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S12:産廃二等



3ee:男の子拾ったってマ?おねショタしちゃう系?


IVβ@d09:相談無しだったのはスマン。まあ詳しい話は昨日箇条書きにして寝る前に投下した奴を見てくれ


IVβ@d09:正直最初はどうかと思ったけどアーティファクト込みで結構いい買い物だった気がする


ガリハラP:アーティファクトは大きいでござるな。戦力比の計算をする上でも見逃せない要素であるがゆえ 


黒田:確かにアーティファクトやリスク回避込みでの選択だとすると、イーヴァくんに落ち度はないだろう。むしろベストに近いとは思う。あくまで結果論にはなるけどね


3ee:実力は?雑用くらいにはなる? 

 

IVβ@d09:ちゃんと鍛えればかなり使えると思う  


18F1:本当に大丈夫なんですか?


18F1:β時代のなりすましとかではなく?本当に危険はないんですか?


18F1:使えると言っても限度はあると思いますが?


18F1:二人きりで本当に大丈夫なんですか?


18F1:リスク回避何てせずとも殲滅すればいいんです。アーティファクトがあればいけるはずです   


IVβ@d09:イヤハ、連投ストップ 


18F1:はい


IVβ@d09:まあね、ぶさおもいるしね。2人きりではないし。あの子ログイン時間長くないしさ。第二拠点の番犬くらいの気持ちで育ててみるわ。やっぱりマンパワーあると素材集めはかどるし。試運転がてら午後はアサと二人でちょっと地下見てみるわ


IVβ@d09:あれ?反応がないんですが?

 

ガリハラP:あ、イーヴァ氏まって。イヤハ氏が拠点飛び出してそれをビー氏たちが止めてる


IVβ@d09:なにしてん


ガリハラP:無言で抵抗してるからよくわからんでござるが、そっちに行こうとしていたと思われ


IVβ@d09:イヤハも地下に行きたかったのか?


ガリハラP:その通りではござるが、そうではないというか


IVβ@d09:イヤハを前線に立たせるつもりはまだないから頑張って押さえてくれ


ガリハラP:汚れ役は全部自分でやると?


IVβ@d09:そうは言ってないけど


IVβ@d09:なんかガリちゃんもアタリきつくない?  

  

IVβ@d09:ともかく、まだアサは試運転だ。そのうちビー辺りとは会わせるかもしれないけど、それ以上は経過をみたい


黒田:了承した。頑張ってくれたまえ


ガリハラP:黒田氏バトりながらチャットしてるの凄すぎワロタww


IVβ@d09:うっす、頑張ります



―――――――――――――――――――――――――――



◆第二拠点

 

 さて、アサ二等兵。君はここ3日でそこそこ使えるレベルにはなった。塵芥から産廃くらいにはなった。


「さ、産廃…………」


 ご不満らしいので、じゃあ再生可能廃棄物くらいにしとこう。近接もアビリティも出来てから人権を主張したまえ。返事ぃ!


「はぃ!」


 

 近接は一から鍛える必要があるが、そこはある程度アビリティでリカバリーしよう。運営曰く、俺らはまだメインコンテンツにすら辿り着いてないらしい。喘いでいる場合じゃねぇぞ。

 選択アビリティは【SpaceGear(スペースギア)】と【HeavenlyL(ヘブンリーラ)ighthouse(イトハウス)】、【OldE(オールド)lements(エレメンツ)】ね。βの時から安定して強いアビリティを揃えたか。悪くない。

 ちなみに君に敢えて言うまでもないと思うが、安置に戻ればアビリティは選びなおせる。使いこなせなければ帰るという選択肢もあるが、君はまだその段階ですらない。ゲーム始まって5日もたってないしな。スペギアはそこそこ使えてはいるが、まだ攻撃に転用できてない。ヘブンとオールドに関しては話にならない。ただ、基本的にコンボデッキじゃなくてそれぞれの利便性を生かしてその場に合わせて切り替えて使っていくタイプのアビリティとかだから焦んなくていい。まあヘブンだけは早めにコツ掴んどくと便利かな。

 俺みたいにホロウ、ラブ、ヘビィって組み合わせが強いタイプもあるが、あれはマナ残量計算がかなり………いやこの話はどうでもいいな。


 とかく、地下では決して焦って撃たないように。誤射がかなり怖いから、精神的に落ち着いる時以外に無理に攻撃しなくていい。俺でも余裕で死ぬレベルなのが地下だからな。今回は偵察のつもりでいいから、最悪後ろをついてくるだけでもいい。ヘブンで光源係に徹するっていうのならそれもアリだけど。


「それが、いいです」


 まあそうビビんな。肩からケツまでガッチガチかよ。大丈夫だって。昨日はお使いもできたじゃないか。


「はぃ。いやでも、ただ木を取ってくるだけだし………」


 でももしかしもかかしもなー--い!!ごちゃごちゃうるせぇ!行くったら行くんだ!しくじったら破門だ!!


「うえぇぇ!?ししょー!緊張をほぐそうとしてるのかそうでないのかわかりません!」


「この程度で死ぬやつは知らん!生き延びろ!」


「でもさっきはシショーでも死んじゃうって「シャラップ!」うひっ」


「行くぞ!」


「は、はい!」


   

◆第二拠点付近 地下


 

 さて、初日から鉈で木を切ったりツルハシで金属を集めたりと割と泥臭く面倒な方法で資材・建材を集めてきたわけだが、ヒトデではもっと一発で大きく稼げる方法がある。それが『ロビー』だ。


 『ロビー』ってのは海外産の言語らしいが、兎に角、ダンジョンに行き物資を集めてくることをヒトデではロビーという。例えば地下坑道なら『坑道ロビー』、遺跡なら『遺跡ロビー』、船なら『船ロビー』といった感じだ。なので今回行う地下探検は『坑道ロビー』に該当する。

 ちなみに、俺が一度見つけた野営地跡の漁りも、一応『野営ロビー』に該当するが、アレは小規模だし完全に機能停止してて敵も湧かなかったからロビーとは言い難い。

 

 坑道ロビーは、物資を得るという点では他のロビーと比べてそこまで効率は高くない。

 ただし、他のロビーポイントへつながるケースが大きく、かなり馬鹿にできない。あるいは他のロビーの攻略の鍵となる物資が湧いたりするケースもある。それに序盤ならば坑道ロビーで得られる程度の物資でもありがたい。


 坑道ロビーの一番の難点は何といってもその暗さ。光源が0なので、自前で用意しとかないと一方的に殺されたりする。また、狭いのでほとんど逃げ場がなく、接敵したらもう倒すしかない。その代わり背後から奇襲される確率は低いのだが、0ではない。


 今回、光源に関してはアサで解決しそうだが、また最初に見たみたいにパニックになって万が一にも背中撃ちなんてされた時には俺も激おこプンプン丸になるかもしれん。死んでも破門する気はないが背中撃ちはマジで感情にまかせて破門しそうになる。それくらいだるい奴だ。敵に殺されるより味方に殺される方が遥かにやりきれない気持ちになるんだ。そしてうちのチームだとロルがよくやる。ごっめーん!じゃねぇんだよロートルがよぉ。

 お互い様なところも多いんだが、ロルは完全に不注意でやってるから怒られても仕方がない。


「わ~、暗いですねぇ~」


 まぁな。アサのお陰でまだましな方だぞ。ヘブンの灯り切ってみ。   


「な、なにも見えない。ほんとに真っ暗ですね」

 

 アビリティ【HeavenlyL(ヘブンリーラ)ighthouse(イトハウス)】。

 効果は思考加速と光操作。思考加速は疑似的な時間感覚の延長、光操作はそのまま。光を攻撃に使うこともできるし、目くらましにしたり、単なる光源としても使える。光の強さや使用方法によってマナの消費は大きく変わり、光源として使う程度ならかなり消費は少ない。

 

 通常だと銃とかにライトスコープ付けたりとか、ヘッドライト、カンテラとか色々対策があるんだが、まだ物資が揃ってないので無理だ。安置山に行けばダストで購入できたりするんだけど、まだダストには近づきたくない。黒田さんとかが近いうちにお使いに行ってくれるみたいなので期待しよう。こういう時面が割れてない人は強い。


 ともかく、今は手持ちだけできるだけ足掻くしかない。




◆第二拠点 坑道?

 

「回復!」


「はい!」


 1kill、2kill、3kil!

 さぁ来い。次はどこからくる。


「死体あさっといて!」


「はい!」


 結論から言うと、アサは想定よりかなり使えた。完全にマネージャー役に徹しており、2人いるってことは実質俺は二人分のインベントリが使えるという事で、想定よりもかなり奥へどんどん進めていた。


 弾や回復薬の心配はあったが、そこはアサが追いながらしっかり回収してくれるし、お陰で俺も攻撃に専念できる。あと天性の才能と言えばいいのか。アサには小動物じみた危機察知能力が備わってるらしく、背後から寄ってきた敵への反応が超早い。転移の時にその片鱗は見せていたが、逃げ足に才能を極振りしてるような人間だ。


「あ、右に部屋ありますよ!」


「おk、そっち行くわ。多分中にいるから気を付けて」


「はい!」


 坑道の通路は広めの地下通路になっており、見た目的には大きめの駅の地下通路とかに近い。


「というか帰らないんですか!?かなり進んでますよ!?」


「あ゛ぁん?進め!撤退の2文字は焼き捨てろ!」

    

「この人言ってることが分単位で変わるよぉ〜!?」

 

 ビービー喚くな!敵の動きが聞き取れないだろ!

 変わらない人間なんかいるわけねぇだろ!俺はその間隔が狭ぇんだよ!


「めちゃくちゃだ!?」


 ほらいくぞぉ!


 拾ったパイプに金色の光が帯びる。

 ここからが俺の3つ目のアビリティ、【Love(ラブ)Maker(メイカー)】の真骨頂。石が爆発した手品の種だ。

 それを投げ込んだ瞬間に自動迎撃レベルのスピードで銃弾がダダダダダダッと撃ち出される。と半拍遅れてドンッと爆炎が走る。


 アビリティ【Love(ラブ)Maker(メイカー)】の能力は武器改造、そして爆弾化。

 ほら、漫画とかよくある触れたものを爆弾に変えちゃう奴だ。ただ、ヒトデのラブは爆弾化する時に重量などの細かいルールがあるのであそこまで万能じゃないが、うまく使えばほぼ無限に武器を作り出せる。


 最初の銃弾の向きで敵の数と方角は掴んだ。

 チラッと部屋を覗く。こりゃダメだ。1番嫌なタイプ。

 相変わらずビビって腰抜かしかけてるアサを置いて俺は大型拳銃と3輪丸鋸大鉈ブレードを手にして突っ込む。本来は壁からチラチラ除いてライフルで処理していくのだが、めんどくさいので時短だ。この部屋とその戦法は相性が悪い。


 俺がヘッドライトをつけて小部屋に飛び込んでくると同時に1番近いやつが反応した。


 やはりコイツか。


 BatrilGad(バトリルガッド)

 見た目はなんて言えばいいだろう。シルエットはアレに近いんだ。ベビーウォーカーってやつ。タイヤのついた円形のテーブルで、その真ん中に赤ちゃんが立つことで倒れずに歩く練習ができるアレだ。

 問題は中心に刺さってるのが赤ちゃんほど可愛くない昆虫型サイボーグみたいな奴で、ベービーウォーカーほど遅くないってこと。タイヤのついた三脚を自在に動かし人間より素早く動く。

 円形のテーブルにはご丁寧に砲門が並べられている。

 通称、3輪ベイブ。シンプルだな。


 爆炎の煤に塗れた青いモノアイがこちらを向くと同時に俺の手にした拳銃が火を噴き一撃で射抜く。そのまま方向だけ変えて2射目。方角的に近かかった別個体の3輪ベイブをヘッドショット。これで2。


 ここで棚の後ろにいた奴が出てきて撃ってきて肩の端を抜かれた。

 この部屋は小部屋の中でも物資が多い代わりに戦いにくい棚部屋だ。真ん中を少し開けて2×4で棚が左右に並ぶ。敵からすれば身を隠し放題ってわけだ。


 肩を削られても結構!この程度この世界じゃかすり傷!

 ホロウの念力で飛ぶのは無理と言った。出力の問題で吹っ飛んでしまうと。しかし、裏を返せばうまくそのぶっ飛びを使えば一気に距離を詰めることも可能ってことだ!


 キング個体の時は未知の攻撃を警戒して使わなかったが、ことこの部屋に限れば外乱要因は無い。大胆にいく。もう幾度となくやったせいで、特に考えなくても感覚は掴んでいる。


 一気に景色が後ろへ吹っ飛び俺の構えた3輪丸鋸大鉈ブレードが俺の肩を射抜いた3輪ベイブの顔面に突き刺さる。飛び散る銀色の液体と青いスパーク。バギィ!と金属がひしゃげる音が耳朶を震わせる。

 そのまま後ろ手で即座に拳銃を2発発砲しこれで反応できていない4体目を仕留める。


 フーッ、これで制圧完了。


 いや、まだ居たか!!


 5体目。まさかの入り口の天井にトラップの様に張り付いてやがったのは、【AracylGad(アラクィルガッド)】。通称要塞アラクネ。

 蜘蛛に女性の身体を生やした伝説の生き物アラクネ。ソイツをサイボーグ化したみてぇな化け物だ。何が残念かって、女体の部分が重装歩兵もビックリなほど大型の鎧で固めたゴリラ野郎で、肩にランチャーを付けてる超ゴリゴリの火力特化ってところだ。


 3輪ベイブほどスピードは無いが頑丈で火力が高く、どんな足場からでも高火力支援ができるのがコイツの特徴だ。特にこの手の閉所じゃ最悪の敵。


 こういう時はビビったら負けだ。

 常に最悪を想定しろ。この程度まだ余裕だ。


「引っ込んでろ!」


 高速回復(リバイアサン)念力(ホロウ)重力(ムーン)の同時起動。俺が吠えると同時にこちらを覗き込もうとしたアサにこの声が届いたか。それを見届ける間も無く俺の視界がまた吹っ飛び強烈な熱と爆炎が流れてドゴンッ!と重い金属同士がぶつかった様な音が響く。


 骨が、皮が、血が悲鳴を上げる。しかし一瞬起動したリバイアサンがダメージ判定とほぼ同時に起動したことで全てを帳消しにし、ホロウとムーンで加重しつつ吹っ飛んだ俺の構える3輪丸鋸大鉈ブレードが要塞アラクネを凹ませるが、まだ殺しきれてない。


「死ねぇ!」


 加重を更に強め3輪丸鋸大鉈ブレードを起動させる。勢いよく回転する鋸が火花を散らして凹みから装甲を削っていく。

 僅かに空いた隙間。俺に押されながらも砲身をこちらに向けようとしてくるがそれを蹴り、隙間に拳銃を捻じ込んで撃つべし!撃つべし!スタン判定をもぎ取り、石ころを更に広げた隙間に押し込む。そしてアビリティを解除して奴を蹴って離れるとパチリと指を鳴らす。隙間に押し込んだ石材が景気良く爆発し、ガシャンという音とともに巨体が落ちる。


 今度こそ、制圧完了。

 

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