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元ギャングボスによる異世界統一日記

作者:

コツ、コツ、コツ


四方を囲む独房を思わせるような無機質なコンクリート、どこから流れ着いたのか小便の混じった腐敗臭が鼻を刺激する。今俺の全神経はこれから目の前のドアを開けるであろう足音の正体に支配されていた。


コツ、コツ、コツ


ゆっくりと、だが確実に近づくその人物が誰なのか、俺は答えを決めあぐねていた。

無論、全く見当がつかない訳ではない。俺のことをよく知ってるやつだ。現にこうやって追い込まれているのも全ての手を完全に読まれて後手に回ってしまったからだ。


コツ、コツ、コツ


だが相手に知られているということはその逆もしかり。俺もそいつのことをよく知っているはずだ。足音は、、、知らないものだ。だが相手が意図的に変えている可能性もある。よく考えろ。俺のことをここまでよく知る男。そうだ、俺は自分以外に信じるものなどない。見るもの触れるものその全てを狩りつくしてきた。


コツ、コツ、コツ、、、コツ。


廊下を鳴らす革靴が行進を終える。

一瞬の静寂。それは運命の終着点を予感させるには充分だった。



ボンッ!!

鉄の扉が鈍い破裂音を残して転がる。

素早く銃を抜き標準を合わせる。


「もらったっ!!」  バンッ!!


俺は引き金を、、、




引けなかった。


「で、白目むいて無様に倒れてるのをあたしが救ってあげたってわけね。」


「むいてねーよ。ちゃんと目つぶったわ。」


「うっそーん。もしかして剝いてないのはソッチのほうだった?」


「なんだ?天まで届く俺の如意棒の話か?」


「おかしいわね、棒は棒でも耳かき程度のものだった気がするけど、、、」


「、、、」


「、、、」


「見たのか?」


「ええ」


「正直者のあなたには金の棒と銀の棒をぶちこんで差し上げましょう」


「耳かき以外がどこについてるっていうの?」


、、、

ん?ここのムカつくほど下世話な女がだれかって?

さぁ、俺も初対面だからな。確か名前は、、、


「ファスティーヨよ。」


”ファ〇クシテイイヨ”だったな

無駄に谷間を見せつけてくるのも目障りだ。


一応言っとくが俺は大きければいいなんていう浅はかな見方は絶対にしない。むしろない方が好みだ。そう、皮膚からあばらが浮き出るくらいのツルッペタが好みだ。あんなに恥じらいもなく堂々と主張されてはせっかくのウィークポイントが台無しという訳だ。


「あーはいはい、いるわよねー。そういう自分は他とか違いますーみたいな感じのことを恥じらいもなく堂々と主張してるやつ。だいたいなに?小さい方がいい?そんなわけないでしょ(笑)さっきから凝視してんじゃないのよ。ほーらほーら」


もみもみ


「うっ、、、」


もみもみ


「、、、ごくり」


「『ごくり』じゃないわよなんであたしがあんたのために乳もんでんのよ」


「、、、」


「おーい」


「っは!馬鹿な!なにをした貴様!俺が巨〇に現を抜かすなどあるはずがない!、、、そうかこれは催眠、、、いや夢だ!だいたいさっきからおかしい。なんなんだここ、床がないぞ、それに壁も天井も、、、」


「、、、」


「だいたいなんで俺は生きている、、、話している、、、俺はもう死んでいるはずじゃ、、、」


「、、、」


「それに貴様さっきからどうやっておれの心を読んでいやがる、、誰だ、、、貴様は誰だ!」


「流石ね、認識改変を突破するとは」


「なんだと?」


ファ〇クシテイイヨはいきなり目をきりッと尖らすと見えない地面を歩き出した。


「こっちに来なさい。あと、ファスティーヨだから」


恐る恐る右足を上げると左足に接地する感覚が蘇る。

一歩、また一歩と踏み出してみる。


地面はないが歩きたいと思った場所で踏み込むと進むことができるようだ。

だが気を抜くとすぐに足場が消える。早歩きも難しそうだ。


「おい、もう少しゆっくり歩け。こっちは慣れてないんだぞ。」


「仕方ないわ。ママが抱っこしてあげまちゅねー」


「ばぶばぶばぶー!」


「、、うぇっ」


「おい」


ファ〇クシテイイヨの腕をつかみながら歩いていくとやっと見える地面がある場所にやってきた。

いきなり出現した割には壮大なつくりをした広場で中央の魔法陣のようなものを石碑のようなものが囲んでいる。もちろん文字は読めない。異様なオーラを発するそれらを見つめていると後ろからやかましい声が聞こえた。


「はーい、じゃっ、ここすわって」


振り返ると何もなかったはずのそこには一つの机と向かい合うように置かれた一対の椅子があった。とりあえず言うとおりにするしかなさそうだ。


「何が始まるんだ?」


「何って普通の面接よ」


ファ〇クシテイイヨは数枚の資料のようなものを手に取るとニヤけたり険しい顔をしたりを繰り返しうなり始めた。気味が悪いし意味が分からない


「おいおい置いてけぼりかよ。」


「フフッあんたなかなか面白い人生送ってんのね。」


「馬鹿にしてんのか?」


「讃えてるのよ」


ファ〇クシテイイヨは資料らしきものを机でトントンとそろえるとどこからともなく取り出した眼鏡を中指でクイッとし足を組みながら乳首をいじりはじめた。


「ん// いやっ、、 あんっ// んんっ// だめっ、、、あぁぁあん///」


「、、、」


「ん゛っ、そこっ//、お゛っ、やめっ、んあぁぁぁああああんっ////」


「、、、えっと」


「もういい?」


「、、、はい。」


恐ろしい女だなコイツ、、、


「んじゃあ早速あなたの経歴を確認させてもらうわ。」


「なんだ?採用面接でもすんのか?」


「耳かきの話ならもちろん不採用よ。」


、、、あぶねぇ手が出るとこだったぜ。

この女には人の心というものが全くないらしい。


「まぁでも面接というのはあながち間違っていないわ。」


「ほう、どこの労働施設で一生を終えればいいんだ?」


「異世界よ」


つまらない冗談だな。考えてみれば俺はそんな幻想を人生の土俵にできるほど余裕を持ったことがなかった。日々の些細な選択が生と死を分ける。振り返ればその道は屍の山で覆われていた。


「いやなの?」


だがこうして一度死んでみるとそれが全うな人の生き方じゃないこともわかる気がする。


「いや、悪くない」


幼いころから人からものを奪い、騙し、殺し、犯してきた。そうしないと生きられなかったし親にもそう教えられてきた。


「なるほど前科ありっと」


「そういえば面接って言ってたな。」


「そうそう一応向こうの神に履歴書提出しなきゃいけないのよ、、」


「前科ありって大丈夫なのかよ。」


ギャングの面接でもない限り落ちるだろ多分


「大丈夫よこんなん形だけなんだから。

じゃあ履歴書読み上げるから間違ってるところがあったら言ってね。」


「0歳、親に捨てられるもJ・ガルシアに拾われ育てられる

7歳、ガルシアの命令で初めて人を殺す

11歳、ガルシアと共に初めて人を犯す

12歳、R・クワンに出会う

13歳、ガルシア死亡、クワンらスラム街の少年でチームを組む

17歳、町のギャングチームを統一し、武器や薬の取引で莫大な利益を上げる。

21歳、東海岸の三大ギャングに数えられ政治にも影響力があると言われた。

27歳、抗争中に内部分裂が起きクワンに裏切られて死亡。4姦される。」


「だいたいあってるな。最後以外は。」


「あれ?あなたって27じゃなかったかしら」


「いやもっと後。最後の五文字くらい。」


「4姦のことなら本当よ。見たもの」


「、、、冗談だよな?」


「あら、もう向こうで受理されたようね、いってらっしゃーい!」


既に魔法陣が焼けるような音を出しながらすさまじい光を発している。呆気に取られていると座っていたいすがふっと消え去りついでに地面も消えた。


「うわあぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!」


こうして命以外にもいろいろ失いながら俺のいせかいせいかつがはじまるのであった




























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