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つまり末永く養ってくれるってことですか?  作者: なおほゆよ
学園じゃないラブコメ編
31/57

イケメンは処す、これ自然の摂理なり

前回のあらすじ


ニートvs.イケメン


…果たして勝利の女神はどちらに微笑むのか。





モブ紹介



モブ崎 R18足長おじさん


モブ原 春夏秋冬に恋する乙女


モブ山 ダイレクトマーケティング


モブ島 良い人止まり


モブ谷 裁縫人間


ボブ沢 陰湿なイジメが趣味


モブ川 純然たるロリコン


モブ部 趣味はリストカット


モブ木 特技は藁人形作り


モブ藤 盗撮を生業にしている


モブ橋 グルメというよりは悪食


モブ田 お金大好き


田中 モブ。


イケメン「なぜなら僕がイケメン過ぎるからね」






ニートの頭に浮かぶのは、かつて島で共に暮らしたイケメンの姿であった。


無駄にイケメンを振りまき、無駄に輝くイケメンのイケメンたるイケメンの姿。


自己陶酔とイケメンに満たされたイケメン…ただ、ニートはそれ以上はなにもイケメンのことを知らない。


島のでの暮らしは濃厚であったのは間違いない。しかし、あくまでアレはたった1ヶ月余りの出来事。


たった1ヶ月でその人の全てを知った気でいるなんてのはただの自惚れでしかない。


そしてそれは、なにもイケメンに限ったことではない。今回のカグヤのことだってある。


他のみんなのことだって、きっとまだまだ知らないことがある。


ニートは改めて自分の無知を痛感していた。






腐女子「その…イケメンって人はニート達のかつての仲間だったんだよね?」


カグヤの容態も問題無しと判断され、明日には退院できることを知ったニートと腐女子はカグヤの病室からようやく塩入家の発酵室に戻り、先ほどから考え込んでいるニートに腐女子は遠慮がちにそう聞いてみた。


ニート「あぁ、そのはずだった…。今思えば、あいつが時折見せる知識と技術は只者のそれでは無かったな…」


腐女子「へぇ、じゃあ手強いんだね」


ニート「そうだな。島で頼もしかった分、手強い相手だ」


腐女子「ちなみにどんな人だったの?」


ニート「ほとんど完璧に近いイケメンだったよ。まぁ、ナルシストなところが玉に瑕だったけどな。…いや、今思えばそれさえも計算だったのかもな」


腐女子「でも今は別の人物に変装してるんでしょう?元がそんなに完璧なイケメンだったのなら、逆に目立ったりしないのかな?」


ニート「完璧なんだから、変装だって完璧だろ」


腐女子「そんなもんなのかな。…それで、どうする気なの?」


ニート「やっぱりもっと協力してくれる人が欲しいな。さすがに俺ら二人だけでカグヤを守るのは厳しいし」


腐女子「それもそうだね。…誰か候補はいるの?」


ニート「まずは犯罪者だな。あいつなら協力を惜しまないと思う」


腐女子「他は?」


ニート「んー…スカーレットとかかな?」


腐女子「…お互い友達少ないな」


ニート「まったくだ」


タケシ「サナエェ…サナエェ…」


ニート「そういえば、タケシもいたな」


腐女子「スカーレットは良いとして、タケシは戦力に換算していいの?」


ニートと腐女子がそんなことを話していると、発酵室にある人物が訪問して来た。


パツキン「うっす、じゃまするよ」


発酵室を訪れたのはチンピラ前生徒会長から生徒会を託されたパツキンであった。


腐女子「おぉ、パツキンじゃん」


ニート「………」


突然の訪問に驚きながらも歓迎の色を示す腐女子に反して、ニートはバツが悪そうな顔をしていた。


それもそのはず、ニートは前生徒会長の企てを阻止した存在で、言わば生徒会にとっては目の敵なのだ。


そんなニートはもはやパツキンに合わす顔など無かった。


腐女子「今日はどうしたの?」


パツキン「どうしたのはこっちのセリフだよ。今日は学校に来なかったから、月宮さんのお見舞いをしたあとに様子を見に来たんだよ」


腐女子「そういうことね。今日はシロたんから有休貰ったんだよ」


パツキン「有休って…。じゃあニートもそういうことなの?」


ニート「え、えっと…まぁ…」


パツキン「…どうかしたの?」


歯切れの悪い返事を返すニートにパツキン違和感を感じた。


ニート「いや、なんていうかその…パツキンは俺のこと恨んでたりしないのか?」


パツキン「恨む?…もしかして文化祭のこと?」


ニート「まぁ、そうだな」


パツキン「確かにニートは私の尊敬する前生徒会長の邪魔をした。そしてそれは私にとっては許されないこと…。でも、なんでだろうね?不思議とニートを恨むもうとは思えないの」


腐女子「まぁ、分からないでもないね。こんなふざけた野郎、恨んでも仕方ないしね」


パツキン「せやな」


ニート「褒められてるのか貶されてるのか…」


パツキン「とりあえずさ…同じクラスメートで仲間なんだし、仲良くしようや」


ニート「仲間、か…」


そう言うとニートは少し考え込み、その後なにかを覚悟したように顔を上げてパツキンの方を見つめ、口を開いた。


ニート「パツキンを見込んでお願いがある」


パツキン「お願い?」


ニート「俺たちのクラスメートが…俺たちの仲間がピンチなんだ。手を貸して欲しい」


普段は愚か、あの文化祭の最後の脱出劇の時でさえ見せなかったニートの真剣な表情にパツキンただならぬ雰囲気を感じた。


パツキン「…とりあえず、話を聞こうか」


ニート「…カグヤが、命を狙われてるんだ」


パツキンを信頼したニートはCBKSのことを含め、カグヤについての現状を話した。







パツキン「…やっぱり、あの人の予想は間違っていたわけじゃ無いんだね」


この町が封鎖されている原因であるCBKSのことを知ったパツキンはそんなことをつぶやいた。


パツキン「恐怖に反応して人を襲うようになって、人に感染する精神病か…。それに月宮さんが感染してるんだっけ?」


ニート「まだ確証は無いが…おそらくはそうだ」


パツキン「で、その感染者を殺そうとする殺し屋かぁ…心当たりは無いな」


腐女子「ヒントはイケメンってことくらいなんだけどさ」


パツキン「イケメン…イケメン…この町にイケメンなんていたかなぁ」


腐女子「その言い方やめろよ。イケメンがいない町とか悲しいだろ」


ニート「イケメンがいないとか…良い町じゃないか」


パツキン「それで…話してくれてありがたいんだけどさ、正直私みたいな一女子高生には荷が重いんだよね。というわけで、もっと協力してくれる人達に話をしようじゃないか」


ニート「協力してくれる人達?」


パツキン「私達にはもっとたくさんの仲間がいるだろ?」








翌日、兎歩高校の教室には文化祭の熱も冷め、いつものような風景が広がっていた。


カグヤは大事をとって今日もまだ休んでいたが、ニートと腐女子は登校していた。


シロたん「それじゃあ、今日の授業は終わり。これから帰りのホームルームの時間だけど…なにか連絡のある人いますか?」


その日も睡眠学習で無事に授業を乗り越えたニートはそこで珍しく手を挙げた。


シロたん「あら?普段の授業では絶対に手を挙げないニートが珍しいね。…どうしたの?」


担任のシロたんから発言の許可を取ったニートはその場を移動して教壇に立った。


ニート「その…みんなにお願いがあるんだ」


いつになく真剣な面持ちのニートの発言をクラスのみんなは固唾を飲んで見守った。


ニート「まだたった出会って1ヶ月くらいで厚かましいかも知れないけど、俺のお願いを聞いて欲しい」


モブ島「水臭えこと言うなよ!俺たちは仲間だろ!」


ニートの水臭い発言にモブ島は青春漫画みたいな野次を飛ばす。


モブ山「そうだよ!一緒にすね毛剃った仲じゃないか!」


腐女子「…嫌な仲だな」


ツルピカすね毛同盟で結ばれたモブ島とモブ山の仲間発言に他のみんなも肯定して、ニートの背中を後押ししてくれた。


ニート「みんな…ありがとう。実は…その…」


たった1ヶ月…だけれど、人との仲は時間の長さでは無いことを再認識したニートは意を決して真剣な表情で口を開いてこう言い放った。


ニート「…みんなに、イケメンを探して欲しい」


モブ島「ん?」


モブ山「へ?」


モブ川「なんだ、俺のことか…」


突然のイケメン捜索宣言に困惑の声を隠せないモブ達。


ニート「イケメンがカグヤのことを狙っているんだ。だから、どうにかしてそれを阻止するためにイケメンを探して欲しいんだ」


モブ島「イケメンが月宮さんを狙ってる。…なるほど、恋敵を探せってことだな」


モブ川「そんな心配しなくても、俺は幼女にしか興味は無いぞ」


モブ山「あれ?でもなんでニートが月宮さんの恋敵なんだ?。ニートは腐女子と付き合っているはずなんじゃあ…」


ボブ沢「確かに。この前、教室の中心で愛を叫んでたもんな」


モブ島「お前らは分かってない、バカだな。だから彼女ができないんだよ。ニートと月宮さんは幼馴染で、その大切な幼馴染にイケメンっていう悪い虫がつかないようにっていう幼馴染としての配慮だろ」


モブ田「なるほどな。確かにイケメンなんて存在が害悪だもんな」


モブ木「うんうん。奴らがいるから俺らに彼女が出来ないもんな」


モブ島「事情は把握した。お前のイケメン狩り、手伝ってやるぜ」


歪曲した解釈だが、クラスメートはいまの話だけで事情を把握したようだ。


ニート「みんな…」


モブ山「ツルピカすね毛の絆で結ばれた仲間として、手伝ってやるよ」


モブ島「べ、別にあんたのためなんかじゃないんだからね」


モブ谷「私もイケメン興味あるから手伝うよ」


ボブ沢「まぁ、イケメンは処されて当然だからね。手伝うのは義務みたいなもんでしょ」


モブ崎「愛しき女の子を守るために憎きイケメンを潰す…一石二鳥じゃないか」


モブ原「レンジ様のお願いなら、従わざるを得ません」


モブ川「別に心配しなくても、俺は幼女にしか興味は無いのになぁ…」


モブ部「でもこの町にイケメンなんているのかな…いなかったらショックでリスカしそう」


モブ木「殺しは任せな。イケメンの写真さえ取ってくれれば、俺が藁人形で呪殺してやるよ」


モブ藤「それなら写真は俺が取ろう。普段盗撮で磨いたテクを見せつける時だ」


モブ橋「イケメンを抹殺した暁には、みんなでパーティーだな」


モブ田「もちろん、費用はニート持ちな」


シロたん「私も、微力ながらお手伝いするよ」


ニート「ありがとう、みんな」


たった1ヶ月の付き合いにもかかわらず、自分のためにみんなが一致団結し、協力してくれる意思を示してくれたことにニートは涙した。


腐女子「いや、そこ感動するところじゃねえだろ。あとなんか物騒な単語がちょくちょく聞こえるんだけど、気のせい?」


ニート「よーし!それじゃあみんなでイケメン狩りだぁぁぁぁ!!!!」


モブ共「オオオオオオオオ!!!!!」


こうして、イケメンを狩るケダモノ達が野に放たれたとさ。

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