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ヒーロー再来?

前回のあらすじ


とうとう運命の再会を果たしたぜ…スカーレットとの再会をな!!。




人物紹介


萩山レンジ(ニート)

もはや語る事も職もない男


塩入凪沙(腐女子)

全身腐敗乙女


タケシ

置物


モトコ(パツキン)

…あれ?もしかしてこいつが一番まともなやつ?


月宮カグヤ(JK)

ネクラにイメチェンしたヒロイン


鬼塚ケイ (犯罪者)

かつてのニートのデスゲーム仲間、略してデス友。いまは兎歩町で町の治安を守る組織、兎歩委員会の委員長をやっている。


チンピラ

兎歩高校の生徒会長。強面フェイスだが、よく人殺しの目をしてると言われる事がコンプレックスだったりする。パツキンと共に兎歩委員会に所属している。


司馬泰宏 (シバ先)

兎歩高校の教師。兎歩委員会に所属している。


白木美香 (シロたん)

同じく兎歩高校の教師でニート達の担任。兎歩委員会に所属している。

久しぶりに出会ったカグヤの変わり果てた姿を前に、ニートは困惑していた。


ニート「えっと…随分と痩せたな、カグヤ」


カグヤ「…あなた、誰なの?」


薄暗い部屋の隅で膝を抱えて座り込むカグヤはニートに向かいって鋭い視線で睨みつけながら質問した。


ニート「俺は…その…名前は萩山レンジっていうんだけど、ニートを生業にしている」


パツキン「生業が無いからニートじゃないの?」


ニートの後ろでツッコミを入れるパツキン。


カグヤ「萩山…レンジ…うぅっ」


ニートの名前を聞いたカグヤは頭痛で頭を抱えた。


スカーレット「ワン!!ワン!!」


玄関からご主人様の姿を見た犬のスカーレットは嬉しそうにシッポを振って、カグヤの方に歩き出したその時…。


カグヤ「来ないで!!!!」


家に入ってくるのを拒むかのようにカグヤはそう叫んだ。


スカーレット「くぅん…」


怒鳴られたスカーレットは意気消沈したのか、その場で座り込んでしまった。


カグヤ「来ないで…誰も私に近づかないで…。お願いだから帰って…1人にして…」


その言葉からはカグヤの必死な思いが込められているのが分かった。


ニート「…カグヤ?」


カグヤ「どっちにしても…私には記憶が無いからあなたのことは覚えてないの。だから…帰って」


ニート「………」


カグヤのあまりの変貌ぶりにニートは言葉を無くし、困惑してどうすることも出来なかった。


そうこうしているとニートの後ろからパツキンが顔を出し、玄関からカグヤに声をかけた。


パツキン「私、月宮さんのクラスメートのモトコっていうんだけど…月宮さん、学校に来ない?。こんな状況だからまともな授業はあんまり出来ないんだけど…それでも学校自体はやってるんだ。文化祭の準備とかでなにかと忙しくて…もし良かったら手伝いに来てくれるかな?」


カグヤ「ごめんなさい…。今の私には無理です…」


パツキン「そっか…。まぁ、無理にとは言わないわ。気が向いたら来てね、待ってるから」


パツキンはそれだけ伝えると玄関の扉を閉めてしまった。


扉を前に取り残された2人と一匹。


しばらく立ち尽くした後、ニートが口を開いた。


ニート「いいのかよ?。カグヤを学校に連れて行かなくて」


パツキン「ニートこそいいの?幼馴染があんなに引きこもっちゃって」


ニート「そういうわけじゃ無いけどさ…」


パツキン「よし、だったらニートが月宮さんを学校に連れて来てよ」


ニート「え?なんで俺が?」


パツキン「幼馴染を引きこもりにさせるわけにはいかないでしょう?。そうさせないためにもニートが月宮さんを学校に連れて来てよ。私なんかよりも多分ニートの方が可能性あるでしょ」


ニート「えぇ…そもそも俺は学校にこれ以上行くにも無いし…」


パツキン「なに言ってるのさ?。扶養喫茶の発案者はニートでしょ?。だったら責任取って文化祭までは学校に来てよね」


ニート「文化祭まででいいのか?」


パツキン「うん、どっちにしろ、こうしていられるのも文化祭までのだろうし…」


ニート「何の話だ?」


パツキン「いや、こっちの話。とにかく、文化祭までに月宮さんを学校に連れて来てよね」


ニート「あんまり自信は無いが…」


パツキン「まぁ、頑張れ」


スカーレット「ワン!」


パツキン「それじゃあ、私はこれから会議があるから失礼するね」


ニート「会議?」


パツキン「ほら、前にも兎歩町を取り仕切る団体に所属したって言ったじゃん?。兎歩委員会っていう団体なんだけど…今からその会議があるからさ」


ニート「ふーん…忙しいんだなぁ」


パツキン「まぁね、そういうわけで月宮さんのことお願いね」


パツキンはそれだけ言い残してその場を去ってしまった。


ニート「さてと…これからどうしたもんかね?スカーレット」


スカーレット「ワン!」


ニートの兎歩町での宿題は増える一方であった。








一方、ニートがカグヤに会いに行っている最中、発酵室ではいつものように机に向かって腐敗し続ける腐女子の姿があった。


腐女子「ニートは朝早くから家を出て行った。久しぶりに部屋で1人になれたことだし…アレでもするか…」


タケシ「サナエェ…サナエェ…」


腐女子は久しぶりに部屋で1人になれたことを確認するとペンを片手に机に向かって呪文を唱え始めた。(え?1人じゃ無い?タケシがいる?。置物みたいなもんでしょ、アレって)


腐女子「腐れ、我が右腕に宿りし腐の魂よ。森羅万象に眠りし万物の同性愛者を繋ぎ止め、究極なる愛の完全結晶を醸し出せ!!」


原稿に思いの全てをぶつけるべく目を閉じて集中し始めた腐女子。


やがて彼女は体全体から腐の気迫を醸し始める。


腐女子「腐り!醸し!!饐え!!!そして輝き発酵し、我を腐へと導き給え!!!!!」


そう叫びながらそのまなこを見開いた腐女子は原稿用紙の上にあるはずの無い光る謎のラインを捕えた。


腐女子「見える!!見えるぞ!!!。これが腐のライン!!!!」


彼女は光るラインをペンで素早くなぞり、その愛の結晶を形としてゆく。


腐女子「友情を超えた愛情!!。兄弟の絆を超えた愛情!!。敵対するライバルとの禁断の愛情!!。今の私に書けないものなどない!!。今の私にならありとあらゆる人物を!物を!現象を!全ての森羅万象を腐らせることもできる!!!!。この手で腐らせられない物などない!!!!」


驚くほどの気迫と速さで次々と原稿を書きおろす腐女子。


腐女子「腐れ…腐れ腐れ腐れ腐れ腐れ!!!!!。どんどん腐れ!!!。もっと腐れ!!!。腐が世界を包んでも腐れ!!!。腐さえも腐らせろ!!!。まだ腐れる!!!!。究極の腐敗とはこんなものでは無いはずだ!!!!。もっとだ…もっと腐らせろおおおおおおおおお!!!!!!!!!」


腐女子の腐の行進は止まらない。それどころかますますスピードを加速させ続ける。


タケシ「サ…サナエェ…サナエェ」


その様子を真横で見ていたタケシも思わずドン引きするレベルの腐臭を撒き散らす腐女子。


ものすごい勢いで仕上がってゆく腐敗物はまるで紙吹雪のように部屋中を飛び散る。


そして最後の一枚を仕上げた腐女子は椅子から立ち上がり、腐の紙吹雪に包まれながら、最後にこう呟いた。


腐女子「またひとつ…世界を腐らせてしまった…」


タケシ「サ…サナエェ…サナエェ…」


腐が乱れ舞う部屋の中、タケシはただただサナエと言うことしか出来なかった。








所変わって、兎歩高校のとある会議室には十数名ほどの人が集められていた。


閉鎖された兎歩町の平穏を守るべく活動している兎歩委員会の会議がそこでは行われていた。


犯罪者「それで…いきなり会議なんて開いてなにを話し合うつもりだ?」


兎歩委員会の開設者でもあり、委員長を務める犯罪者こと、鬼塚ケイ。


そんな委員長を目の前に兎歩高校の生徒会長である強面のチンピラが口を開いた。


チンピラ「今日集まってもろたのは他でも無い…兎歩町からの脱出を提案させてもらうためや」


生徒会長らしからぬそのドスの効いた声が会議室に響き渡る。


犯罪者「前にも言ったが、それは反対だ。町は完全に武装した兵隊に囲まれている。下手に脱出を試みても撃たれて終わるだけだ。仮に脱出出来たとしても、おそらくは政府によって捕えられて連れ戻されるか…最悪の場合、殺させるだろうな」


チンピラ「だからってこのまま指をくわえて事の顛末を見てろって言うんか?」


犯罪者「それじゃあ聞くが、どうやってこの町から脱出するって言うんだ?。下水道はもちろん、上空だって完全に監視されているんだ。それにまだ伝えてなかったが、明日から壁の建設が始まる」


パツキン「…壁?」


犯罪者「兎歩町を囲むように政府が壁を建設するつもりらしい。具体的には高さ5メートル、厚さ10センチほどのコンクリートの壁を建設するそうだ」


シバ先「ふむ…それではますます脱出は困難な物となるな。おまけに兎歩町の中から外の様子は見えなくなるし、逆もまた然りだな」


シロたん「町を囲む壁…まるで棺みたいね…」


兎歩高校の教師のシバ先とシロたんはそう呟いた。


チンピラ「安心せい、策はある」


犯罪者「どっちにしても俺は反対だ。この町からの脱出は止めたほうがいい」


パツキン「どうしてそんなに脱出に反対するんですか?」


犯罪者「それは…」


犯罪者は言葉に詰まった。


パツキン「そもそも、あなたはどうして兎歩町が閉鎖されたか知ってますよね?。どういうわけか、外部と連絡を取る手段も持ち合わせていますし…そろそろ、この町が閉鎖された理由を教えてくれてもいいんじゃないですか?」


犯罪者「………」


田中さんからCBKSの病気を聞かされた犯罪者はそれを教えるべきか迷っていた。


もしこのことが広まって町中がパニックになったら…そう考えると口にするのを躊躇ってしまうのだ。


犯罪者「ダメだ、それは教えられない」


結局、犯罪者は理由を話さないことにしたのだ。


チンピラ「話にならへんな、委員長。…まぁ、状況から考えれば、理由はだいたい分かるけどな。不特定多数の人間の通行の制限、さらには脱出しようとしたものを容赦なく殺す状況…おそらく政府は何らかの脅威から国を守るためにこの町を見捨てたんやろ」


犯罪者「………」


チンピラ「けどな、そんなことはさせん。俺の…俺たちの生まれ育った町を、この町に住む人達を、思い出のふるさとを犠牲になんてさせへん。だから俺は…この町から脱出するんや」


犯罪者「…俺は反対だ」


チンピラ「悪いが、もう決まったことや。脱出の決行日は1ヶ月後の10月16日…」


犯罪者「10月11日?。それってまさか…」


チンピラ「その通りや。決行日は…兎歩高校の文化祭の日じゃ」




おまけ


カグヤの家から発酵室に戻ったニートの話。




ニート「ただいま」


腐女子「おかえり」


ニート「なんか部屋を埋め尽くす♂がやけに増えてない?」


腐女子「気のせいだよ、気のせい。それよりどこに行ってたの?」


ニート「ちょっと幼馴染の女の子の家を訪ねてた」


腐女子「へえ、幼馴染なんてこの町にいたんだ。…だったら、ここじゃなくてその子の家で泊めてもらえばいいのに」


ニート「女の子の部屋に2人っきりで寝泊まりとか…そんなことできるわけないだろ!?」


腐女子「…え?」


ニート「え?」


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