第15話 転生した奴が魔王だった件
今年もそろそろ終わりますね。そういえば、皆さまはクリスマスはどう過ごされましたか?私は、クリスマス男子シングルに出場してました。来年こそはダブルスになっていると信じたいです!
「ど、どうして……!」
「ハハ、驚くのも無理はない。俺に会った日本から来た転生者たちはみんな驚くよ」
魔王がそう言う。
「……その言いぶりだと、俺の予想通りで間違いないみたいだな」
「ああ、たぶんな」
どうして……。
「どうして魔王が日本人なんだ!?」
そう、俺の目の前で玉座に座っているこの男は、黒髪黒目のどこからどう見ても日本人にしか見えない容姿をしていたのだ。
「なんか悪いのか?魔王が日本人だと」
「当たり前だろ!なんで転生者が魔王をやってるんだよ!魔王を倒すために現れるのが転生者だろ!」
「知らねぇよそんなこと。神たちに勝手に転生させられて神の手足になれっていうのかよ?悪いがそんなのはごめんだ」
「だからって魔王になって良いわけがないだろ!」
「はいはい、御託は良いから。まだ一人幹部がいるからな。まずはそいつを倒してからにしてくれ」
「は?もう一人?」
おい待てよ、話が違うじゃねぇか!
俺が聞いた話だと、魔王軍の幹部たちはみんな外出中で、魔王城にいる幹部はさっき倒したやつ一人だけだったはず……!
「というわけで、お前に任せた、最後の砦さん」
「分かりました、魔王さま」
すると、急に魔王の前に一人の男が現れた。
「な……ッ!いつの間に……!?」
「俺は奥の部屋で仮眠しておくわ」
そう言うと魔王はドアを開けて奥の部屋に入っていった。
「……じゃあ、お前が正真正銘最後の魔王軍幹部なわけか……」
「そうだ……だが」
俺はそいつに襲いかかった。
「ま、待ってくれ!話すことがあるんだ!」
「待つわけないだろ!その間に仲間を呼ばれるかもしれないだろうが!」
そして、俺は目の前の男に殴りかかった。
「本当に待ってくれ!一回落ち着こう!」
だが、そいつは俺の攻撃を簡単に避けた。
「……俺の攻撃を避けたやつはお前で2人目だ、驚いたな」
「それはどうも……。落ち着いてくれたかな?」
「……まぁ、あんたに興味が湧いてきたかな?とりあえずは落ち着いたんじゃね?」
「じゃあ、話を聞いてくれるかい?」
「少しだけな。敵の話なんて本当は聞くべきじゃないんだろうけどな」
「ありがとう」
そう言うとそいつは続けてこう言った。
「魔王とは戦うな。今すぐ帰るんだ!」
「……はぁ?」
何を言い出すかと思えば、一体何を言ってるんだこいつは?
「おいおい、冗談だろ?あんた魔王軍の幹部なんだろ?幹部が魔王を倒しに来た冒険者を返して良いのかよ?」
「私は魔王軍の幹部であって幹部ではない。君みたいに、ここに魔王を倒しに来た若者たちを救うために私は幹部をしているんだ。私は君の味方だ」
「はぁ……」
「断言しよう、君ではあの男に勝てない!今ならまだ間に合う、君の居場所に帰るんだ!」
「断る」
「……な、なんでだい!?このままでは君は死んでしまうんだ!」
「俺はここに魔王を倒しに来たんだ!今さら引き返せるわけがねぇだろ!」
「今なら引き返せる!考え直すんだ!」
「俺はもう誰にも負けねぇ!魔王にだってなぁ!俺はもう覚悟を決めたんだ!」
「…………本気で言っているのかい?」
「ああ、マジだ!」
「……分かったよ」
そいつはそう言うと、後ろに歩き始めた。
「やれやれ、やっと魔王と戦えるな」
「魔王と戦う?何を言ってるんだ君は?」
「は?」
そいつは、俺の方を振り向くとこう言った。
「君に引き返す気がないのなら、私が強引に引き返させる!ここは通さない!魔王とは絶対に戦わせない!」
……おいおいマジかよ。
「俺とやるつもりかよ」
「私は魔王軍、最後の砦!魔王軍幹部にして『永遠』の名を持っている!私の名は……」
「ハァ…………ッ!ハァ…………ッ!」
「……君には負けたよ」
「ハァ…………ッ、そりゃ……ハァ…………ッ、どうも…………!」
なんとか勝てた……!
本当にギリギリだった……!
俺の攻撃は全て避けられるし、なによりも、こいつ自身の攻撃が強かった。
「この世界に来て初めて、殴られる痛みを味わったよ……」
「そうかい……?それは……良かったと言うべきなのかな?」
「たぶん違うと思うぞ」
「ハハ、そうかもしれないね」
「……あんた、何者なんだ?俺たちの味方って言ってたけど……」
攻撃をひたすら避けられても、最後は攻撃を当てることができた。
もちろん、当たったところが吹っ飛んで、こいつの体は一度上半身が完全になくなった。
しかし、数秒後には体は元通りになっていた。
結果として、俺がこいつを一時的に戦闘不能にしたから、俺の勝ちらしいが……。
「どうしてあんた自身で魔王を倒そうとしないんだ?その再生能力があれば勝てると思うんだが……」
「それは言えないね、私がなぜ魔王と戦わないのかも、私が何者なのかも……」
「……そうかよ。まぁ別にいいや。じゃあ、魔王のとこに行くよ」
「……気を付けて、君が勝つことを心から祈っているよ」
「さぁ、あいつは倒した。次はお前の番だ」
「へぇ、やるなぁ。あいつを倒すなんて」
魔王は真っ白な部屋の中で赤いカーペットを敷いてあぐらをかいていた。
「さっさと構えろ」
「えー……俺まだゲームやってるんだけど……」
魔王が見ているゲーム機からピコピコと音がする。
「じゃあ、俺からいかせてもらうぞ」
「勝手にどうぞ……」
どうぞと言われたので、俺は魔王に殴りかかった。
そして、魔王の顔面に拳を一発入れた。
「……ほぉ?さすがは魔王ってとこか。俺の攻撃を受けても平気なんてな」
だが、魔王は全く動かなかった。
攻撃を受けても怯んだ様子は全くない。
そりゃ魔王だもんな、強いに決まってるわな。
しかも俺と同じ転生者だ。どんな能力を持ってるか……。
「そんなこと言ってるヒマはないぞ。早く移動しないと……」
「は?何を言って……」
次の瞬間。
「え……?」
なぜか、俺の視界が突然ブレて、俺の目の前に赤い壁が迫ってきた。
いや、これは壁じゃない。赤い、ってことはカーペット?
なんでカーペットが……俺に近づいて……。
「ほら、首が胴体から離れちゃったじゃないか……って、もう聞こえてないよな。死んだんだから」
「死体の処理はお任せください」
「ああ、任せるよ。カルセフ」
〜ハヤマ リョウ〜
「……遅いな」
セレンが家を出てもう3時間は経った。
いくらなんでも、時間がかかりすぎだ。
そろそろ帰ってくるといいんだけど……。
「ただいま帰りました」
「おお!帰ってきた!」
すぐに玄関に向かう。
「お帰り!遅かったじゃないか、心配したぞ?」
「すす、すみません……」
「ん?どうした?震えてるけど……?」
なぜかセレンは震えていた。
「ッ!!リョウさん!!」
「うおッ!?」
急にセレンが抱きついてきた。
「な、なんだよ急にどうしたんだよ」
色々と柔らかいものが当たってマズイ。
『ハハハ、セレンは本当にその人のことを気に入ってるんだねぇ』
「ッ!?誰だ!?」
急に外から声がした。
『いや、失礼失礼。自己紹介が遅れましたな』
すると、声の主が現れた。
「私の名前は『エルメス』。隣国の孤児院を管理しております、セレンの保護者にあたるものです」
この作品も書き始めてもう半年過ぎました。未だに投稿ペースが整わず、本当にすみません。まだまだ未熟ですが、これからもこの作品を読んでいただけると幸いです!