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12.ユピタとユーノス

播種船がアーク星系に到着する頃の情勢である;

ユピタ

ユピタの総合政府は王制を敷いている。ユピタ政府は創造神教を星教として定めており、ユピタこそが創造神により最初に作られた星であり、双子星のユーノスはユピタから分裂してできた星であるという教義に基づいている。

星王は創造神の遣わした使徒の子孫であり、絶対的な存在としてあがめることを住民に課している。

過去、恒星アハウを神とあがめるアハウ教と生存をかけた大きな戦争を何度も繰り返した。自然を信仰対象とする宗教と比較して、唯一神を対象とする方が信徒の意識の統一が容易でかつ、信仰を尖鋭化させることができるため、それこそ神兵として死兵と化したテンプル騎士団の猛攻に、アハウ教勢力は撤退を繰り返すことになり、徐々に勢力を削がれていった。結果、アハウ教はユピタから完全に駆逐され、現在に至る。

政体としては、王制を敷いているが星王は教皇でもあるという政教一致政府である。地域を管轄する星王の代官として国王、さらに国王の代官として貴族を任命して、星王を頂点とした権力のピラミッド構造が堅固に構築されている。

ユーノスに対して支配権を持ちたいと考えているが、大量の兵力を輸送する星間輸送方法はまだ確立できておらず、大きな争いとはなっていない。星間輸送船団の開発と並行して、ユーノスの基本的防衛能力を削ぐ目的での衛星軌道上からの攻撃型衛星の開発も行っている。先ごろ、レールガンタイプの攻撃衛星の実用化目途が立ち、実戦配備に向けた計画の最終調整を行っている段階である。また、軌道エレベータとそれに付随する宇宙ステーション建設も進んでおり、近々竣工予定となっている。宇宙ステーションが竣工すれば攻撃兵器を搭載した星間輸送船団をユーノスに派遣し、一気に制圧することができると踏んでいる。

住民の基本的な考えは、一言で表すと「ユピタ星人でなければ人に非ず」であり、ユーノス星人は将来の奴隷候補で、ユーノスはユピタのために富を生み、運んでくるための道具と見なしている。


ユーノス

ユーノスの総合政府は連邦制を敷いている。ユーノス連邦は人族、ロマンの獣人族、あこがれのエルフ族、定番のドワーフ族と言うように、バラエティに富んだ人種構成となっており、唯一神をあがめる宗教を軸にした政体はそもそもそぐわなかったようで、様々な宗教が存在している。唯一神を信仰するような宗教は、他の神を信仰するタ種族により駆逐されることとなり、結果、宗教と政治は分離されて存在している。双子星のユピタはユーノスと共に生成された星であり、まさに双子の兄弟であるという認識が根付いている。

多種族星であることから、過去には奴隷制度や非常に強い人種差別が存在していた。今から数百年前にユピタに知的生命体が存在するかもしれないことを学者が提唱し、長年の調査の結果その学説が正しいことがほぼ確認された。何とかしてユピタ星人との連絡を取ろうと、非常に強い光源を用いたパタン信号発信による通信を試みたり、光学望遠鏡の解像度を向上させて映像の取得を試みたり、人工衛星を打ち上げてユピタの衛星軌道からの映像取得を試みたりしてきた。最後の人工衛星による試みがユピタ星人にはかなり不評だったようで、映像の取得はできたもののミサイルを発射されて破壊されてしまった。

ユピタ星人の攻撃が、その閉鎖性によるものか、排他性によるものか、あるいは好戦的民族であるのか、様々な推論が沸き起こった。

人工衛星を直ぐに破壊するような行動に出るということは、少なくとも友好的な立場ではないと考えた当時の様々な国の政府高官は、ユピタからの攻撃に備えてユーノスの内政を整える必要性を感じ、また、国家間でその脅威と目標を共有することとなった。その結果、種族間差別のような非生産的制度は撤廃すべしということになり、差別意識の排除に乗り出すことになる。奴隷制については、家電類の普及により奴隷を雇うよりも安価に労働力を確保できる科学技術力の進歩によって需要が減り、制度そのものも差別撤廃の風潮に倣って自然消滅的に撤廃されたのであった。

差別や奴隷制の撤廃に伴い、国家間の結びつきを強固にすべしという機運も高まり、ユーノス連邦政府が樹立したのが今から96年前のことである。

ユピタに対しては友好的な関係構築を期待していたが、先の人工衛星爆破事件により、接触を持つことに対して慎重である。ユピタからの侵攻軍が来ないことを祈りつつ、ユーノス衛星軌道上の人工衛星はユピタの動向把握を主目的としたものが約半数である。ユーノスも星間輸送方法は未確立である。ユピタが軌道エレベータと宇宙ステーションの開発を星の裏側で行っているので、それらの開発が進んでいることをユーノスは察知できていない。ただし、軌道上に打ち上げられる人工衛星の数がここ数年で一段と向上していることを察知しており、宇宙関連の開発速度が向上している可能性が高いと判断して、対策を検討しているところである。

住民の基本的な考えは、上述したように多種族が共存できるための土壌が醸成されており、一言で表すと「来るもの拒まず去る者追わず」である。


本日2話目の投稿ですお気を付けください。

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