表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/51

新入部員2

 というわけで、祢子はテニス部の門をたたいた。



 男子テニス部はないらしい。


 藤堂先輩みたいな人と会える可能性はゼロだったのか。

 ちょっとがっかり。


 まあ、藤堂先輩も、丸刈りだったら、いまいちだったかも。

 



 テニス部に入部申し込みする一年生女子は、多かった。

 みんな「エースをねら」っているのだろう。

 ライバルだ。


 祢子は名簿に学年組と名前を書いて、入部希望者向けのプリントをもらって帰った。





「スコート、ってなあに、母さん」

 準備するものの中に、スコートというものがあった。


 ラケットはまだ準備しなくていいのに、スコートは要るらしい。

 よほど重要なものなのだろうか。



「テニスする女の人がはいている、短いスカートよ」

 そんなものをはかなくてはならないのか?


「でも、パンツが見えるんじゃない?」

「アンダースコートっていう、見られてもいいパンツがあるのよ。……お休みの日に、買いにいこうか」




 そうして、一緒に行ったスポーツ用品店で母さんが手に取ったのは、真っ白な、超ミニスカートみたいなスコートと、おしりに真っ白なフリフリフリルが何段にもついた、アンダースコートだった。



「それはちょっと……」

「だって、これしかないじゃない」



「でも…… これって、はかなくちゃだめ?」


 自分がこれを着けて走り回ることを考えただけで、祢子は冷や汗が出てきた。


 見せるためのパンツとしか思えない。

 スコートがひらっとめくれる度に、パンツのフリルがちらちらする。

 それを見て喜ぶのは、男子だろう。


 なんでそんなことをしなくちゃならないんだろう。


 テニス以前の問題が、祢子の前に立ちはだかっていた。




「みんながはくんだったら、仕方ないでしょ」

 母さんは、スコートとアンダースコートを持って、レジに向かった。


 母さんは、やけに積極的だ。

 祢子のための買い物だと思われることさえも恥ずかしくて、祢子はレジから離れていた。





 そして迎えた、テニス部の練習第一日目。


 一応いやいやながらスコートを持ってきていたものの、普通の体操服でいいと言われた時は、芯からほっとした。




「じゃあ、準備体操ね」


 人数が多いので、広い円陣を二重に作る。

 内側は先輩たち。外側に、入部する一年生たち。


 部長の先輩が一、二、三、四、五、六、七、八、と声を上げながら体を曲げる。

 他の先輩も同じように体を曲げながら、二、二、三、四、五、六、七、八、と続けた。


「一年生も声を出して」

 振り返った先輩に促されて、祢子たちも体操しながら二、二、三、四、と声を張り上げる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ