お前らは養われるってことを分かってない
前回のあらすじ
文化祭を女の子と2人で回るとか…はぁ…。校舎ごと爆発しないかな?。
人物紹介
ニート(クソニート) ゴミ屑ニート
月宮カグヤ(JK) 良く言えば一歩引いたヒロイン、悪く言えば目立たないヒロイン。
塩入凪沙(腐女子) 結局こいつの罰はどうすればいいんだ?。
モトコ (パツキン) 陰でいろいろやってる人
その他、紹介するに値しないモブ達。
10月8日
ニート「これは一体どういうことなんだ!?」
文化祭当日まであと3日にまで迫ったこの日、ニートは自分達が催す予定の扶養喫茶の全貌をパツキンから聞いて、そんなことを叫んだ。
パツキン「どういうことって…なにが?」
ニート「どうもこうもあるか!?。これのどこが扶養喫茶なんだよ!?。これじゃあただのコスプレができる喫茶店じゃないか!?」
ニートの指摘した通り、現在の扶養喫茶の概要は、ただのコスプレができる喫茶店となっていた。
パツキン「それ、前に私が指摘したことじゃん。その時はニートだって了解してたのに…いまさらそんなこと言われてもさ」
確かにパツキンの言う通り、パツキンは以前にニートに同じことを質問したことがある。
しかし、その時のニートはイケメンという仮初めの姿をしたストレンジだったので、特に何かを修正することもなく、そのまま放置していたのだ。
そんなニートが再びクズニートに戻ったのち、改めてその概要を説明した結果、いまのような揉め事が起きているのだ。
パツキン「私だって疑問に思うことはあるけどさ…いまさら変更するにしたって、あと3日だよ?。そんな時間も無い。それに、コスプレができる喫茶店ってだけで十分に注目を集めることが出来ると思うよ?」
ニート「いや、これじゃあダメなんだ。養われるってことはみんなが思ってるよりも偉大で、凄いことなんだ…」
腐女子「…いや、なに寝言言ってんだよ?」
ニート「とにかく、これじゃあダメだ。お前らは養われるってことを何も分かってない!」
腐女子「…うん、まぁ、そうなんだろうけど…それがどうした?」
パツキン「それじゃあ、ニートの言う養われるってなにさ?」
ニート「養われるっていうのは…実際にやってみると難しいことなんだ。家族や恋人とかならまだしも、赤の他人から一方的に奉仕してもらうことなんて普通なら不可能なことなんだ。だから、養われるにはなにか養われるだけの理由が必要なんだ」
腐女子「理由ってなに?」
ニート「例えば、今の兎歩町のようになにが起きるか分からない状態の時に、起こりうる脅威に備えて身を寄せ合うためみたいな共通の目的とか…あるいは共通の敵なんていると分かりやすい」
腐女子「敵ってなんだよ?」
ニート「例えばの話だ、例えばの。要するに協力せざるを得ない状況にするのが一番手っ取り早い」
パツキン「…まぁ、言いたいことは分かったよ。養われるっていうのは意外に難しいことなんだね」
ニート「そう、その通り。でも、その分見返りも大きい。なにせ養われてるなら、もうなにもする必要は無いからな。とにかく、養われるってことは素晴らしいことなんだ!!」
パツキン「そんなに熱弁されてもなぁ…」
腐女子「ずっと養われて来たニートにしか分からないことなんだろうね」
パツキン「でも、少しは養われる魅力ってものが分かったよ。…問題は、それをどうやって文化祭で形にするの?」
ニート「うむ、先ほども言った通り、養われることに必要なのは養われるだけの理由…すなわち共通の目的や敵が必要なんだ」
腐女子「だから養われる上での敵ってなんだよ?」
ニート「だから例えばの話だ。で、今回の場合は『一緒にお店を盛り上げる』っていう目的が必要なんだと思う」
パツキン「具体的には?」
ニート「例えば…料理。俺は全くそんなことはないけど、人によっては料理すること…特に誰かのために料理することを楽しめる人がいると思う、俺は全くそんなことはないけど。だからお客さんによっては料理すること自体を楽しんでくれる人もいると思うから、お客さんに料理をしてもらって一緒にお店を盛り上げてもらうとか…俺は全くそんなことはないけど」
パツキン「言いたいことは分かる。でも、それはシステム的に難しいものがある。本来文化祭でも飲食店を経営するのなら、それに携わる人は検査が必要だったりするが…状況が状況なだけに、そういうことは良しとしよう。だが、我々も雇う側として働きたいと所望する人の料理の腕前を見極める必要がある。しかし、文化祭という短い期間でそれを見極めることは困難なことだ」
ニート「それもそうだな。…料理を簡単な品物だけにするとか?」
腐女子「でもあまりに簡単すぎると、作り甲斐が無くなっちゃうし…」
パツキン「こういう時、一体どうすれば…」
ニート「ああ…誰かの料理のレシピに詳しい人がいたらなぁ…」
腐女子「…ん?この流れ、どっかで見たことがあるぞ?」
パツキン「くそっ、うちのクラスにそういうのが詳しい奴がいれば…」
モブ橋「くっくっく、誰かこの私を呼んだかね?」
腐女子「やっぱりこのパターンか…」
パツキン「お前は…グルメというよりは悪食のモブ橋!!」
ニート「和、洋、中はもちろん、果ては昆虫料理にまで手を出した男、モブ橋!!」
パツキン「あと食べたことのない有機物は人間くらいだと豪語するモブ橋!!」
ニート「だけど実は卵と小麦粉がアレルギーだから大半の料理は食べれないことをひた隠しにしているモブ橋!!」
パツキン「可哀想に…パンは美味いぞ、モブ橋!!」
ニート「卵も美味いぞ、モブ橋!!」
腐女子「アレルギーで食べられないもので煽るのはやめたげてよ」
パツキン「それで、なにかいい案があるのか?」
モブ橋「遊び心を掻き立てられるような料理を作らせればいい」
ニート「例えばどういうのだ?」
モブ橋「例えば…手頃なところで言うと、ホットケーキ。これは焼き方次第で動物の顔に似たてた物を焼いたりできる」
パツキン「なるほど、可愛い形のホットケーキが作れるなら、思わず作りたくもなるな」
モブ橋「他にも、お絵描きカフェラテ。コーヒーとミルクを上手に使うことで絵が描けるアレだ。少々練習は必要だろうが、意外と簡単ですぐにある程度は描けるようになるだろう」
ニート「なるほど、確かに遊び心をくすぐるような料理だ。作る方も作られた方も嬉しいだろうし」
パツキン「そういう料理を作れる喫茶店で売り出せば、当初のコンセプトにも沿う形になるな」
腐女子「料理はそれでいいとして、単純に喫茶店として形にするなら集客率もあげなきゃ行けないんじゃないの?。料理を作る側ばかり集めたって赤字でしょ」
パツキン「それもそうだな。思わずお店に行きたくなるような工夫、あるいは上手な宣伝の仕方が必要だな」
ニート「コスプレが出来るっていう特徴はあるけど、なにかもっと上手い宣伝ができれば…」
パツキン「あぁ…こういう時、うちのクラスに宣伝が出来る奴がいれば…」
腐女子「え?またこのパターンやるの?。…っていうか、ダイレクトマーケティングのモブ山がいるじゃん」
モブ山「ふっ、俺はターゲットに合わせて企画をブラッシュアップするのに特化したモブだ。宣伝となればまた違う話だ」
腐女子「そうなんだ。…ダイレクトマーケティングのモブ山って割には使えねえな」
ニート「くそっ!ここに来て宣伝が出来る奴がいなくて手詰まりしてしまうのか…」
パツキン「誰か…誰かいないのか!?宣伝に詳しい奴が…」
モブ川「ふっふっふ、やっと俺の出番のようだな」
パツキン「お前は…純然たるロリコンのモブ川!!」
ニート「小学生の女児生徒が大好きと常日頃からはっきり公言しているモブ川!!」
パツキン「将来その手の犯罪で捕まったら、みんなに『いつかはやると思ってました』と口を揃えて証言されることは確定しているモブ川!!」
ニート「そしてロリコンであること以外は特に特出することは無いモブ川!!」
パツキン「宣伝とか何も関係無いくせになぜここで名乗りを上げたんだ、モブ川!!」
ニート「身の程知らずが…朽ち果てろ、モブ川!!」
腐女子「ここまで来るともはや純然たる悪口だな。…まぁ、本人の性癖に問題があるだけだけど」
モブ川「まぁまぁ、そう邪険にしないでくれ。普通に傷つくから…」
パツキン「それで、何の用だ?」
モブ川「宣伝の方法だけど、この前に話していたお客さんに宣伝してもらうってやつ」
パツキン「具体的にはどうするんだ?」
モブ川「例えば…その…1000円売り上げたら飲み物サービスみたいな…」
パツキン「それのどこが具体的というんだ!?。そんなフワフワした意見を聞きたいんじゃ無い!!。実際にそれを取り入れる際に、システムとしてどうやって機能させるのか!!どうやってお客さんに宣伝させたいと思わせるのか!!。そういうもっと踏み込んだ具体的な案を聞きたいんだ!!。曖昧な意見しか持ち合わせていないなら口を開かないで黙ってろ!!」
ニート「そうだそうだ!!モブのくせに出しゃばるんじゃねえよ!!」
パツキン「ロリコンはさっさと家に帰って児童ポルノ画像でも探してろ!!クソが!!」
腐女子「ひ、酷い言われようだなぁ…」
ニートとパツキンにボロクソ言われ、泣き崩れたモブ川。
そんなモブ川に『そのうちいい女が見つかるさ』と優しく声をかけるモブ島。
2人はお互いの傷を舐めあいながら教室から出て行った。
パツキン「やっとゴミが消えたか…」
ニート「これでちゃんと話し合いが出来るぜ」
腐女子「社会はロリコンに対して手厳しいなぁ…」
パツキン「でも、お客さんに宣伝させるっていうのは悪い手ではない。何人お客さんを連れて来たかを個人別にメモして、5人連れて来たらタダにするとかすればいい宣伝媒体になると思うんだ」
ニート「1時間でお客さんを何人連れて来れたかをランキング制にすれば、競争意欲も掻き立てられると思うんだ」
パツキン「なるほど、それは面白そうだな」
ニート「これなら扶養喫茶で売り出せるんじゃないか?」
パツキン「確かに、試みとして面白そうではある。だが、一つ大きな問題がある」
ニート「大きな問題ってなんだよ?」
パツキン「…もう文化祭まで時間がないっていうことだ。あとたった三日間でそこまで準備が出来るかどうか…。私も生徒会の方の出し物があるからそんなに時間が取れないし…」
腐女子「確かに、あと3日だもんね…」
残り3日という現実を前に半端諦めムードになる中、教室にいた1人の人物が立ち上がり、声をかけて来た。
カグヤ「やろうよ、扶養喫茶。みんなでやれば間に合うよ」
ニート「…カグヤ?」
カグヤ「レンジが提案したことだもん。きっと面白いに決まってるよ」
その一言がきっかけとなり、クラスのモブ達も立ち上がり皆口を揃えて『やろう』と主張し始めた。
モブ崎「やろうぜ!!」
モブ原「レンジ様がいるなら、私も手伝うよ」
モブ山「面白そうじゃん、扶養喫茶」
モブ谷「もっとコスプレ用の服も作っておかなきゃね」
ボブ沢「仕方ないから手伝ってやるよ」
モブ部「間に合わなかったらみんなでリスカしよう」
モブ木「て、手伝ってあげてもいいんだからね」
モブ藤「べ、別に手を貸してあげてもいいんだからね」
モブ橋「し、仕方ないから手伝ってあげるんだからね」
モブ田「あんたのためなんかじゃないんだからね、勘違いしないでよね」
パツキン「みんな…ありがとう。よし、じゃあ一丁、扶養喫茶をやるとするか!!」
こうして、クラスの出し物は当初の予定通り、扶養喫茶となり、それに向けてみんな慌ただしく動き始めたとさ。
ニート「よし…じゃあ、俺は帰って寝るから後はよろしく」
腐女子「お前も働け」
シロたん「ほら、もう下校時間はとっくに過ぎてるわよ!!」
扶養喫茶へ向けてクラスのみんなで準備を初めて数時間後、担任のシロたんがもう帰るように指示しに教室へとやって来た。
パツキン「おお、もうこんな時間か…」
クラスのみんなは時間を忘れて作業に没頭していたため、下校時間を過ぎていたことに気がついていなかった。
腐女子「久しぶりに働いて汗かいたな」
カグヤ「そうだね、お風呂入りたいね」
パツキン「じゃあさ、みんなで銭湯に行かない?。近くにあるんだけどさ」
モブ谷「いいね。行こうよ」
モブ部「ねえねえ、先生も行かない?」
シロたん「え?わたしも?」
そんな感じで女性陣が銭湯に行く話で盛り上がっているのを、クラスの野郎どもは気色の悪い目でジッと見ていた。
モブ島「まさかこれは…温泉回フラグ!?」
モブ藤「バカな…そんなものは都市伝説では無かったのか!?」
ニート「とうとうこの小説にも来てしまったというのか…テコ入れの波が!!」
次回、まさかまさかの温泉回…の予定。
…え?この流れ前も見たことある?
気のせいだよ。




