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平穏な日々に雷が落ちる

めっちゃ間空いてすみません……(´・・`)

そして題名を変えました。続けてすみません……。

「そのな……スイには、王立魔法学園に通ってほしいんだ」

「……ん?」


私、幻聴が聞こえるようになったのかな。

今王立魔法学園に通え的なこと言ったのかな?

まさかね、あはははは。


「もう一度お願いします」

「王立魔法学園に通ってほしいんだ」


はーい私の耳はおかしくないようでーす。

でもなにかがおかしい。

じゃあなにがおかしいのでしょうか。

それは……私のパパの頭がおかしくなっちゃったんです。


「パパ!! 頭のねじ何本か抜けちゃってんじゃない?! 王立魔法学園って人間しかいないじゃない!! しかも王立?! すんごい嫌だ!! ものすごーく嫌だ!! てかなんでそんなこと急に言うの?!」

「ス、スイ落ち着け、落ち着け」


私の怒号に焦るパパ。


「落ち着いてられるかッ!!!!」


はあ、はあ、と息を整える。


「ふぅー……で?なんでそんな成り行きに?」


私は言いたいことを言い終えるとじとーっとした目でパパを見る。

私はいい子だからね、すぐに冷静になれるのだよ。

え? いい散らかす時点でいい子じゃないって?

そんな疑問は捨ててッ!! 今すぐにッ!!


「スイが理解早い子でよかったよ。いやまずまずこうなったのはスイが原因でな」

「え? 私?」


え、私なの?私なにかしたっけ……。


「思い出せるか? つい数日前だぞ。正確には4日前だな」

「4日前?」


う~ん……4日前、4日前かぁ……。

たしかその日は……あっ!!

私は4日前の出来事を思い出してぱっと顔を上げる。


「思い出したか?」

「う、うん……」

「あのときはちょうど俺が王と会っていたときでな……さすがに俺がやったとごまかせなくてな。まあすぐ直したところでみつかったものは仕方ないんだ。そろそろ頃合いだとも思ってたしな」


うっうぐっ……言葉が私に突き刺さる。

あの日は、そう……新しく作った魔法を試したくて――


「今まで山を削ったことはあったがまさか山を消すとは思わなかったよ。なぁ、スイ?」


――山を消してしまいました……。


「だってだって!! 全部消えるとは思わないじゃん?! 山の頂上とかそこら辺が消えると思ってたんだもん!!」


いかにも自業自得だという目を私に向けるパパに思わず反論する。

まあ自業自得なんだけど……。


「でもなぁ……それにもう王に知られてしまったからなぁ……手遅れだな」

「うわぁーん!! いやだぁ!!」


私が悪かったよ、自分で後始末とかしなきゃいけないもんねっ!

……でも、やっぱり人間ばかりが通う魔法学園には行きたくない!

偉い人たちがたくさん通う王立なんて余計行きたくない!


私がここまで嫌がるのには当然訳がある。


――人間が大嫌い。


それが決定的な理由。

まあ偉い人たちがめんどうくさいっていうのもあるんだけど……。


私は昔からあんまり人間が好きじゃなかった。

初めて人間が住む町に行った日。

その日はちょうど、聖花祭(せいかさい)、といって竜王と呼ばれる竜、レイベル――私のパパ――や精霊、神獣、数多の生物たちに感謝をするお祭りだった。

私のパパは、人間に比較的協力的で、魔物を追い払ったことがあるそう。

まあ他にもいろいろあるけどね。

だから竜王と呼ばれる竜でも、感謝をされ、英雄のような扱いを受けている。

そしてその聖花祭は年に一度、季節の変わり目に開かれる。

そして初めて見る人間に、初めてのお祭り、初めてだらけだった私はもちろん興奮して。

でも、楽しもうとしていたとき、誰かの叫び声が聞こえて、不思議に思っていると次の瞬間”なにか”が私の肩を貫いた(つらぬいた)

その”なにか”は、魔法で作られた氷の矢だった。

幼かった私は当然泣く。

そしてパパはそのまま号泣している私を抱いて、ハクスティールに帰った。


後に分かったことだが、魔法を使ったのは盗賊で、聖花祭のように大きな行事で油断しているところを脅したり魔法で攻撃したりして金や貴重品などを奪う安易な計画だったそう。


あの氷の矢でできた傷は、普通なら傷跡が残るが、パパがすごかったおかげで傷跡が残らずに無事完治。

でも、しばらくの間、私は恐怖で体がろくに動かなかった。


私は今でも思い出す。

あの日の激痛と、恐怖と、驚愕を。

私は今でも引きずっている。

人間に対する嫌悪と失望を。


だから私は人間が大嫌いになった。

そしてそんな欲深い人間たちに私の存在が知られるとどうなるか、ある程度は予測できるし、単純に人間と関わりたくないから、という理由でパパに私のことを隠してほしい、と自らお願いした。

パパは私の考えを理解してくれて、私の願いを受け入れてくれたのだ。

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