閑話休題
2014年8月
大日本帝国
帝都東京
「まさか! こんなもの認められるはずがない!」
海軍大臣の長井は書類をテーブルに思いきり叩きつけた。
「馬鹿げてる! こんな……105000tの新型戦艦だと!? 冗談はほどほどにしてくれ」
「来年度の海軍補充計画はとんでもない案だな」
2015年度海軍補充計画……戦艦大和の代艦として、51cm砲を12門装備する紀伊型戦艦を建造するというとんでもない計画である。
紀伊型要目(計画)
基準排水量:10万5千t
満載排水量:12万4千t
全長:330m
全幅:45m
吃水:12m
機関:艦本式ディーゼル
4基4軸28万馬力
速力:28kt
武装:50口径51cm
3連装4基
60口径10cm砲単装6基
14式垂直発射器64セル
20mm高性能機関砲4基
艦政本部の暴走によって設計された現代の戦艦……彼らの言い分は、この世界における圧倒的な力の誇示、大艦巨砲主義を貫けばミサイルなど高価な兵器を使わず、予算の削減が可能。
だが現実には大和以上に維持費が掛かるということは想像に難しくなかった。
「こんなもの造って力の誇示? 遂に頭のネジがぶっ飛んだか!」
「大艦巨砲主義はもはや半世紀以上も前のこと。それなら空母を建造すべきだ」
「まず……これで予算は承認されるのか?」
「とりあえず案として出してみよう」
1ヶ月後、とんでもない海軍補充計画案の予算獲得に成功してしまう。海軍関係者は驚きを隠せなかったという……。