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とある町のとある高校

前回のあらすじ


タケシ、ゲットだぜ!!!!。




人物紹介


萩山レンジ(ニート) 人の部屋のベット上で漫画を読むだけの人。


塩入凪沙(腐女子) 客人を放っておいて、机に向かって発酵し続けるだけの人。


タケシ 部屋の隅でサナエサナエと泣きながら呟くだけの人。


モトコ(パツキン) 金髪女子高生。兎歩町の治安維持のための団体に属している。直接登場するのは前回の話が初めてだったが、名前だけならちょくちょく登場している。

兎歩町が封鎖されて10日あまりの月日が経った。


いまだに事情さえも説明されない事態に困惑する市民も少なくは無いが、それでも町に大きな事件が起きるでも無く、平穏な日々が続いていた。


そして、これはそんなある日の塩入家の出来事である。


パツキン「お邪魔ぁ〜」


突如、腐女子の部屋に侵入したのは腐女子の同中であるパツキンことモトコであった。


そんなパツキンの目に飛び込んで来たのは以上な光景であった。


部屋を埋め尽くすように四散した♂、机に向かって一生懸命に腐乱する腐女子、ベットの上で堂々と横になりながら漫画を読むニート、そして部屋の隅で膝を抱えて1人しめしめと涙を流すタケシ。


パツキン「うぇ…なんじゃこりゃ…」


腐女子「ん?パツキンじゃん。どうしたの?」


パツキン「どうしたのはこっちのセリフだよ。この部屋はなんなの?」


腐女子「我が家自慢の発酵室だが、なにか?」


パツキン「いや、確かに腐敗物と地蔵みたいに動かずに横になってるやつに、隅でジメジメ泣いてるやつがいればまさにカビが好みそうな発酵室ではあるが…」


ニート「で、俺の部屋に何の用だよ?」


腐女子「さりげなく所有権を主張するんじゃねえよ」


パツキン「で、結局これはなんなの?。なんで腐女子のくせに逆ハーレムしてるの?」


腐女子「ん〜、なんでだろうね?。そして逆ハーレムなのに全然嬉しくないのもなんでだろうね?」


パツキン「いいのかよ、それで…」


腐女子「っていうか、拾ったんだよ、二人とも」


パツキン「拾ったって…」


唐突な出来事に困惑の色を隠せないパツキン。


腐女子「で、パツキンは何しに来たの?」


パツキン「あぁ、そのな…学校に行かないか?」


腐女子「学校?なんで?」


パツキン「そりゃあ、高校生だからね。こんな昼間っから部屋に閉じこもってちゃダメだろ」


腐女子「そんなこと言ったってさ、町が封鎖されて私は高校に行けないし…」


パツキン「その通り、腐女子は隣町の高校に通ってるからそっちの高校には行けない。だから兎歩高校においでよ」


腐女子「え?兎歩高校に私が?なんで?」


パツキン「実はさ、兎歩高校はいま町が封鎖されているせいで、兎歩高校に通える生徒が兎歩町に住んでいる生徒だけしかいなくて…あんまり人がいなくて活気が無いんだよ。おまけに教師のほとんどが兎歩町の外から通勤してた人だからさ、教師までいなくてね。…そこで、兎歩高校では、他校に通う兎歩町に閉じ込められた高校生や、教師をやってくれる人を生徒や教師として募集して、活気を取り戻そうとしているのだよ。私はそのために君たちをスカウトしに来たのさ」


ニート「つまり、誰でもいいから生徒や教師を集めて学校を再興させようって魂胆なんだな?」


パツキン「そういうこと」


腐女子「話は分かったけど…なんでパツキンがそんなことやってるのさ?」


パツキン「こう見えて、私は兎歩高校の生徒副会長をやってるからね」


ニート「パツキンのくせに?」


パツキン「むしろパツキンをしてもいい校則にするために生徒副会長になったんだよ」


ニート「意識の高い金髪だな」


パツキン「それで、どうかな?。生徒として、兎歩高校に来てみない?」


腐女子「うーん…そうだなぁ…。ちょうどいま、執筆が上手くいかないから、気分転換に行ってみようかな?」


パツキン「おお!腐女子は来てくれるんだな。そっちの君はどう?」


パツキンはベットの上で横になっているニートに聞いてきた。


ニート「いや、そもそも俺は高校生じゃないし、ニートだし」


パツキン「関係無いよ。別にニートでも年が近ければ歓迎さ」


ニート「やめろよ!、高校に通っちゃったらニートじゃなくなっちゃうだろ!?。俺からニートを取ったら何が残るって言うんだよ!?!?。俺からニートを奪わないでくれよ!!!!」


腐女子「それってそんなに必死になって守るもんじゃ無いでしょ?」


ニート「俺にはニートが性に合ってるんだよ」


パツキン「嫌な才能だな。…っていうか、いま兎歩高校の体育館は家に帰れなくなった人のための避難所として開放されてるからさ、わざわざここで居候させてもらわなくても、そこで寝泊まりできるよ?」


ニート「いやだよ。だってそこはベットが無いんだろ?。俺はベットで寝たいんだ」


腐女子「お前がベットで寝たら私はどこで寝るんだよ?」


ニート「床でいいだろ?」


腐女子「オーケーオーケー、その喧嘩買ってやろう。ニートも学校に強制連行させてやろう」


ニート「ふっ、強制連行だと?。言っておくが、テコでも俺は動かせないぞ?」


腐女子「ふっふっふ、BL同人作家を敵に回していいと思ってるのか?。私がその気になれば、紙面の中でたくさんの男どもによってお前に『ピー』させることも容易いのだぞ?」


ニート「貴様!それはずるいぞ!!」


腐女子「嫌ならさっさと私と一緒に学校に行くのだな」


ニート「くそっ…テコでも動かせないこの俺をペン一本で動かすとは…これがBL同人作家の力なのか…」


パツキン「…茶番はその辺にして、結局来るの?」


ニート「不本意だが行くわ…世界中の萩山レンジの名誉のためにも」


パツキン「よし、生徒二人確保ね。…それで、そっちの隅で泣いてるのはなんなの?」


パツキンはさっきからずっと部屋の隅で何かをぶつぶつ呟きながら、めそめそ涙を流していたタケシを指差して聞いてきた。


ニート「あぁ、あいつはタケシ、霊長類ヒト科だ」


パツキン「いや、それは分かる。逆を言えば、それだけしか分からない」


結局、タケシも連れて行くことになった。…まぁ、散歩のついでみたいなもんだよ。







パツキン「ほい、着いたよ。兎歩高校へようこそ」


パツキンの案内によって兎歩高校へとたどり着いた一行。


グランドに足を踏み入れたニートは一言ぼそりと呟いた。


ニート「…懐かしいな、学校」


腐女子「そういえばニートって、高校中退したんだっけ?」


ニート「まぁな。毎日毎日不良みたいなやつらからパシられる日々だった…」


ニートはどこか遠い目で校舎を見つめた。


そんなニート達の元にとある一人の男子生徒が近づいて来た。


睨みつけるような鋭い目力と迫力のある強面フェイス、そして顔のいたるところに刻まれた生傷とピアスのように輝く金属片がさらにその恐怖を増長させる。…そんな世紀末のような見た目のチンピラのようなその男はニートの元にズガズガと歩き、威圧感のあるドスの効いた声で話しかけて来た。


チンピラ「なんじゃ?ワレ」


ニート「………」


あまりの恐怖で固まってしまったニート。かつての高校生活でのトラウマでも思い出したのだろう。


そんなニートを差し置いて、パツキンが間に割り込んで口を開いた。


パツキン「紹介するよ。この人がウチの生徒会長、みんなからはチンピラって呼ばれてる」


腐女子「…え?。生徒会長?」


パツキン「うん、見た目はいかついけど、生徒会長だよ」


腐女子「…え?。でも人を二、三人殺してそうな目をしてるよ?」


チンピラ「生まれつきじゃ」


腐女子「ピアスは?」


チンピラ「これはイヤリングじゃ。ピアスなんて怖くて出来へん」


腐女子「顔面に刻まれた古傷は?」


チンピラ「木から降りられなくなった猫を助けたときの傷じゃ」


腐女子「…少女漫画の不良か、お前は」


よく見ると制服も第一ボタンまでぴっちり着こなしているチンピラ。


パツキン「生徒会長、新しい生徒を3人連れて来ました」


パツキンはチンピラ生徒会長に3人の紹介をした。


チンピラは3人を一通り見た後、相変わらず威圧感のある声で口を開いた。


チンピラ「まぁ…ゆっくりしていけや、歓迎するで」


それだけ言うとチンピラはその場を後にした。


腐女子「生徒会長、いい人そうだったね」


腐女子がそう言いながらニートとタケシの方を振り向くと、なぜが棒立ちしながら白目を向いて固まってしまったニートと、うつ伏せに地面に倒れて泡を吹いて気絶していたタケシの姿があった。


腐女子「…ビビりすぎだろ、こいつら」


こうして、ニートの二度目の学園生活は幕を開けたのであった

そういえば、タケシって大学生だったなぁ。

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