これまでの話のまとめと今後の方針
前回のあらすじ
田中さんから腐女子へとチョロインの座をバトンタッチした(重要)
ニート「ただいま」
腐女子「ただいま」
カグヤ「お邪魔します」
イケメン「お邪魔します」
犯罪者「ただいま」
係長「失礼します」
ビッチ「お邪魔しまーす」
アパレル「大所帯で失礼します」
ショタ「わーい!お邪魔しまーす!」
由紀「…お邪魔します」
立ち話もなんなので、とりあえずいつもの発酵室に行くことにした一同。
母「あら、みんないらっしゃい」
この数カ月で見知らぬ人が家に上がり込むことにすっかり慣れてしまった腐女子の母は笑顔で皆を迎え入れた。
腐女子「お母さん、もしかしたらまた居候が増えるかもしれない」
母「あらあら、困ったわねぇ…さすがにその人数じゃ、部屋が一つじゃ足りないわよねぇ…」
腐女子「その辺は上手いこと考えるよ。あ、私はちょっと部屋を片付けてくるから、みんなはここで待ってて」
そう言って腐女子は一人で部屋に行ってしまった。
父「母さん、今度は一体…って、なんか数増えてない?」
リビングから出てきた腐女子の父は玄関を覗くとそこにいた人の数に驚いていた。
父「で、彼らはなんなの?」
父の質問に母はいたずらっぽく照れ臭そうにこんなことを言った。
母「あなた…できちゃったみたい//」
父「いや、できちゃったって…さすがにいっぺんに倍まで増えるのはおかしいよね?」
その後も何かと文句は言うが、反対はしない腐女子の父であったとさ。
腐女子「さてと…さすがに10人も入れるとなると片付けないとね…」
♂が散乱した発酵室を一瞥し、さっそく片付けに取り掛かる腐女子。
タケシ「サナエェ…サナエェ…」
腐女子「あ、そっか…タケシはどうしよう…」
部屋の隅で固まっていたタケシに気が付いた腐女子。このままここで放置するのは邪魔だなと思った腐女子はとりあえずタケシは庭に放り出しておくことにした。
腐女子「うん、これでよし」
タケシ「サナエェ…サナエェ…」
やっぱりペットの分際で室内に居座るのは相応しくないよね。
こうしてタケシは部屋を追い出されたとさ。
…まぁ、ぶっちゃけいまから今後の話をちゃんとしたいけど、部屋にタケシがいるとまた話が横道に逸れそうなのでそうならないための配慮です。サナエェとの再会はお預けということで。
ニート「ベットは俺のスペースだからな!」
ゴミを片付けて、一行がようやく発酵室にやってくるや否や、ベットを占領しだしたニート。
腐女子「おいおい、ただでさえ狭いんだからベットを占領するなよ」
ニート「嫌だ!ベットは誰にも渡さない!。俺だけのベットなんだ!!」
腐女子「この野郎。…カグヤ、狭いからあんたはベットに座ってくれる?」
カグヤ「え?わたし?」
腐女子「早く座って、詰めて座らないとみんな座れないよ」
カグヤ「そうだね…そういうわけで、隣座ってもいいかな?レンジ」
ニート「ど、どうぞ…」
さすがのニートも照れ臭そうにお願いしてくるカグヤを拒むことは出来ず、ニートのベットの独占は早くも崩れた。
そういうわけで二人は照れ臭そうにベットに並んで座ることになった。
そんな光景を見て係長が腐女子に一言。
係長「あの二人って、結局くっついたの?」
腐女子「うーん…一応まだかな?」
そんなこんなでなんとか10人を部屋に詰め込んだ。…もう足の踏み場もない。
係長「それで、この町は一体どうなってるんだ?。ここに来る前にゾンビみたいな集団に出会ったんだけど…」
犯罪者「そうだな。…まずは1から状況を説明しよう。そもそもこの町が封鎖されたのは一人のCBKSの感染者がこの町に逃げ込んだからだ。政府はもしパンデミックが起きたとしても、被害がこの町の中で終わるように兎歩町を封鎖した」
ニート「それを知った俺と犯罪者はそれをなんとかすべく、封鎖される前にこの町に来た」
犯罪者「中には脱出を考えていた奴らもいたが、ニートの活躍(?)によって、この町もまだ何事もなく平穏な町のままだった。もしかしたらこのままCBKSの治療法が確立されるまで何事も起きずに済むんじゃないかと思っていた矢先、新たな問題が発覚した」
アパレル「新たな問題?」
犯罪者「この町に逃げ込んだCBKSの感染者とは別に、CBKSの感染者がこの町にいた」
カグヤ「その感染者っていうのが…わたしのことなんだ」
係長「え?JKは感染者だったの?」
ビッチ「それってデスゲームで島にいた時にはすでに感染してたの?」
カグヤ「うん、ずっと前から感染してたと思う。でも多分、みんなには感染させてないから安心して」
犯罪者「CBKSは感染者がまた別の人を襲うことで感染が広まる。カグヤに襲われた記憶が無いなら、少なくともカグヤからは感染してないはずだ」
アパレル「それなら多分大丈夫よね」
ビッチ「っていうか、身近にいても感染に気がつかなかったレベルの病気なら、CBKSも大したことないんじゃないの?」
由紀「そんなことはないわ。現にわたしはこの病のせいで苦しめられてきたもの」
ニート「病で苦しんでたのはカグヤも同じだ。…表にはあまりそれを出さなかったけどな」
カグヤ「………」
犯罪者「と、まぁ、厄介な病であることには変わりないが、CBKSの治療法さえ確立すれば全て丸く収まる…はずだった」
係長「と、いうと?」
犯罪者「CBKSの感染者を殺すように命令された殺し屋がこの町に紛れていたんだ。何より厄介なことに、この殺し屋は自らの手で任務を遂行しないと殺されてしまうということだ」
イケメン「で、その殺し屋が僕ということ」
ビッチ「え!?イケメンさんが!?」
アパレル「あなた殺し屋だったの?」
イケメン「ごめんね、今まで隠してて」
係長「…でも言われてみれば、島にいた時にたまに常人じゃない動きとかしてたもんね…」
ビッチ「そうだね。イケメンさんが殺し屋でも違和感ないよね。現に私の心はとっくのとうにあなたに射抜かれているわけだし…」
アパレル「話を戻すけど…イケメンがJKを殺さなきゃイケメンが殺されるって状況になっているってこと?」
イケメン「そういうことだね。少なくとも、このデスゲームを終わらすにはどちらかが犠牲になることは決まっていた」
係長「イケメンが任務に失敗したら殺されるっていうのは…なんでだい?殺されるとしても誰に殺されるんだい?」
イケメン「いわゆる見せしめのためってことさ。僕がいた組織は世界規模で政治とも関わり深い組織でね…一度殺されると決まったら逃げ場なんてないさ。…幼い頃からそういう光景は何度も見て来た。…そういうわけで、僕も自分の身の可愛さで一度はカグヤを本気で殺そうとした」
係長「でも今こうして一緒にいるってことは、なにかしらその問題を解決する手段が見つかったってことだよね?」
ニート「そういうことだな」
係長「その手段っていうのは?」
ニート「犠牲なしにデスゲームを終わらせられないなら、デスゲームを終わらせなければいい」
アパレル「それって…」
腐女子「私たちの手であえてデスゲームを続けさせようってこと」
係長「そんな無茶な!?」
ニート「無茶なんかじゃないだろ?。現に俺たちだって島で楽しくデスゲームしてたじゃないか。やろうとしていることはそれの延長程度のことだろ?」
アパレル「確かにそうっちゃそうだけど…島でのデスゲームと違っていろいろ問題があるでしょ?」
犯罪者「そうだな。今考えられるだけでも問題点は大きく分けて三つある。一つはこの町に住んでる人を納得させること。このデスゲームが続くことに住民が納得してくれないと前みたいに脱出を企てたり、他にも事件を起こす輩が出てきそうだしな。二つ目はCBKSの感染拡大の阻止。これは説明はいらんだろう。…そして三つ目が」
イケメン「外部との渉外」
犯罪者「そうだ。外部から物資を援助してもらって町を存続させている以上、外部からの援助の延長は必須事項だ。他にも、政府が新たになにかしらの手を打ってくるかもしれない。それらを以下に対処するかが問題だ」
ビッチ「前途多難ね」
アパレル「こう言っちゃなんだけど、イケメンさん一人の命を守るためにしてはリスクが大きすぎない?。もちろん、イケメンさんを守るのには協力を惜しまないけど、なにかもっと他に手があるんじゃないの?」
犯罪者「そうだな…他に手があればいいんだが…残念ながらいままでは他に思いつかなかったんだ」
係長「『いままでは』ってどういう意味かな?。いまは他に手があるってこと?」
犯罪者「それについては後で話す。いまはデスゲームを続けるとするならどうするべきかの話し合いをしよう」
係長「だいたい話は分かったよ。これが最善の方法かどうかは分からないけど、どちらにしても時間稼ぎは必要だし、デスゲームを平穏に続けることには賛成するよ」
由紀「それで、今言った三つの問題を解決する当てはあるの?」
犯罪者「それなんだがな…まず一つ目の問題の解決策なんだが…」
ニート「この町の住人を全員ニートにすれば問題解決だ」
係長「…は?」
カグヤ「えっと…要するに、政府から物資を援助してもらってるなら働く必要も無いから、もしこの町の人が全員ニートになれば、むしろ喜んでデスゲームを続けてくれるんじゃないかなってこと」
由紀「言ってることは分かるけど、現実的じゃないね」
アパレル「この町の人が他人からの援助に依存して生活するようになった後に、もし援助が終わるようなことになったら、その後がどうなるかを考えると恐いわね」
係長「もしかして、この町に来た時に見たゾンビ集団って…」
腐女子「それは多分、私達のクラスメートでニートの被害者の集団ね」
係長「この町の住人をみんなアレにする気なの?」
ニート「まぁ、あいつらはノリがいいからあそこまで大袈裟にやってるだけで、実際はニートになってももっと俺みたいに気品溢れる男になるから大丈夫だ」
係長「ん?」
ビッチ「ごめん、日本語で話してくれない?」
犯罪者「と、まぁ…ここまでがいままでやろうとしたことの話だ」
由紀「そういえば、さっき他に手段があるって話してたよね?」
犯罪者「そうだ。実は、このデスゲームの根幹を揺るがす鍵を手に入れてな…」
係長「と、いうと?」
犯罪者「CBKSの治療法だ」
アパレル「え?」
犯罪者「先日、田中さんがCBKSの治療法を確立させて、その研究成果をまとめたノートをショタが持ってるはずなんだ」
ビッチ「本当なの?ショタ君」
ショタ「うん、ちゃんと持ってきたよ」
そう言うとショタは懐から一冊の分厚いノートを取り出した。
犯罪者「幸か不幸か、機械音痴の田中さんはノートに研究成果をまとめるアナログ派でな。データとしてこの研究成果はどこにも残ってないし、コピーも無い。現状、このノートこそCBKSを治療するための唯一の鍵というわけだ」
アパレル「田中さんすごいじゃん、治療法を見つけちゃうなんて」
由紀「父はああ見えて研究者としては天才的でね。でもそれ以外はポンコツだから研究成果はだいたい他人に横取りされて自分の手柄にできないのよね。だから天才でも有名にはなれなかったんだけど…」
ニート「さすが田中さんだな」
アパレル「それじゃあ、これがあればさっき言ってたデスゲームを続けるための問題点のその2が解決できるってこと?」
由紀「いや、それだけじゃないはずだよ。これさえあれば、政府との交渉のカードに使えるはずだよ」
カグヤ「交渉のカード」
犯罪者「そうだ。さっき言ってたもう一つの方法なんだがな、このノートを交換材料にしてイケメンの身の安全を保障してもらうっていう方法だ」
カグヤ「…あ、そっか。これならイケメンさんの身も守れるし、CBKSの治療も可能になるから万事解決できるのか」
イケメン「………」
犯罪者「そういうわけで、俺はこのノートを政府との交渉のカードにする方法を推奨する」
係長「そうだね。そっちの方法の方がよっぽど現実的だ」
アパレル「私もそっちに賛成だわ」
ビッチ「イケメンさんが助かるなら賛成」
由紀「私も賛成ね」
腐女子「…反対する理由はないね」
ショタ「そうだね」
ニート「えー、みんなで一緒に養われようぜ」
カグヤ「それは別に全部解決した後にしようよ、レンジ」
イケメン「………」
犯罪者「お前はどうだ?イケメン」
イケメン「…結論から言うと、おそらくその交渉は無理だよ」
係長「なんでだい?」
イケメン「任務の失敗は死…それに例外はあってはならないんだよ」
アパレル「別に、イケメンさん一人くらい例外があったって…」
イケメン「いや、それがそうもいかないんだ。『組織の絶対の掟』を壊すことは許されない」
カグヤ「どうしてそこまで…」
イケメン「さっきも言ったけど、僕がいた組織は世界中で暗躍している殺し屋の組織。僕は貧しい母子家庭に生まれて、小さい頃に母親を亡くしてね。生き延びるためには手段を選べなかった。そういう生涯孤独な子供を集めて、小さい頃から殺し屋として教育し、一人前の殺し屋に育て上げるのが組織のやり方でね。その過程で僕達は嫌という程、『組織の絶対の掟』を見せつけられてきた。任務を失敗した者、逃亡を図ろうとした者…みな例外なく殺された。本当に例外なんてなかった。もしそこに例外があってしまっては…希望を持たせてしまうからね」
腐女子「話は分かった。でもいくら組織が絶対であろうが、政府が国をあげてあんたを守れば流石に手を出せないでしょ?」
イケメン「いや、そもそも政府が手を貸してくれないんだ。さっきも言った通り、僕がいた組織は世界中で暗躍している殺し屋の組織。そしてその組織は政治に深く絡んでいるんだ。世間には公表されていない要人の暗殺なんて数え切れないほどやって来た。そういう関係で政府は組織に弱みをいくつも握られていてね…敵対するわけにはいかないんだ」
由紀「例え、たった一人の組織の人間の命と人類を滅亡させかねない病の治療法を天秤にかけても、なの?」
イケメン「そういうことだね」
犯罪者「にわかに信じがたいな…そこまでやるほどのことなのか?」
イケメン「やるね、組織なら確実に…」
係長「でも、やるだけやってみようよ。交渉するだけならタダじゃないかな?」
犯罪者「それもそうだな。相手の反応を見て今後のことを決めてもいいだろう。だが、重要な交渉には変わりないからな、万全の対策をして臨みたい」
カグヤ「まず、どうやって政府とコンタクトを取るの?」
ショタ「この携帯なら偉い人と繋がるよ?おじいちゃんの携帯を施設に置いてきたから」
犯罪者「なるほど…だが通話だけでは心許ないな。この携帯を利用して、せめてテレビ電話が出来るくらいにはしておこう」
カグヤ「そんなことできるの?」
犯罪者「おそらくだが可能だ。だが、準備に時間がかかる。そのためにも何人か手伝って欲しい」
イケメン「わかった、僕が手伝うよ」
ビッチ「イケメンさんが手伝うなら私も手伝うぅ」
係長「僕も微力ながら手伝うよ」
由紀「…ちょっといいかな?」
犯罪者「なんだ?」
由紀「はっきり言って、私はCBKSさえ治療できれば後はどうなろうと知ったこっちゃないの」
アパレル「…ちょっと、その言い方は酷いんじゃないの?」
犯罪者「まぁ、部外者だし、仕方ないだろ」
由紀「でも、だからと言ってあなた達の邪魔をする気はない。その代わり、父の研究成果のノートを私に預けてくれないかな?。あくまで自分の病気を治すために治療法を知っておきたいだけだから、あなた達の邪魔にはならないだろうし…」
犯罪者「それもそうだな。むしろ治療法は誰かが知っておくべきだ」
カグヤ「その前に田中さんのノート、どんなこと書いてあるかちょっと見ておこうよ」
そう言ってカグヤがノートを開くと、なにやら怪訝そうな顔をした。
腐女子「どうしたの?」
腐女子がカグヤの横からノートを覗き込むと、そこには象形文字のようなものがいくつも並んでいるのが見えた。
カグヤ「これ、どういうことなんだろ?全然読めないや」
腐女子「もしかして、暗号化されてるとか?」
由紀「いや、ただ単に父が字が下手なだけ」
腐女子「え?もしかしてこれって日本語なの?」
カグヤ「古代エジプト文字とかじゃなくて?」
ニート「どんだけ字が下手なんだよ…」
カグヤ「でもどうしよ…これじゃあ田中さん以外解読できないよ…」
ニート「当の本人は死んじゃってるしな」
*死んでません。
由紀「これは私が解読するよ。父の書いた字なら見慣れてるし、私なら解読できると思う。…でも、時間はかかりそう」
カグヤ「私も手伝うよ。自分の病気くらい、自分でなんとかしたいし」
アパレル「それなら私も手伝うわ。力になれなくてもお茶くらいは淹れるし」
犯罪者「よし、そうと決まれば早速準備に取り掛かろう。でもここじゃ狭いから、兎歩高校の空いてる教室でも借りることにしよう。なにかあったら携帯に連絡をくれ」
そう言うと犯罪者とイケメンとビッチと係長は発酵室から出て行った。
由紀「私達も移動しようか。図書館とかあればいいんだけど…」
カグヤ「私が案内するよ」
由紀、カグヤ、アパレルもその場を後にした。
腐女子「………」
ニート「………」
ショタ「みんな行っちゃったね」
残された腐女子とニートとショタ。
ショタ「僕達はどうしようか?」
ニート「安心しろ、俺たちにもやるべきことはある」
腐女子「そうね、私達もやるべきことがあるわね」
ショタ「なにをするの?」
ニート「それはな…」
ショタ「それは?」
ニート「ベットに横になって漫画を読むことだ!!」
腐女子「BL同人誌を描きしたためることだ!!」
ニートはベットに、腐女子は机に向かって各々やるべきことをやっていたとさ。




