ロッカールームララバイ
ネット小説しか出来ない顔文字なんぞ使ってます。掟破りとは思いますが、ちょっと遊んでみました。
俺はしがない工場作業員である。昼夜交代勤務で過酷に働くいうなれば日陰もの。
しかしそんな俺にもドラマがある。当然幸せになる権利だってある。幸運が突然転がり込んで来ることもあるのだ。
これはそんな俺のドラマチックな話なのさ――
現在勤める会社には、作業服に着替えるロッカールームがあり、当然そこは男女に分けられている。
もちろん男が女子ロッカー室に入ることは許されないのだが、入るなと言われれば入りたくなるのが人間と言うものである。
ある日の事。夜間勤務を黙々とこなしていたのだが、早めに仕事が終わってしまい、同工程の中川とどうしようかと相談していた。
「中川、どーするよ?帰るなら帰ってもええで」
「そーっすねー。柴崎さんどうするんですか?」
「帰る」
「ほんなら俺も帰ります」
この中川。眼鏡をかけた汗かきデブで、常に呼吸が荒い秋葉系23才である。基本的にはこんな奴は嫌いなのだが、何せエロビ、DVDを夜のビデオ販売店並みに揃えており、必然的に付き合いをしなければならなかった。
男たるもの、時には己の信念を曲げてでもやらねばならないことがある!
座右の銘としとこうか。
さて、着替えて帰らなければならないので、2人で更衣室へと向かう。その時、男子ロッカーへの入り口の5mほど先に女子ロッカーへの入り口が見えた。
いや、いつも見ているのだが、普段はこちらが着替えてる時間である。出入りが激しく、特に何の感情も湧かないのであるが、今日は違う……
「あれ?着替えないんすか?」
入り口で立ち止まる俺に、いぶかしげに中川が声を掛けた。
「今何時だ?」
「7時半です」
「あと30分あるな」
その言葉と視線の先を読んで、中川もようやくその意図を理解したようだ。
「行くんスか?ハアハア」
「あたりまえじゃ!」
未知なるものへの探求は男のロマンである。言うなればいま我々は川口探検隊。これは男としてやらなければならない事なのだ!
ブラジャーやパンツが襲ってくるよ〜(*´▽`*)
今一度周囲を確かめるといざ中へ!
か〜わぐっち〜ひろしが〜♪ど〜くつに入る〜♪
『今は藤岡探検隊だったな……』
ガチャリ……とノブを回すと中からは果たして何とな〜く甘酸っぱいにほひが……
「柴崎さん、やっぱ汗臭い男んトコとは違いますね」
「嗅いどけ……」
「はい!」
シュゴォオオ〜( ̄¨ ̄)( ̄¨ ̄)
さて、ひとしきり肺の毛細血管の隅々までエロ爽やかな空気で満たすと一歩前進。中へと踏み込んだ。
「な、なにいー!」
俺が驚いたのも無理はない。男子ロッカーは上下が半分に別れており、したがって一列を2人で使用しなければならない。
しかし女子ロッカーはなんと上下に別れてはいない。つまり我々の倍のスペースを使うことができるのだ。
「なんかこれ、バリむかつくんやけど……なあ」
と、中川に問いかけてみたものの、すでに奴はロッカーの物色に取りかかっており、俺の問いなど綺麗にスルーしている。
「鍵、やっぱり掛かってますねえ」
中川はそう言いながら次々とロッカーの扉の取っ手を順番に調べてゆく。そりゃそうだ。男でさえ鍵を掛けている。まして女であれば……
「開きました!」
「なにい!」
俺が駆けつける間もなく、奴はすかさずロッカーの中に顔を突っ込み、トリュフを探す豚のごとく鼻を鳴らして興奮していた。
「まてや中川……」
「な、なんスか?」
「俺が先やろが!(-_-;)」
「ええ?僕が先に見つけたんスよ。柴崎さんも自分で見つけて下さいよ」
豚が一丁前にブーたれやがったか……
ドスっ!
奴のわき腹にギャラクティカマグナムを叩き込む。
『豚ふぜいがなめんな、この野郎……』
中川はしぶしぶとヘブンズドアを明け渡すと、俺に不満げな顔を向けるが知ったことではない。第一奴は基本がなっていない。よく見てろ。
上に羽織るギンガムのシャツを眺め一拍三拝。そしてその手触りを楽しむように表面をなで、静かににほひを嗅ぐ。このときはまだ音を立てて嗅いではいけないのは言うまでもないだろう。そしておもむろに裏返して、そのオパーイの当たる部分に……
突撃!
「むふぉおお〜♪」
と、喜悦の声を発しながら豪快ににほひを嗅ぎ、味わわなければならない。これが日本古来の伝統であり、わびさびと言うものだ。
小学校に入って一番最初に習うことは言うまでもないだろう。
その舌触りを楽しむように悦に入っている俺に中川が声をかけた。
「柴崎さん……あの」
なんと無粋な奴であろう。これから妄想モードに入ろうとしている者に声をかけるとは礼を失している。そんなことは基本中の基本ではないか!
「あの……言いにくいんスけど……」
言いにくいなら言わなければよかろう!
「そこ、竹中のババアのロッカーでした」
『なにいーΣ( ̄□ ̄;)!』
竹中と言えば我が工程きってのブ●イク女。女というか、女を捨てている40歳の巨漢女だ。
俺は猛烈な嘔吐感に襲われ、今までの人生が走馬灯のように甦ってくる。
「甦ってくる」
誰だ勝手に復唱してる奴は?(-_-;)
『母さん、さようなら……』
「さようなら〜」
『…ってテメエが復唱してんじゃねえぞコラア!』
薄れゆく意識を引き戻したのは中川への怒りだった。
ドスっ!ドスっ!ドドドドスっ!
ブーメランスクエアからテリオス、さらにスペシャルローリングサンダー(古い)が奴のわき腹に食い込んだ。
「痛いっスよ……何するんですか(;´Д`)」
このエロ豚めが、最初に誰のものかを確認するのは基本だろうが!誰のものとも確認せずに俺に献上するとは何たる無礼!
とりあえずファブリーズで鼻と口の中を除菌すると落ち着きを取り戻す。
いかんいかん、俺としたことがこんな事で取り乱すとは……
『ブ●イクの にほひに狂う 若気かな』
おお、一句出来た。あとでメモって辞世の句としとこう。
気を取り直して再び探索を始めた我々だったが、やはり他はすべて鍵が掛かっているようだ。
焦りを感じながら『やはり駄目なのか……』と弱気になったそのとき……
カチャン
と軽い音を立ててそのロッカーは開いた。
「うお!開いた」
まるで暗い洞窟をさまよい歩き、歩き疲れた末に見つけた宝物のようである。
期待感が高まり、下半身に血液が濁流のように流れ込むのを実感できる。
が、しかし…
しばし呆然とその開いたロッカーを眺める俺に中川が駆け寄ってきた。
「開いたんスか?」
喜び勇んで駆けつけたものの、やはり奴も俺と同じように絶望感を表に出す。
「空ですか…」
ガックリと肩を落とす中川。しかし俺は別の事を考えていた。そしてその隣を見ると、やはり名札のないロッカーが!
『ここもか?』
的中だ。ここもやはり空のロッカーだ。ここは2つの空きロッカーが並んでいたのだ。
俺はすでに他のロッカーを物色し始めた中川を呼び止めた。
「おい、入ってみろ」
「え?」
「ここに入ってみろ!」
そうである。ロッカーの上部には名札を差し込むための溝があるのだが、その隙間を利用すればもうすぐ始まるであろう婦女子の着替えシーンを満喫出来るはずなのだ。
「なるほど!中川、行きます!」
喜び勇んでロッカーに身を潜り込ませる中川。しかしその作業は容易ではなかった。
なにしろ奴はデブである。それでこのロッカーに入ろうと言うのだから、トトロにダイエットしろと言うくらいに無理がある。
しかし…エロのパワーとはこれほどのものだろうか?
パソコンが普及したのはエロゲーのおかげである。携帯の液晶が進化したのはエロ画像のおかげである。歴史的世界の英雄がその版図を広げたのも原動力はエロである。
そして今、中川の体がロッカーに収まっているのも確実にエロの力なのである。まるで物理学すらも無視したかのような映像がそこにあった。
『( ̄□ ̄;)恐るべしエロ……』
どうやら収まったようだ。
「よし、閉めるぞ」
「いいスよ」
こうして奴はロッカーへと収まった。
「どうよ?見えるか?」
中からは何かと格闘しているかのような荒い息遣いが響いている。
「…ん…んん」
「見えるんか?」
「め…」
「め?」
「眼鏡がズレました…」
( ̄□ ̄;)
「早よ直せや」
いらいらするデブに業を煮やした俺は、自ら隣のロッカーに体を滑り込ませると、扉を閉めた。
『む…これは!?』
見えん!(`□`;)
光は確かに射し込んでいるのだが、目線よりもやや上方。つまり額のやや上あたりに穴が開いているのだ。
『こ…ここまで来て諦める訳にはいかん!』
俺はロッカーの中で爪先立ちすると、その穴へと眼球を寄せた。しかし…
『あ、頭がつっかえてますけど( ̄□ ̄;)』
そう、天井はそれほど高くはなかった。従って頭を上げるには限界があったのである。
『ほほう、やりおるなロッカーめ。しかしエロに直面した人間の英智を思い知るがいい!』
縦が駄目なら横にすればよい。俺は首をぐいと傾げると、もう一度爪先を立てた。
『見よ!この頭の冴えを』
もう少し…もう少しで天然ピンクホールに手が届く…
あと5cm…
「いでででで…首の筋つった!首の筋…(`□`;)」
何という事だ、この俺としたことが!
猛烈な痛みが肩から首にかけて走る。そしてそれはロッカーの中に悲鳴となって漏れた。
「首が…首がぁ…」
「め…眼鏡が!」
「首がぁ!」
「眼鏡が!」
小刻みにブルブル震え、それは一旦任務の遂行を断念する事を意味した。
「仕方ない、一度撤収や」
そう隣の中川に告げると、扉を開こうとした…が
『ノブがない…('▽'?)』
なんということだ!そう、ロッカーには中から開けるための機能が装備されていなかったのである。当然押しても開かない。ロックを解除するための取っ手もない…
こんな時アメリカ人ならばこう言うであろう
『オーマイガー!』
当然フランス人なら
『フォアグルァ、トリュフ、メンタイクォ〜!』
これが大塚アナならば
『$б★@℃&▲£……ですね!』
と語尾しか聞き取れない台詞を言うだろう。
この時、冷や汗とはこんなに噴き出すものかと自分で驚いた。だが、もしや中川のロッカーならば閉まり方が甘くて、押せば開く可能性があるかもしれない?
わずかな望みかもしれないが奴に賭けるしかない……
「おい!そっち開くか?」
「め…眼鏡〜…」
全然駄目じゃん!Σ( ̄□ ̄;)
しばらく狭くて自由にならない手でドアロック付近を探してみる。
と、何やら小さな突起物が上から飛び出しているのが分かった。どうやらこれを引っ張れば解除出来そうである。
がしかし、それはあまりにも小さく、摘む事が出来ない。
『うーむ、どないしよ?』
エロに突撃する時は人間の叡知は素晴らしい能力を発揮するが、それ以外はどうやら凡庸な脳みそしか持ち得ていないようだ。
しかしそれでもその突起物がキノコのような形状で上から摘む事は出来ないが、頭の部分の下の僅かな隙間に薄いものを滑り込ませれば持ち上げる事が出来そうなことは分かった。
『ふふふ、そうか。爪を引っ掛ければイケるじゃんよ!(´▽`)サエテル〜♪』
よしよし、ここに爪を……爪を……?
爪ないじゃん( ̄□ ̄;)
そう。実は早上がりを利用して、高級なお風呂屋さん(早朝割り引き)に行っていかがわしいぷれえを堪能しようと目論んでいた俺は、爪をきれーにこれでもかと言うほど限界まで切っていたのだ。
『全然引っかからんぞー。おーい(-_-;)』
またもや黙考1分半…
('▽')!
おう、そうだ。俺には仕事で使っているピンセットがあるじゃないか!
そう。半導体製造という極小製品を製造している俺には0.何ミリという小さなチップを摘むためのピンセットが必需品で、それをいつも左の胸ポケットに装備していたのだ。先の鋭さは刃物並みである。これならば容易に隙間に入れることができよう。
早速左の胸ポケットから取りだそうとするが、何しろ狭い空間である。腕が思うように回らない。
む……むむ……
『あ、これやばい。絶対やばい!』
と思った瞬間
『背中つった!背中( ̄□ ̄;)』
日頃いかに運動してないかの証明である。妙な体制で力を入れるといたるところがつるのである。
痛みに耐える!
これが男の生き様である。たぶんいま俺は輝いて見えるだろう。だがいかんせんロッカーの中では誰も見てくれない!
仕方なくしばらく妄想でもして気を紛らわすが、どんな妄想だったのかはここでは伏せておく。
やがて背中の痛みも収まり、かわりにパンツの中が収まりつかなくなったところで俺は脱出作戦を続行することにした。
『と…取れた(´▽`;)』
取れたー!
俺は声を大にして叫びたい。例えるならばRPG のような長い冒険の末、ラスボスを倒すためのアイテムをついに手にした時のようなものだろう。
かっこいい、かっこいいぞ俺!
頭の中では輝く聖剣をかざして、高らかにBGMが流れている姿を想像しているが、実際は妙に卑屈な格好で胸ポケットに手を突っ込み、隣で「めがね〜」と唸ってる中川の声が聞こえるだけである(-_-;)
ようやくピンセットを手に取ると、しかし今度はそれを左手に持ち替えなければ届かない。
そのまま下に降ろしたいのだがなかなか届かない。
火事場の糞力!
ふんっ!という掛け声と共に力を絞り出す。いつもの力一杯よりも20%増し(当社比)だ。
グッとロッカーと体の隙間に挟まれた腕が下に滑り落ちた。
『いででで!刺さった、左手に刺さってるうう〜(`□`;)』
涙が出てきた…マジで。
しかし俺は痛みに耐える。歯を食いしばり、額に汗を滲ませ耐える!
仕方なくしばらく妄想でもして気を紛らわすが、どんな妄想だったのかはここでは伏せておく。
ようやく血が止まり、かわりにポチーンのカウパー腺液が止まらなくなると脱出作業を再開する。
『ここだ!』
狙いすましたように隙間にピンセットを差し込む。ブルブルと震える指が慎重にピンセットを持ち上げた。例えて言うならば爆弾処理班がおのれの命をも顧みず、信管の抜き取り作業をするようなものだ。
今の俺のかっこ良さはおそらくそれと似ているものだろう。
『もう少し……』
研ぎ澄まされた究極の技が光る。そして緊張の一瞬……
『よし!』
くいっとそれが上に持ち上がる手応えがある。しかしそのとき、遠くから女の子のしゃべり声が聞こえてきたのだ。
『まずい!』
どうやら出勤第一号がやってきたようだ。棟内に入ってきて廊下を歩いてくる。焦りは頂点に達した。
手に汗握るとはこのことだ。決して女の子が手コキする時に汗ばんだポチーンを握るという意味ではない。
さらに震える手を慎重に持ち上げる……と
カチャン
という音と共に扉が開いた!
『自由だ……(´▽`)』
と惚ける暇もない。すかさず入り口のドアが開く音がするや数人の喋り声が入ってきた。
『やべえ!』
しかし幸いにもロッカーの列に阻まれて姿は見られていない。俺はその声の影を窺った。
ラッキー!入り口と反対方向。これなら陰に隠れて脱出出来る。
俺は忍び足でドアまでたどり着くべくソソソと歩を進めようとしたそのとき、肝心なことを忘れていたのだ。
先ほどからの二度にわたる妄想。それはパンツに大きなしみを作っていた。これが乾くとどうなるか?賢明なる男性読者ならば覚えがあろう!
『いででででで……先っちょくっついた!先っちょ(`□`;)』
思わず腰をかがめながらも足を止める訳にはいかない!オリンピック選手が足を故障しながらも完走した感動の場面が今の俺とダブる。
『わかるぞ、あんたの気持ちが!』
あと1m……
50cm……
そして……
長い冒険を終えた……
やり遂げた……そう、やり遂げた達成感だろう、これが。
決して性欲旺盛な男子高校生が余韻に体を震わせながらティッシュを丸めているようなものではないのだ。
外に出ると朝日が祝福してくれた。爽やかな風が頬に優しい。
『しまった!忘れてた( ̄□ ̄;)』
ここで俺は重大なことを忘れているのに気づいた。
『ど、どうすれば……置いてきてしまったぞ……』
いまさらどうなるものでもない。しかしここで引き下がっては男ではない!
俺は猛ダッシュで駆け出した。
『ソープの割引券忘れるとはしくった〜……』
早朝割引は人数限定なのだ。俺は仕事場に忘れた割引券を取りに行くために全力で走った。
おわり
こんなもの載せてすいません……。苦情が殺到するようなら修正しますので……