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国境の橋  作者: 西山鷹志
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国境の橋 序章

川のせせらぎに陽の光が反射してキラキラと輝き、川に架かる沈下橋からダイビングする子供達の姿があった。

此処は、のどかな光景が広がる高知県では最長の一級河川、全長百九十六キロの清流四万十川である。

 その四万十川を、観光客を乗せた屋形船が通過して行く。子供達は屋形船の観光客へ一斉に手を振る。

 観光客達も同じく手を振り笑顔を浮かべる。子供達にとっても観光客は大事なお客様でもある。

 屋形船の運営に携わっているのは子供達の親や親戚が殆どだ。だから子供達も心得たものだ。

この子供達もいずれは親の跡を継ぎ、屋形船に観光客を乗せ親と同じ道を歩むだろうか。

 代々そうして四万十川と共に生計を経てて来た。だが一人だけ違う夢を見ている少年が居た。


 四万十川で、まず浮かぶのは日本三大清流のひとつでもあるが四十~六十橋もある沈下橋であろう。

 谷津祐輔はこの四万十川の近くで育ち、谷津家の長男として生まれ四万十川と共に生きて来た。

 一人っ子の祐輔は幼い時から四万十川と川に架かる橋が好きだった。川は母であり橋が父ように。

 父母は屋形船で生計をたて、祐輔は四万十川の橋の周辺で近所の友達と遊ぶ毎日だった。

 村の子供達も同様、町に出る事が少ないが、それでも満足だ。万十川は四季を通して飽きる事なく楽しませてくれる。

 村人達には四万十川は生きて行く上でかけがえのない宝であったが、時には自然の猛威を振るう事もある。


 人々は自然の幸と引き換えに台風などで大雨が降ると、母なる川も悪魔の化身のように変貌する。

 そして生活の基盤でもある橋を破壊して行く。村は分断され生活をも脅かす。

 自然界は人々に生きる喜びも与えるが試練も与える。それが自然と云うものだ。

 だが村人達は負けていなかった。流せるものなら流して見ろと濁流にも負けない沈下橋を作った。

 沈下橋には両脇に柵がない。水の抵抗を少なくする為の知恵である。でも同じ沈下橋でも沢山の形がある。

 祐輔はそんな橋に興味を持った。沈下橋より色んな橋を見てみたくなった。いつも橋に関する本を見て育った。

 橋は魅力的だが何も人が渡るだけが橋ではない。

 大きく別けて道路橋、鉄道橋、水道橋、歩道橋、併用橋と使う要素は別れている。

 橋の造りも主な物は桁橋、トラス橋、アーチ橋、ラーメン橋、吊橋、斜張橋などがある。

 橋に使う材料も様々だ。鋼橋、コンクリート橋、木橋、土橋、複合橋そして石橋は沈下橋に多く使われる。


橋をテーマにした小説は少ないと思いますが、この小説を読んで橋に興味を持って頂ければ幸いです。

物語の展開をラオス、ベトナムにしたのは以前に東南アジアを旅して

橋や川の色、赤茶色の土の違いに別な意味で興味を持ったからです。

日本人と外国人の仕事の取り組み方も、テーマのひとつです。

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