表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
国境の橋  作者: 西山鷹志
3/14

国境の橋 3

  初の海外での工事、場所は東南アジアのラオスとベトナムを繋ぐ国境に架ける橋だ。洩れた者は羨ましがった。

 会社の情報によると日本とラオス、ベトナム国交樹立五十周年記念事業らしい。

 その為に日本が両国に無償援助する工事で、外国で橋を造れる技術者として誇りを持って仕事が出来るのだ。

 選ばれた人員は七人、勿論この中で祐輔が一番若くして選ばれて気分は上々だった。

 他の作業員は現地で雇う事になっているが、国の役人が一人だけ同行するが手続きが終われば帰国する。

 あとは現地の国の役人が引き継ぐそうだ。

 東京に出て十四年、故郷の父母には滅多に連絡しないが出発の前夜、明日派遣されると電話を入れた。

 両親に報告したら喜んでくれたがラオスとベトナムと聞き顔を曇らせた。

 治安を心配したのだろう。だが裕輔は親の心配をよそに海外で橋を作れる喜びに胸の鼓動を高ぶらせていた。


 七人の中では祐輔だけが独身だ。両親は高知に住んで居るし見送りには誰も来ない。

 一番の年配者は平井監督五十二才の責任者であり、他の四人は四十代で妻子持ち、もう一人は三十五才の新婚さんである。

 先輩達はここ数日間、暫く日本を離れるとあって家族と過ごしているが、祐輔だけは三十二才の独身男、女友達は居たが恋人と名乗れるほどの女性は居なかった。

 祐輔は友達と会話する時は、いつも橋の話ばかりで、橋男と変な異名まで貰うほどだった。

 恋人より橋、周りの女性達も橋の話ばかりする祐輔は、恋人としては対象外だったのだろう。


 いよいよ準備が整い、祐輔達は成田から一路ベトナムヘと向かった。

 成田空港からベトナムハノイに到着した。ここから鉄道を使って行くのかと思ったら、なんと車で行くそうだ。

 舗装のない悪路を揺られてやっと、ベトナムの国境に近い町のラオバオに到着した時はクタクタだった。

 このラオバオの町はベトナムが経済発展地域としてラオスとの貿易経済特区と定めている。

 だから今回新しく建設する国境の橋は両国の貿易に重要な役目果たし事になる。


 その割には寂れた町で、道は砂利を敷いただけの道を古いバスや錆びた車がガタゴトと走っている。

 宿舎はホテルかと思いきや仮宿舎らしい。橋を越えてラオス側のデーンサワンにあるそうだ。

 そこには今にも崩れ落ちそうな古い橋が架けられていた。その隣に今回新しく建設する橋となる。

 国境の橋といっても、田舎町の小さな橋だが国境とあって大きいトレーラーなどが沢山通る。

 その橋の手前にあるゲートが開くのは朝七時からと決まっているそうだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ