めるには、接続語を除けばいいのでは」という小賢しい知恵を得てしまった。
⑤お題:ドラキュラ,クリスタル,怖い話
ルーマニアの怖い話、ドラキュラ爵。祖父から貰った護身のクリスタル、森の入り口の「立入禁止」の看板。雨降る冬の夜。クリスタルが光り、割れる看板。響く高笑い、一斉に飛び去る蝙蝠たち。
御祖父様、貴方は誰?
→コメント:もう少々字数に余裕があれば、最後の一文をもっとハッキリとした話し言葉らしくしたかったのだが・・・。「怖い話」の題にもう少し工夫を施せれば良かったが、そうは言っても、これもかなり自讃の作品。殆どの部分を「体言止め」のようにしている。このような文体も、磨き上げれば面白いかも知れない。