5
「あれ、アユカ……だけ?」
ユイはと続かれるであろう言葉を無視してアユカは2人の目を捕らえた。
「そう。いつまで続けるの」
ギロリと効果音が付くような睨み方ではない。呆れを通り越したのだろうか。人を蔑む様な冷たい目をしていた。
「何のことかお母さん分からないわ。ねぇ、ユカリ?」あくまでシラを切るつもりなのか胡散臭い笑みで対応するアヤミにアユカは怒りさえ沸いていないように見えた。
「そうだね、分からない」
ユカリも続けてシラを切ったがアユカはそんなことはお構い無しに話を続けた。元より二人の答えなんてどうでも良かったのかもしれない。
「ユイの体調が悪化した。いつもと違った」
「それで」
「目の色」
遊園地とは似つかない空気が漂う中続けていった。
「そう、それなら話は早い。アユカ、あんたはまたやり直すのよ」何がとか、何も詳しい事情を聞かずにとんとん拍子で話が進んでいく。刹那、強い風がユカリの眼帯をはらりと地面に落とした。
「何が言いたいの」
「サヨナラってこと」
「2人とも、やめなさい!」
その声が届くこともなく、ニヤリと笑みを見せたタイミングでアユカが倒れた。その後、ユカリが倒れる。ユカリの目は血のように赤く、アユカの目は真っ黒のままであった。
「やっぱり」
ボソリと呟かれた声は酷く悲しく聞こえた。