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つまり末永く養ってくれるってことですか?  作者: なおほゆよ
学園じゃないラブコメ編
44/57

受け継がれしチョロイン

前回のあらすじ


ようやく役者が揃った。

山「ウ…ウ…ニートモテル…ニートエライ…」


モブ島「ニートナリタイ…カノジョホシイ…」


兎歩町にやってきたショタ達の目に飛び込んできたのは、フラフラとしたおぼつかない足取りで虚ろな目で虚空を見据え、ブツブツと同じ言葉を繰り返し、辺りを徘徊するまるでゾンビのような集団であった。


係長「話は聞いていたけど…CBKSの感染者がここまで広まっているなんて…」


現在の兎歩町を蝕む真の病原菌の存在を知らない係長の目にはそのゾンビ集団が噂のCBKSの感染者なのだと思ったのだろう。


そして考えていた以上に兎歩町の事態が悪化していることを目の当たりにした係長は思わず固唾を飲み込んだ。


娘は…モトコは無事なのだろうか…


係長の脳裏に娘の姿が思い浮かんだその時、ゾンビ集団は係長達の存在に気がついたのか、覚束ない足取りで係長達の周りを取り囲み、呪文のように同じような言葉を繰り返した。


モブ山「ニートハイイゾ…ニートニナロウ…」


モブ島「ニートコソカミデアリ…シンラバンショウヲツカサドルモノナリ…」


モブ木「アナタモイッショニ…ニートシヨウ…」


ボブ沢「ニートニナレバ…シアワセニナレル…」


モブ藤「ッテイウカ…カノジョニナッテ…」


モブ崎「アルイハオンナノコショウカイシテ…」


アパレル「…なにこれ?」


由紀「少なくとも、CBKSとは関係無さそうね」


四方八方からプロパガンダを浴びせられるこの状況に戸惑うことはもちろん、その異様な光景に思わずゾッとしてしまう者もいた。


ショタ「とりあえずニートのお兄ちゃん達と合流しよう!」


ショタはそう言って携帯を取り出し、ニートに電話をかけた。







ニート「よお、久しぶりだな、みんな」


アパレル「ニートも元気そうね」


犯罪者「よく兎歩町の中まで来れたな」


係長「いろいろと手を回した結果だね。…その代わり代償はデカかったけど」


ビッチ「あ、あのぉ…お久しぶりですぅ、イケメンさん。私のこと、覚えてくれてますかぁ?」


イケメン「もちろん、覚えてるよ、マドモアゼル」


カグヤ「久しぶりの全員集合だね」


ショタ「みんなに会えて嬉しいよ!」


なんやかんやでおじいちゃんを除いた島でのメンバーが再び集まった。


ニート「係長、仕事はほったらかしにこんなところに来て大丈夫なのか?」


係長「問題無いよ。というよりも仕事が無いよ」


ニート「…え?」


係長「僕も君と同じ境遇に陥ってしまったってことさ…」


ニート「やめてくれよ、俺のアイデンティティ奪うのは」


係長「僕だって…僕だって好きでこうなったわけじゃ…」


係長は自分の身に降りかかった不幸を思い出したのか、涙を流しながらそんなことを呟いた。


犯罪者「いろいろあったんだな…後で呑み明かそうな」


係長「ゔん…」


ニート「アパレルもよく来てくれたな」


アパレル「うん。乗りかかった船を途中で降りるのはなんだか気が進まなくてね」


ニート「来てくれて嬉しいぜ。これでまたお袋の味が堪能できる」


アパレル「だからオカンちゃうて…」


ニート「ビッチも来てくれたんだな」


ビッチ「別にあんたなんかのためじゃないんだからね」


ニート「ツンデレのテンプレみたいなこと言ったな。…分かってるよ、どうせイケメンのためだろ?」


ビッチ「当たり前じゃん。あんたのことなんて毛ほども考えてなかったよ」


ニート「ビッチらしいな。…でもこれってよく考えたら百合展開では?」


ビッチ「なんか言った?」


ニート「いや、別に、なんでもないです」


とりあえずイケメンの性別は黙っておくことにしたニートは今度はショタの方に焦点を合わせた。


ニート「お前なら来てくれるって信じてたぜ、ショウタ」


ショタ「お兄ちゃんこそ、頑張ってるじゃん」


二人の会話はそれだけで終わってしまったが、二人の間にはわざわざ口にしなくとも分かり合える信頼があるのだろう。


ニート「えっと…そちらの方はどちら様でしょうか?」


今度はショタ達について来た由紀の方をチラ見しながらニートは尋ねた。


ニート「もしかして…かの田中さんの娘の…」


係長「そうだよ。彼女は田中さんの娘さんの由紀さん」


ニート「おおおおぉぉぉ!!!!まさか生で田中さんの子供に会えるなんて!!」


田中さんの娘との初対面に今日イチの興奮をみせるニート。


そのままニートは由紀に話しかけようとするが、緊張で震えた声でこんなことを言ってしまった。


ニート「えっと…そ、その…ナイスティーミーチゥー」


由紀「なんで英語なの?」


ニート「いや、その…田中さんの娘だからもしかして普通の挨拶じゃ伝わらないかもしれないと思ったから…」


犯罪者「まぁ、田中さんの娘ならそう考えてもしょうがないな」


カグヤ「そうだね、田中さんの娘さんだもんね」


由紀「人の父親をなんだと思ってるの?」


ニート「あ、でもよく考えたら田中さんの娘さんなら会ったことあったわ」


由紀「…もしかして妹の佐紀に会ったことがあるの?」


ニート「そうそう、佐紀ちゃんとはもう会ったことあるんだよね」


* 佐紀ちゃんは田中さんの娘にして由紀の妹であり、この小説で登場した唯一のロリである。


ニート「二人とも幸運なことに田中さんには全然似てないな」


由紀「そうね、よく母親似って言われるわ。…『幸運なことに』?」


イケメン「へぇ。と、いうことは、お母様は美人な方なんだね」


由紀「それは暗に私のこと褒めてくれるのかな?」


イケメン「事実を述べただけだよ」


由紀「素直に嬉しいわ、ありがとう」


その後も田中さんトークで花を咲かせる一向。


しかし、一人だけ田中トークに交わることが出来ない奴がいた。


腐女子「………」


かつてのニートの島での仲間がやって来たと聞いて興味本位で来たものの、田中さんに会ったことすらない腐女子はこの会話に加わることは出来なかった。


腐女子「仲間、か…」


かつて島で共に暮らし、共にデスゲームで勝利を掴むことで築き上げられた強固な絆で結ばれた彼らを目の当たりにして、自分はまだその領域には踏み込めていないなと痛感した腐女子は、ひとりでボソリとそんなことを呟いた。


別に『私は仲間じゃない』とかそんなことを思ってしまうわけではない。程度の差こそあれど、きっと私も仲間なのだろう。だけど、彼らを見ていると…どうしようもなく羨ましくなってしまう…。


腐女子がそんなことを考えていると、ショタが何かを思い出したかのようにこんなことを言った。


ショタ「そうだ!!島で使ってたみんなの携帯電話を持って来たから、僕からプレゼントするよ!!」


そう言うとショタは懐から幾つかの黒い携帯電話を取り出した。


ショタ「アパレルのお姉ちゃんとビッチのお姉ちゃんと係長のおじちゃんにはもうすでに渡したから…」


ニート「俺と犯罪者はすでに持ってるぜ。あと持ってないのはカグヤとイケメンだけだな」


ショタ「そっか、じゃあ二人にあげるね」


カグヤ「ありがとう」


イケメン「ありがとう、ショタ君」


これでかつての島のメンバーには全員配ったことになったはずだが、不思議なことに携帯はまだ一つだけ余っていた。


カグヤ「この余ってるのは…おじいちゃんの分?」


ショタ「ううん。おじちゃんの携帯は施設に置いてきたから違うよ。これは…田中のおじちゃんの分だよ」


犯罪者「なるほど、Mr.Xが使ってた携帯ってことか…」


アパレル「これはどうするの?」


ショタ「僕が二つ持っていたってもう意味は無いし…これはお姉ちゃんにあげるよ」


ショタはそう言って田中さんの携帯を腐女子に差し出した。


腐女子「…え?私に?」


ショタ「うん、これはお姉ちゃんが持ってて」


腐女子「でも…これはその例の田中さんの携帯なんでしょ?。娘の由紀さんが持ってた方が良いんじゃないの?」


由紀「あなた達はここでまだやることがあるんでしょ?。だったら何かの役に立つだろうし、あなたに持ってて欲しい」


腐女子「でも…私でいいの?」


ニート「当たり前だろ?仲間なんだらさ」


腐女子「…そうだね、仲間だもんね」


ニートの言葉に背中を押されて腐女子は少し遠慮気味に携帯を受け取ると、思わず口角が緩んでしまったこと気が付いた。


ニート「…もしかして、喜んでる?」


普段は鈍感なくせに無駄なところで鋭くなるニートはその腐女子の表情の変化に気が付いたのか、腐女子の顔をジロジロ見ながらそんなことを聞いてきた。


腐女子「気のせいだよ。あんまりジロジロ見るな」


係長「お取込み中のところ悪いんだけど…彼女は一体誰なんだい?」


腐女子とは初対面の係長は唐突にそんなことを尋ねてきた。


ニート「ふっふっふ、聞いて驚け。この者こそ、我らが保護者にしてリーサルウェポンとも呼べる存在である腐女子こと腐女子だ!!」


腐女子「変にハードル上げるんじゃない」


ニートに変に茶化されて上がったハードルを少しの間黙って間をおくことで元の高さに戻した腐女子は淡々と自己紹介をした。


腐女子「私の名前は汐入凪沙。少し掛け算が得意な一般女子高生だ」


こうして、腐女子は田中さんからの携帯を引き取ることによって、田中さんからチョロインの座を受け継ぐことになったとさ。

おまけ


田中さんの携帯を受け取ったので、携帯に残っていたメールの中身を少し確認してみた腐女子の話。時期的には主に島でやりとりしていたメールの内容。



差出人 クズニート


件名 俺って本当に脈あるの?


この前、JKは脈アリだっていう話をしてたけど、具体的には何を根拠にそう言ってるの?。っていうか、そもそも俺はJKのことなんて気になってなんかないし、ただちょっと田中さんのせいでJKに変な誤解与えてないかなって気になって夜眠れない程度のことだし。っていうか、脈があるからってどうこうする気もないし。



宛先 クズニート


件名 RE:俺って本当に脈あるの?


脈アリ、脈ナシの、定義は、曖昧だから、具体的な根拠を、話したって、お前はどうせ、何かと理由をつけて、それを、否定する(^o^)。お前は、別に恋愛に限った話じゃないが、何かの物事に、取り組もうとする時、何かと理由をつけて、それを否定して、結局やらない奴だ(*^^*)。いや、むしろ、それを、やらなくてもいい理由を、わざと探そうとする、タイプの、人間だ(⌒▽⌒)。やらなきゃ、可能性は、ゼロ、って、ことくらい、お前でも、わかるだろy。そういう、タイプの、人間は、まず、行動を、することから始めて、自信を、つける、べき、だ(≧∇≦)。失敗を、恐れるな、ニート\(^o^)/。








差出人 係長


件名 第3958回、娘会議


娘ももう16歳になったっていうことは分かってるんだけど、僕にとって娘はいつまで経っても小学生の時の可愛い娘のままなんだよね。



宛先 係長


件名 RE:第3958回、娘会議


係長が、もし、大学生のような、扱いを、他人から、受けたら、嫌だろうy。それと、同じ様に、娘も、年相応に、扱ってやらないと、そりゃあ、嫌われるだろ(≧∇≦)。いつまでも、子供、って、思っているのは、親バカだけだぞ(*^^*)。










差出人 アパレル


件名 醤油切らしちゃった^^;


田中さん、お願いだから醤油買ってきて〜(笑)




宛先 アパレル


件名 RE:醤油切らしちゃった^^;


ワシは、別に、パシリなんかじゃ、ないぞ(罠)

仕方ないから、明日にでも、送っておいて、やるorz










差出人 JK


件名 答えられるもんなら答えてみろ!!


問題です!!◻︎に共通して入る文字は次のうちどれでしょう!?


◻︎立 ◻︎境 祖◻︎ 鎖◻︎


1、玉

2、光

3、心

4、水




宛先 JK


件名 RE:答えられるもんなら答えてみろ!!


その、四角いやつって、どうやったら、入力できるのy。








ニート「携帯見ながらなにニヤニヤしてるの?腐女子」


腐女子「いや…その…田中さんのメールのやり取り見てたら、私も田中さんに会いたかったなって思ってさ」


ニート「そっか…安心しろよ、田中さんはいつだって空から俺たちを見守ってくれてるからさ」


腐女子「そうだね。私も、見守ってくれてるのって信じてるよ」


そう言って、二人は星空の夜をずっと見上げていたとさ…。









田中「いや、だからワシ死んでないからね!?」







おまけのおまけ

JKの最後の問題、答えは1


◻︎に玉を当てはめれば、国立、国境、祖国、鎖国となる。

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