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Do healthing!

 ここは日本一の歓楽街『歌舞伎町』である。

 私は一人、顔はそのままに目線だけを右に左に、そして上にとせわしげに動かしながらこの街をさ迷っていた。いや、正確にはあるものを探していたのだ。


 ヘルス!


 この私、樋口利夫22歳。初めて風俗なるものを体験すべく、この欲望渦巻く街へと足を踏み入れたのだった。


「お兄さん、若い子いるよ」

「抜いて行きましょうよ♪」

「お探しですか〜♪」


 次々と声を掛けてくる呼び込みの黒服達を掻き分ける。友人から聞いた話では呼び込みする店は危ないとの事で、安心な店を教えてもらってはいた。しかしこれだけ店が並ぶと目移りしてしまい、別の店にも食指が動くのは致し方ないだろう。


『性戯のヒロイン』

『アソコにおまかせ』

『でかいの中心でパイを叫ぶ』


 などなど煌びやかで怪しげなネオンが私の性欲をこれでもかと煽ってくる。


 むう……悩むところだ……


 しかし結局安全策を取り、友人の勧める店へと足を向けた。だがこれは決して私がヘタレなわけではない。友人の顔を立ててやったと解釈してもらいたい。


『あそこの110番』


 とある雑居ビルの3Fにその店はあった。

 小さなエレベーターに乗る前に深呼吸し、心を平静に保つ事に努める。なにしろ行くのは風俗店。もし風俗デビューなどと見破られたら嘲笑の対象になるだけでなく、あるいはボッタクリの憂き目に遭うということも想定出来る。

 ここは堂々と、さも慣れた遊び人を装わなければならないのだ。


 ここは日本の頂点に君臨する歓楽街歌舞伎町である、もはや戦場なのだ!


 エレベーターのボタンを押す。なにやら中がイカ臭いのは気のせいか?

 すぐに3Fに到着し、ドアが開いた。



「いらっしゃいませ!」



 おわ!びっくりした( ̄□ ̄;)

 扉が開くや否や元気な声で一発かまされた私。なんでボーイがいきなり出迎えているのだ?

 いや、これは作戦かも知れない。客の反応で初めてか否かを判断しているのでは?


 おっとっと……引っ掛かるとでも思ったのか?このヘナチン野郎(;´ー`)♪


 私はやおらポケットに手を突っ込むと、足を開き気味に歩み寄り尊大な態度で声を掛けた。


「おう」


 完璧だ。この堂々たる態度、とても初めてとは思うまい。


 男は愛想良く俺を暗い店内へ導くと問い掛けてきた。


「当店のご利用は初めてですか?」


 え?( ̄□ ̄;)



「あ…と、当店は初めてダス……」



 うわぁぁーっ!Σ(`□`;)やべえ。

 一瞬どう答えたら良いのか判断出来なかった私は、思わず『この店』を『当店』などとつられて言ってしまい、しかも語尾は『だ』と『です』が混ざって『ダス』になっている!



 み…見破られたか?いや、まだ決定打とは言えぬ。まだ挽回のチャンスは充分あるはずた。


 続いてまたボーイが口を開く。


「コースはどうなさいますか?」


 な、なにい〜!コースだと?


 こ、これはどう答えれば良いのだ……


 いきなり何の説明も無しに聞くと言う事は、恐らくほぼどの店も大してシステムは変わらないと推測出来る。ならば、当然知っているかの如く答えなければ怪しまれる!

 当たり障りのない言葉なら大丈夫か?当たり障りのない……普通の……そうか!




「レ…レギュラーで!」


「レ…?あ、お時間ですが?」



 フルスイング空振りーっ!

 


 まずい!これはかなりまずい!何とか取り返さねば取り繕わねばならない事になる!


 逆ーっ!( ̄□ ̄;)



「あ、ああ時間ね、時間……」


 最初から時間て言わんかいボケーっ!


 この私ともあろうものがなんたる醜態だろうか!


 とりあえず40分コースが標準のようだ。それを選択すると、続けてまたもやボーイが聞いてくる。


「ご指名はどうされますか?」


 おーっとっと、これが手か?あーん?

 それでポッキリとか言っといてぼったくる気ではないのか?私を誰だと思ってる。そんな手に乗るはずがなかろう!この欲望をエサに生きるゴキブリ野郎めが( ̄▽ ̄*)


 だがボーイはそれを見透かしたかのように付け加えた。


「二千円のみの追加ですよ」


 なんだコイツ、なんか見下したような喋り方じゃねーの?( ̄□ ̄;)

 ここはひとつ、ドーンと構えねば…


「お……おう、するつもりだよもちろん」


 私は渡されたアルバムをおもむろに開くと、ちょっと純情そうな娘を指名した。


「おう、今日はこの杏奈ちゃんにするわ」


「すいません。この娘は今日居ないんですが……」


 なんですと?居ないなら最初から言わんかい!(`皿´;)


「ほら、ここに曜日が書いてありますんで……」


 見れば写真の右上に出勤する曜日が書いてあるではないか。


 むう…これはマズイ…。『こんな事も知らんの?』みたいな顔で見られている気がする(`□`;)


 だが、私の機転はこういう時天才的な冴えを見せる。


「あれ?きょう土曜日じゃなかったっけ?」


「いえ、火曜日です」


 

 ……チョット離れすぎだったか?まあいいか。



 再度別の娘を指名すると、いよいよ部屋に通される。

 ふふふ、私とあろう者がちょっと心臓がときめいてしまったようだ。高鳴る鼓動と欲望で我が息子がいきり立ってきた。


 おお、息子よ。もう少しのチン抱だぞ♪



 ここで私の頭に素晴らしいアイデアが浮かんだ!まさに天才的、これぞ天才的と言うべきものだ!


 まず素っ裸になり、自慢の大黒柱を隆々と掲げ女の子を待つ。

 なにも知らずに入ってきた女の子はそれを見て驚きの声を上げるだろう。インパクトが大事なのだ!

 そして強く印象づけられた大きなイチモツは彼女の心を虜にし、まあ恐らくはアソコをナイアガラ状態にして挿れてくれと懇願するであろう。普通のエロ男ならば一も二もなく突っ込む所だが私は違う。こう言うのである。


『そこは好きな男にとっときな』


 クールである。超ク〜ルぅぅ〜(≧▽≦)♪

 こんなことなら成人用パンパース買ってきていれば『とっとけ』とダメ押しできたのだが、まあそこまで完璧を求めることもなかろう。


 それでも当然女は私に溺れ、金を貢ぎながら私の体を求めるのだろうな。


 幾らくらい貢いでくれるだろうか?



 そうと決まれば善は急げである。

 私は服を脱ぎ、パンツを投げ捨てるとソファーにどっかと座り、グイグイと息子をしごきあげる!

 更に私は思い切りインパクトを与えようと工夫して、カエルがひっくり返ったような態勢で宇宙戦艦ヤマトをおっ勃てた。


 ヤマト発進〜♪『おお、恥丘か……なにもかもみな恥ずかしい』

 よしよし、この沖田艦長の名セリフも付け加えとくか♪



 今か今かと期待する時間は長く感じる…




 ようやくカーテンが開き、人影が入ってきた(´▽`*)!来たっ!





「失礼します。お飲物をお持ちし……」



 な……なにい〜!



 ボーイぃぃ?Σ(;゜Д゜)


 そういえば入る前に飲み物を聞いてきたが、まさか貴様が持ってくるとは……




 奴も硬直しているが、私とてそれは同じである。


 ただ……反り返っていた自慢の宇宙戦艦がしわしわと萎え……最後にペタンと萎んだおいなりさんに張り付いた事を除いて……



 おわり



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