茂夫の言い分
茂夫言い分
「あ間違えた!塩と砂糖を反対に入れちまった」
またやったな。英ちゃん今度で6回目。
「あははは。。。。ごめんごめん。次は間違えないよ!納豆だろう茂!」
また笑ってごまかしてら。。。。ごめんごめんで6回も間違えるもんな!間違えるだけだけならばいいのに、そのあと絶対と言っていいほど俺に同意して意見聞きたがる。俺は苦笑いして答えてやった。
「そうだよ。失敗は成功の素っていうじゃありませんか」
「ありがとう。ありがとう。その言葉が聞きたかったんだ。」
といって英ちゃんの俺のエプロンでオンオン泣き始めた。何円この人コックやってんおかな、とつくづく思ったと同時に、俺ってなんてやさしんだろう、だってそのあと俺こう言ってあげたんだよ。
「英ちゃん気にするなよ。あっそうだ!これあげるよ!これで英ちゃん1時間ぐらいパチンコしてくれば、あとは俺に任せろよ」
といってポッケから5千円を出して俺はくしゃくしゃに、握らせてあげた。英ちゃんは涙を流しながら、やはり木の食った、卵焼きがいけなかったんだ。俺のおっかがさ、昨日うちまで来て、卵焼き作ってくれたんだよ。俺涙を流しながら、「おっかあ心配させてごめん、でもこの俺もコックとしてのプライドもあるから卵焼きは自分で作るよ」
「お前も立派になったもんだ、おっかあその一言で安心してあの世へ行けるよ。だから今日だけは、あの世へ行く前に、お前に1度卵焼きを作ってあげたいんだよ!お前もお母さんの子ならこの気持ちわかってくれるね」
「いいや、おっかあだめだ今日だけは俺が作る」
って言って争いよ。でもさ、俺が力づくで、フライパン引ったくって、涙ながらにさ!。作っちまったんだよ。
と言って俺のエプロンで音オンなく。なんで卵焼きが出たのかはわからないけれども英ちゃんは、嬉しい時や悲しい時にはいつも卵が出る。
「だからさー卵が割れて中からひよこが出てきてー死んじまったんだよー卵が悪いんだよ!」
言ってることはめちゃくちゃでも、それほど喜んでるんだなあと思うと俺も涙が出てきてもうボロボロ。ついに調子合わせて英ちゃんと一緒に’たまご’の歌歌ったよ。曲も歌詞もめちゃくちゃでその場で即興。
「卵、卵〜美味しい〜たまご!それっ!ピヨピヨピヨピヨヨヨ〜こけっこっこーたまご!」
他のコックの連中は、このクソ忙しいのにあのバカが!という顔して作っている。俺はがはっと我に帰ると、もうすでに英ちゃんお姿はなくて5千円もなかった。
さっさと目が覚める前に盗んできちゃったんだろう。そのひったくりは素早いものすごい素早い。宇宙戦艦ヤマトのワープみたいに、瞬きするもういないという感じ。