初めての”人間”の友達
お久しぶりです……。
今回もぐだぐだです、すみません……。
こいつは人間。
私の大嫌いな。
でも……平気、かもしれない。
精霊の愛し子だからってのもあるけど。
それに、シェイルとは頻繁に会う仲。
だから、”信じる”ことができるかもしれない。
私らしくない。
だけど、こいつと友達っていうのは悪くない。
自然とそう思えた。
あとで後悔するかもしれない。
だけど、後悔、しないような気がする。
そんな思いと、あとでなんで愛し子を隠していたのかシェイルに問い詰めよ、と思いながらこいつに……ルーに話しかける。
「これからよろしく、ルー」
きっと、今の私の顔はとっても笑顔だと思う。
『スイ、スイ』
「ん?」
『おめでとっ!』
「うん」
ルーが首をかしげている横で、私はミーとしばらく笑い合っていた。
「あっ、改めて自己紹介とかしとく?」
そういえばちゃんと名乗ってなかったな。
「私はスイリュウ。これからよろしく」
そう言い私は口角を上げる。
「俺はルーヴェ」
そう言いルーも口角を上げた。
『ぼくはミーだよ!』
そう言いミーはキャッキャッとはねる。
もちろん満面の笑みで。
「そういえば、スイとミーはなんでこんなところに?」
「……あっ」
あー……うん、うん。
ど、どうしよう……パパとティ怒ってるかなぁ? 怒ってるよね……。
おいてきちゃったからなぁ……。
転移魔法で急いで向かうか?
それが一番早そうだし。
よ、よし! 今から転移魔法でパパたちのところへ行こう!
ルーもつれていくか! ひとりだったし、一緒がいいもんね。
そうと決まれば……。
「ミー、ルー」
ちょいちょい、と手招きをする。
『どうしたのー?』
ぴょんっ、とミーが私の頭に乗っかる。
……少し重いです、ミーさん。
「ルーもちょっと」
「なんだ?」
ルーは首をかしげる。
私はルーの手をつかんだ。
「わわっ えっえっ」
戸惑っているルーを無視して私は転移魔法を発動させた。
「あっパパ!ティ!」
転移してすぐ視界に入ったパパとティの下へ駆けつける。
「スイ!?ミー!?」
いったいどこにいってたんだ、とパパが声を上げる。
『お前は誰だ』
そしてティがルーを睨みつけながら言う。
『お前じゃないよっルーだよっ』
『ルー?』
「うん、ルーヴェって名前でね、シェイルの愛し子なんだって」
『ルーヴェ? シェイルの愛し子?……スイ、平気、なのか?』
ティが目を見開いた。
「うんっ」
私は笑顔で答える。
すごいでしょ?という意味も込めて。
「る、ルーヴェ?!」
えっ?
突然知らない声が、ルーの名前を呼んだ。
え、だ、誰?……そういえばここはどこ?
ギギギ、と音が付きそうに周りを見渡す。
あ、あれ? あ、うん。あーね、うん。……うん。
現実を必死に飲み込む。
……これから私の表情筋が死ぬ気がする。
なんてのんきに思う。
重要なことに気が付いた時には、もう遅かったから。
いっそ開き直っちゃうわ。
「あー……スイ、こっちは平気か?」
私の表情に気づいたパパが苦笑いをしながら聞いてくる。
平気じゃないです。無理です。ごめんなさい。
「き、君たちは……?」
「お、お前らは誰だよっ!」
金髪のおじさんと少年が、私たちにそう問いかけた。