シンデレラ
私は…
繋がりを読む、もう一つのお話。
私は小さい頃に、両親から絵本を買ってもらうのが好きだった。明るいもの、少し怖いもの。それを飽きずに読み返しては、丁寧に本棚に戻す。うっとりと、本棚にしまわれた絵本を眺める。それが日課だった。
父が作ってくれた特製の本棚はサイズも高さも私にぴったりで、晴れた空のように綺麗な青を塗ったそれは私の一番のお気に入りだった。
ある日また、両親に絵本を買ってもらった。
それはこんなお話だった…
--ある村にいじわるなお母様とお姉様に引き取られた娘がいた。いつもいじめられている娘は、嫌になって井戸に落ちようとする。だが、突然目の前に現れた妖精に魔法にかけてもらってから、お母様とお姉様が寝静まった頃に森にお散歩に出るようになった。
今日もいつものようにお散歩をしていると、白馬に乗った王子様が現れる。
「道に迷ってしまったのですが。」
「えぇ、それは大変ね。ついていらして?ご案内しますわ。」
月の明かりを頼りに、娘は迷わずに進んでいく。
森を抜ける頃には夜は明け始め、空はもう白く染まっている。
「あぁ、大変。魔法が解けてしまうわ。王子様、さようなら。」
「待って、君、名前は?」
「お教えできません、私は醜いのです。お気をつけて。」
手の甲にキスを落とし、涙を流し、彼女は去っていった。その涙は王子様の手の中でそれはそれは美しいダイヤモンドになっていた。青い美しいドレスを翻してとっとっ、と走る姿はまるで見たら幸せになれる青い小鳥のようだった。
私の王子様にはいつ出会えるのかしら。
私は美しく醜いお姫様。
絵本の主人公は私。今は幸せじゃなくても大丈夫だわ。絶対に幸せになれるから。
絵本だもの。
どうだったでしょうか。
まだ童話のお話は続きます。