あ、めっちゃポテチ食べたい
夜である。時刻は21時30分。
よい子はお風呂に入って1日の終わりに向けた準備を始める時間である。
しかし、今私の脳内を占めているのは1つ。
「めっちゃポテチ食べたい」
最近ちょっとお腹周りに肉がついた気がして、ダイエットでもしようかなーとか、そんなことを考えていた。
早速夜ご飯は野菜を中心としたヘルシー食にした。
なのに、ポテチを食べるなんて……。
しかもこんな時間に。
しかし一旦脳を支配した欲求はなかなか消えてくれない。
ダメ、そんなの、ダメに決まってる。
気を紛らわすために水を飲む。
いや、無理だ。水飲んだところでこれポテチじゃないし。何も紛れないわ。
というか、私はどうして食べたいものを我慢してまで痩せたいと思っているのだろうか。
健康? いやいや別に太ってるわけではないし、健康上の問題なんてない。
彼氏? 残念ながら彼氏はいない。痩せたところでそのナイスバディを披露する相手なんていない。
ファッション? 別に痩せて着たい服があるわけじゃない。着られなくなった服があるわけでもない。
じゃあ、なぜ私は痩せようとしているの?
食べたいものを食べる幸福以上に、痩せることで得られるものがあるというの?
水の入っていたグラスを握りしめる。
私の中の天秤がポテチに傾く。
いやいや、理想の自分になることで自己肯定感が高まるとかさ、自信が湧くとかさ、そういうの、あるじゃん?
あるかな? ある……ような、ないような。
チクタクチクタク。
考えているうちに時間はどんどん進んでいく。
時間が遅くなればなるほど、ポテチへのハードルは高くなる。
私はふうっと息を吐く。
やっぱりね。正解はこうだと思うのよ。
私は鞄をひったくって家を出る。
ダイエットは明日から!
フィクションです。