もうどこにも堕ちようもない底辺がそれでも堕ちると一周回って神になる
前回のあらすじ
あと一歩、あと一歩のところで腐女子が…。でも作者的にはこういうキャラが勝手に動いて予想外の展開にしてくれる時が書いてて一番楽しい。
人物紹介
萩山レンジ(ニート) もうすでに堕ちるとこまで堕ちたニート。そんな彼が失恋でさらに堕ちるとしたらそれは…。
月宮カグヤ(JK) 引きこもり系ヒロイン。彼女の闇はみなさんが思ってるよりももっと深い。
塩入凪沙 (腐女子) 前回の戦犯。現在執行猶予中。
母 父 塩入家の母と父。
シロたん クラスの担任。英語の教師らしい。
スカーレット 結局いまだに何も出来てない駄犬。
その他モブ共。
9月14日朝
失恋で泣きじゃくるニートを慰めながら家に連れて帰った腐女子は朝、目がさめると部屋にニートがいないことに気が付いた。
腐女子「…あれ?ニートのやつどこに行った?」
部屋にはニートがおらず、代わりに部屋の隅で置物が「サナエェ…サナエェ…」と、繰り返していた。
腐女子「…もしかして、失恋のショックで頭がおかしくなって徘徊でもしてたり…」
腐女子は少し心配になりながら、家族の待つリビングへと降りて行った。
母「おはよう」
父「おはよう」
腐女子「おはよう。ニートを見なかった?」
母「ニートなら朝早く出かけて行ったわよ」
腐女子「ニートが朝早く出掛ける?。どこに?」
母「ジョギングに出掛けたわ」
腐女子「ジョギング!?。あのニートが!?。まさか、本当に失恋でおかしくなったんじゃ…」
腐女子がそんな心配をしていると玄関から「ただいま」という透き通るような爽やかな声が聞こえて来た。
玄関から現れたその男は爽やかに滴り、光り輝く汗をタオルで拭き取りながらリビングに現れ、どこまでも透き通るような爽やかな声となにもかも包み込むような優しい笑顔で腐女子に向かって「おはよう」と口ずさんだ。
腐女子「お…おはようございます…」
突如現れたイケメン風の爽やかな男に腐女子はたじろぎながら挨拶を返した。
そしてその爽やか男は爽やかな足取りで洗面所の方へと消えて行った。
腐女子「…お母さん、いまの誰?」
母「誰って…ニートよ?」
腐女子「あぁ、そっかそっか、ニートか。…へっ!?」
登校時
ニート「お婆さん、お荷物お持ちしましょうか?」
重そうな荷物を背負って階段を上がるお婆さんに紳士的にかつ爽やかに声をかけるニート。
お婆さん「おや?悪いねえ…」
ニート「いえいえ、当然なことをしたまでです」
腐女子「………」
公園前にて…
男の子「うわあああああ!!!木に引っかかった風船が取れないよぉぉぉ!!!」
ニート「僕に任せて」
ニートは優しくそう告げると華麗に、かつ爽やかに上空を舞い、木に引っかかった風船をキャッチした。
ニート「今度は離しちゃダメだよ」
男の子「あ、ありがとう…かっこいいお兄さん」
優しく、かつ爽やかに男の子に風船を渡すその姿はまさしくイケメンそのものであった。
腐女子「………」
一方、そのころカグヤの家の前では…
モブ島「…ニートのやつ遅いな」
スカーレット「ワン!」
日課のスカーレットの餌やりに来ていたモブ島。
モブ島「もしかして…あいつ今日は来ないのかな?」
スカーレット「ワン!」
モブ島「月宮さんの説得…俺一人じゃ無理だよな?」
スカーレット「お前には絶対無理ワン!!」
モブ島「だよなぁ…ん?」
スカーレット「ワン?」
街中にて…。
幼女「うわぁぁぁぁ!!!!お母さんどこ!?!?」
ニート「泣かないで、リトルレディ。君に涙なんて似合わないよ」
幼女「でも、お母さんとはぐれて迷子になっちゃって…」
ニート「一緒に探してあげるよ。さぁ、行こう」
心の底から包み込んでくれるように優しく、かつ爽やかに幼女の手を握ってニートは母親を探し始めた。
普段ならば通報待った無しのこの光景も、なぜかいまのニートには絵になっていた。
無事に母親も見つかり、ニートは爽やかに幼女を引き渡し、爽やかに去って行った。
その後ろ姿を幼女は頬を染めながらずっと見つめていたことに腐女子は気が付いた。
腐女子「………」
しかし、何か言いたげな顔をしながらもなにも言わない腐女子であった。
そんなこんなでようやく学校にたどり着き、自分の席に座って、腐女子はなんとも言えない顔でニートを見つめながら心の中で呟いた。
…これ、私のせいかなぁ。
いや、ニートがショックを受けることは分かってたんだ。それを承知した上で私が月宮さんに言わせたことだ。しかし…些かショックが大きすぎたのか…それとも…。
とにかく、いまのニートはおかしい。いや、アレはもはやニートもとい、レンジではない。レンジはレンジでもストレンジだ。っていうか、ニートの断片すら残ってない、ただの別人だ。あのストレンジがこれ以上なにか面倒ごとを起こす前にニートに戻さないと…。
腐女子がそんなことを考えているとたくさんの書類の山を抱え、教室へと入ってきたモブ原の姿があった。
今にも倒れてしまいそうな書類の山を抱えたモブ原は皆様の予想通り、なにかに躓き、バランスを崩してしまった。
読者以外、誰もがモブ原が倒れて、書類が散乱することを予測したが、間一髪のところであのストレンジがモブ原を爽やかに支えた。
ストレンジ「怪我はないかい?マドモアゼル」
まるで背景に薔薇の花でも舞い散っているかのように美しくモブ原を抱きかかえるそのストレンジに思わずモブ原は顔を赤く染める。
モブ原「は、はい…大丈夫です」
ストレンジ「前髪、切ったんだね」
モブ原「は、はい…0.5ミリほど…」
ストレンジ「よく似合ってるよ、かわいいね」
モブ原「ハウっ!!」
腐女子「………」
その様子を遠くから眺めていた腐女子にも、モブ原のハートが撃ち抜かれたのが見えた。
モブ部「なんか、萩山くん、急に雰囲気変わったよね」
モブ谷「うんうん、なんかカッコよくなったよね」
クラスからそんな声が囁かれているのが腐女子にも聞こえた。
腐女子「…ま、まずい。早めになんとかしないと…」
そしてもうすぐ始業が始まろうとしている中、教室へと駆け込んできた一人の男がいた。
モブ島「はぁはぁ…危ねえ!遅刻するところだった!」
朝っぱらから汗だくなモブ島に、ストレンジは爽やかに挨拶をかます。
ストレンジ「おはよう、モブ島」
そんなモブ島にも輝くような爽やかスマイルを向けるストレンジ。
モブ島「な!、なんだこの眩しい笑顔は!?。眩しすぎて直視出来ない!!」
モブ島は見知らぬストレンジに思わずたじろぎ、その爽やかな眩しさのあまり目を細めてストレンジを眺めた。
ストレンジ「ははっ、朝から面白いな、モブ島は」
モブ島「やめろ!イケメンが俺に近寄るな!!。比較対象にされるだろ!!」
授業中…。
シロたん「それじゃあこの『stranger』の単語の意味を…ニートに答えてもらおうかな」
ストレンジ「はい、意味は『見知らぬ人』あるいは『外国人』という意味です」
シロたん「That's right!!。なんだか雰囲気変わったわね、もしかしてこれからモテるんじゃない?ニート君」
ストレンジ「いえいえ、先生ほどではありませんよ」
シロたん「あらあら、そんなこと言っちゃって…」
腐女子「………」
時間が経つにつれ、ますますイケメンに磨きがかかってくるニートを見ているとますます強い焦燥感に駆られる腐女子。
そして時は経ち、授業も終わり放課後となった。
パツキン「ニート、文化祭の話なんだけどさ…」
ストレンジ「どうしたんだい?。僕に出来ることがあるならなんでも言ってくれ」
背景に花びらを散りばめながら爽やかにパツキンの言葉に答えるニート。
パツキン「お、おぅ…誰だお前?。まぁ、いいや。この前文化祭の話し合いでお客さんにも宣伝してもらうっていうやつなんだけどさ、例えば5人に購入させたら焼きそばが無料になるとして、その具体的なシステムをどうすればいいかなって思ってさ」
ストレンジ「具体的なシステム?」
パツキン「例えば、売り子をやってくれるお客さんがいるとして、そのお客さんには前売り券を5枚売って貰うとするじゃん?。でも、それっていうことは、お客さんにお客さんにお金を管理してもらうことになっちゃうし、実際にその人が売った前売り券ってことを証明することも難しいだろうし…システムとしてどうしても複雑にならざるを得ないと思うの。どうにかしてそれを簡略化したいんだけど、なにか良いアイデアは無いかな?」
ストレンジ「だったら、まとめて買うとお得になる制度にしたらどうかな?。例えば6個まとめて購入すれば一個分の料金が無料っていうシステムにすれば、実質的に同じことを簡略化出来ると思うんだ」
パツキン「なるほど、確かにそれならやってることはほとんど同じでも、そっちの方が簡単だね。さすがニート、アイデアが素晴らしいね」
ストレンジ「いや、別に大したことじゃないよ」
イケメン特有の全く嫌味ったらしくない謙遜でニートは答える。
パツキン「他にもさ、このことなんだけどさ…」
パツキンのあげる問題点に次々と適切なアドバイスを答えるニート。
そんな様子をじっと観察していた腐女子はここでようやくあることに気が付いた。
あれ?これってむしろこのままの方が良くない?。
なんで私はわざわざ元のダメニートに戻す必要があるんだ?。
うん、無いな。どこにも無いな。
うん、ニートなんて最初からどこにもいなかったんや。
さらばだ、ニート。
腐女子が死んだニートに対して合掌を行っていると、新生ニートが腐女子の元に近づいて来て、声をかけて来た。
ストレンジ「凪沙、一緒に帰ろう」
腐女子「…え?、お、おう…」
普段とは違って、いきなり下の名前で呼んで来たことに不覚にも少しドキッとしてしまった腐女子。
腐女子「…いや、『ドキッ』ってなんだよ?『ドキッ』って…」
腐女子は自分の心にそんな感じで軽くツッコミを入れた。
夕日に照らされた川沿いの道を絶妙な距離感を保って並んで歩く二人。
時より垣間見える女性心をくすぐるアンニョイな仕草がまた一段と夕日と共に映えるニート。
隣で颯爽と歩くイケメンをチラチラと眺めながら、なんだが居心地の悪い時間を過ごす腐女子。
なぜだが、腐女子はいつもニートといるときと違って落ち着かないのだ。
いつもとは違ったニートに距離感を感じてるのか…それともあまりのイケメンに緊張してしまっているのか…とにかく、腐女子は落ち着いていられることが出来なかった。
しかし、考えようによってはイケメンの隣を独占できるというのは役得だなと、腐女子はポジティブに受け取った。
だが…。
一般女子「見て見て、あの人イケメンじゃない?」
一般女子2「本当だ!イケメンだ!。…でも隣にいる人は彼女かな?」
一般女子「いやいや、彼女なわけないでしょ?。だって全く釣り合ってないもん。どうせ付き人か背後霊かどっちかだよ」
ニートと並んで歩く腐女子を指差しながらそんな声がチラホラと上がっているのが伺えた。
…イケメンと付き合うのって、大変なんだな。
この時の腐女子はまだそのくらいのことしか思わなかった。
その時、少し大きめの車が道路を走って来たため、ニートが腐女子を体を張って腐女子を守り、腐女子を道路の隅の方に寄せた。
ストレンジ「大丈夫?」
西日で輝いて見えたその笑顔に腐女子の心はトクンッと脈打った。
腐女子「だから『トクンッ』ってなんだよ!?。『トクンッ』って!!」
思いもよらぬ動揺に思わず声を荒げて突っ込んでしまった腐女子であった。
それから時は過ぎて塩入家では晩御飯が始まっていた。
母「今日はニート君が手伝ってくれたから楽できたわぁ」
ストレンジ「いえいえ、このくらい当然のことです」
母「まぁ、本当にニート君は良くできた子だわぁ。うちの娘にも爪の垢を煎じて飲ませたいわぁ…」
腐女子「………」
父「全くだ。本当によく出来た子だ。…うちの娘を、よろしく頼むな」
腐女子「………」
ストレンジ「いえいえ、僕なんかまだまだですよ」
母「そんなに謙遜しなくていいのよ」
父「そうだそうだ。家族水入らずって言うだろう」
腐女子「………」
母はともかく…あの父まで懐柔してしまうとは…。
しかも変な方向に話を進ませようとしてるし…。
そして発酵室にて…
腐女子「ふっふっふ…ついにこの時がやって来たぞ」
ニートがお風呂に入っている間、置物はあるが部屋に一人でいることの出来る間に腐乱しておこうと考えた腐女子は椅子に座り、原稿用紙に向き合った。
腐女子「この幸せの時間を…至福の時を…誰にも邪魔などさせない。腐れ、我が魂よ。腐敗を信仰し、腐敗を奉り、腐敗を愛し、腐敗を崇め、腐敗に染まれ。我は腐、腐は我なり。集いし腐を繋ぎ合わせ、新たなる腐を生み出し給え!!!」
腐女子が呪文を唱え、部屋が徐々に腐乱で満ちて行き、いざ新たなる腐の命を宿そうとした時、「お風呂空いたよ」という爽やかな声と共に扉からニートが現れた。
すると、部屋に満ちていたはずの腐乱臭がニートを中心に竜巻を起こす勢いで吸引され、代わりに部屋中にミントの爽やかな香りが広がっていった。
それと同時に腐女子の手がピタリと止まり、腐の創作意欲が爽やかミントによって完全に打ち消されてしまった。
部屋にイケメンミントが満ちてしまった以上、醸す元となるものがなくなってしまい、腐女子は発酵元を失い、腐らせることが出来なくなってしまった。
腐女子「バ…バカな…。私の究極の腐が…一瞬で爽やかミントに打ち消されただと…」
腐女子かそう言いながら震えていると、ニートがその手を優しく包み込み、ウルトラミントボイスで腐女子に囁いた。
ストレンジ「夜更かしは美容の敵…早く寝ないとその可愛い顔が台無しになっちゃうよ」
その甘いマスクに思わず腐女子のハートもキュンっと高鳴った。
腐女子「だから『キュン』ってなんだよおおおおおお!!!!!!」
腐女子はそう叫びながら、いまの高鳴りを無かったことにするかのような勢いで目の前の机に向かって何度も何度も自ら頭をぶつけ始めた。
ストレンジ「大丈夫かい!?。頭大丈夫かい!?」
腐女子「大丈夫じゃない!!大丈夫じゃない!!大丈夫じゃない…と信じたい!!!!!。っていうか、なんなんだよ、これ!?。イケメンと同棲とか少女漫画かなにか!?」
そんなことを叫びながら頭をガンガン机にぶつかる腐女子を見かねて、ニートは後ろから腐女子を包み込むように優しく抱きしめた。
ストレンジ「落ち着いて、凪沙。大丈夫、僕がそばにいるから」
腐女子「だからどこの少女漫画だよぉ!!!!!」
結局、部屋に満ちたミントスメルによって、腐女子は腐乱活動はおろか、胸が高鳴って一睡も眠ることが出来なかった。
9月15日朝
ニートと並んで、いろんな女性から後ろ指を指されながら登校。
9月16日昼
クラスの女子から呼び出され、ニートのことについてあれやこれや尋問される。
9月17日夜
両親のニートに対する婿に来てくれアピールが痛々しくて見ていられない。
9月18日深夜
今日も一睡も出来なかった。これで5日連続で寝れていない。…このままでは命に関わる。
9月19日 朝
朝から腐女子はとある人物の家に向かっていた。
目の下にとてつもなく大きくドス黒いクマを携え、向かったのはあの月宮カグヤの家だった。
腐女子が家の前に到着すると、そこではモブ島がスカーレットに餌をやっていた。
モブ島「あれ?。腐女子がここに何しに来たんだよ?」
腐女子「何しにって…生きるために来たんだよ」
鬼のような気迫に満ちたその目力と声色に、モブ島は思わずチビってしまった。
そしてその鬼神のような気迫のまま、インターホンの前に立ち、インターホンを全力で連打した。
目にも止まらぬ速さで押されたインターホンから、鳴り止まぬピンポンが木霊する。
唯一の目撃者であったモブ島は後にこの時の出来事を「秒速30連打は超えていた」と証言するほどだった。
朝から喧しく鳴り響くインターホンにうんざりしたのか、ガチャリという鍵が開く音と共に、ドアが少しだけ開き、中からカグヤの姿が現れた。
そして腐女子がそれを確認するや否や、光速で頭を地面にピッタリと付け、誠心誠意の土下座をしながらこう叫んだ。
腐女子「お願いですから、学校に来てください!!」
カグヤ「え…えぇ…」
予期せぬ訪問者のあまりに唐突な土下座に、カグヤはただただ困惑するばかりだった。
腐女子「最近、部屋にイケメンがいるんです!!」
モブ島「…よかったじゃん」
腐女子「良いわけねえだろ!!おかげで私は死にかけてんだぞ!?。部外者がしゃしゃり出んじゃねえ!!殺すぞ!!」
マジの殺気に満ちた腐女子のその声に、モブ島はまたまたチビってしまった。
そして腐女子は再びカグヤの方に向き直り、腰の低い声で話を続けた。
腐女子「おかげで私は最近、女子に悪口言われるわ、夜も眠れないわで困っているんです」
カグヤ「は、はぁ…」
腐女子「いや、最悪それは我慢できるんです。本当に問題なのは、そいつがいるせいで部屋の腐乱臭が換気されて、まったく腐活動が出来ないことなんです。人から嫌われることや、寝ることは最悪諦めます、でも私は腐らなきゃ生きていけないんです!!」
モブ島「いや、冷静にその中で一番大事なのは睡眠だろ?」
腐女子「フジャjまDK#3にさ@.COM!!!!!」
腐女子は声にならない言葉でモブ島を威圧し、そしてモブ島はチビる。
腐女子「昨日に至っては、こんな♂が散乱する部屋にイケメンをあがらせるのは申し訳ないななどと思ってしまい、ついには部屋を綺麗に片付けてしまうほどなんです!!」
モブ島「…良いことじゃねえか」
冷静なツッコミをいれるモブ島に無言で全力のドロップキックをかます腐女子。
鬼神のドロップキックをまともに食らったモブ島は十数メートルほど吹き飛び、ブロック塀に激突し、そのまま壊れたブロック塀の破片に埋もれ気絶し、最後には失禁してしまった。
腐女子「このイケメンを消し去るにはあなた様のお力が必要なんです!!。だから一緒に学校に来てください!!」
カグヤ「…ごめんなさい、私は行けない」
腐女子「だからどうして!?」
カグヤ「それは…分からないけど…」
腐女子「そんな訳わかんないものに怯えてどうするのさ!?」
カグヤ「…とにかく、私は行けないの!!」
腐女子「そんなこと言って…本当は行きたいくせに!!!!」
カグヤ「別に…そんなことは…」
腐女子「じゃあニートに別れを告げる時にどうして…どうしてあんたは泣いてたのさ!!」
カグヤ「それは…」
腐女子「ほんとは言いたくなかったからだろ!?。ほんとは一緒にいたかったんだろ!?。だから別れが嫌で泣いたんだろ!?。…ほんとは、レンジに会いたいんだろ!?」
カグヤ「でも…でも…」
腐女子「理由もわからないことに一人で怯えてたって仕方ないだろ!?。学校に行けば私だって…他のみんなだって…ニートだって力を貸してくれる!!。こんなに嬉しくて、心強い奴らはいないだろ!?」
カグヤ「………」
腐女子「扉は私が開けてやった!!。あとは…あんたが一歩踏み出せばいい!!」
カグヤ「でも、もし…私のせいで…」
腐女子「まだぐちぐち言うのか!?。洒落臭え!!だったら、あんたの代わりに私が責任とってやるよ!!」
そういうと腐女子はカグヤの腕を掴み、力一杯ドアの外に引きずり込んだ。
唐突な出来事にカグヤは反応しきれず、扉の外の世界への最初の一歩を無理やり踏み出された。
腐女子「あんたを無理やり外に出したのは私だ。ここで何か起きても私のせいにしてもいい。だから…もう怖がらなくていい」
カグヤ「…うん」
腐女子「よし!。その代わり、あんたは私に付き合ってもらうよ」
腐女子はそう言うとカグヤの手を引っ張り、外の世界へと駆け出した。
息を切らしながらこの光り輝く世界を駆けるカグヤは目に涙を浮かべながら一言呟いた。
カグヤ「ありがとう…」
腐女子「…私こそ、すまなかった」
そして二人は手を握ったまま、彼女らの学び舎へと消えて行った。
一方、瓦礫に埋もれたモブ島は…追い打ちをかけるかのように、スカーレットにションベンをかけられていたとさ。
おまけ
裁判官「………」
腐女子「………」
裁判官「このたびの働き、実に大義であった」
腐女子「ありがたきお言葉…。それで、罰の方はどうなるんですか?」
裁判官「うむ…作者的にもこの展開は予想外だった。…まさかカグヤを連れ出したのがニートではなくて腐女子だったとは…この前回の罪が帳消しになるほどの活躍は作者的にも予想だにしてなかった。それゆえ、前回のあとがきで腐女子の罰を読者様から募集してしまったことを大変後悔している」
腐女子「それじゃあ…私の罰は…」
裁判官「いや、腐女子には悪いが、すでに何件かの罰案をいただいてる中、「やっぱ罰は無しで」というのはご意見をいただいた皆様には大変申し訳ないので、何か罰は受けてもらう」
腐女子「そんな馬鹿な!!」
裁判官「というわけで、裁判官は引き続き腐女子への罰を募集しております。皆様のユニークなたくさんの罰案をお待ちしております。っていうか、もうこの際だから罰じゃ無くてもいいや、腐女子にやらせたいことならなんでもいいや」
腐女子「それ私、ただの見世物じゃん!!」




