白雪姫
鳥のさえずりで目を覚ました。
白いウサギが目の前を駆けていった。金色の懐中時計が揺れる。
立ち上がろうとして、頭が痛んで思わずよろけるがいつまでもこうしているわけにはいかない。
目の前には小さな小屋がある。少し入ってみようと思い、ドアをノックする。
中には誰もいなかった。出かけてるのかな、と思い、周囲を見渡す。
長机の上に、小さなパンとプレートが7つ。ジャムもたくさん。ハチミツもたくさん。スープは湯気を立てていて、目玉焼きはこんがり焼けている。小さな椅子が7つにティーカップも7つ。小さなスプーンにフォーク。フライパンにクローゼット。全部が小さい家だった。
ぐぅ、となる。お腹がすいている。誰のかは分からないけれど、食べていいのかな…
全部小さいからすぐに食べ終わってしまった。
食べたら眠くなってしまったが、ここの家の住人が帰ってくる前に逃げなくては。
隣にも部屋があるようだ。
覗いてみると、ここにも小さなベッドが7つ。
座ってみると、とてもふわふわだった。
眠気に逆らえず、眠ってしまう。
そこへ、7人の小人が帰ってきた。
「あれれ?」
「僕のパンがない!」
「僕のジャムも!」
「僕のお茶もなくなってる!」
「僕の椅子が倒されてるし」
「僕の机のところが汚れてる!」
「僕の目玉焼きは?」
「僕のスープは誰が飲んだの?」
「だーれ?」
ドアが開いていることに気づいた7人の小人は中をそっと覗く。
すると女の子が気持ちよさそうに寝ていた。
だーれ?
起きたら聞いてみよう。
規則的な寝息はまだ続きそうだ。
窓に映る不穏な黒い影。手に握られていたのは林檎だった。