七限 〜 頼れる奴なら……
何とかギリギリ逃れた。ったく、何なんだ、あいつ。
てか、最近知り合った(?)ばかりの割には、なんか、アレ、な。でもなんか懐かしいっぽい? いやいや、名前や顔はともかく、んな物騒な奴に会った事あったら、それ忘れるはずない。一二週間以内も尚更そう。
「ん、あ~、いい所に来たね~」
考え中に家に帰る途端に、校庭でどっか聞いたような声に話し掛けられて、見上げる。
「どうしたの、悩み事?」
「ん? あー」
そこに部長の――うーちゃん先輩(印象的すぎて本名忘れた)に明坂。
制服のまま。もう部活が終わったのか。ってどんだけ追い回されたんだ、俺?
「あ、もしかして入部の事? 挙句に遅くなっちゃって」
「な訳ないでしょ」
「あっ」
そっぽ向く明坂。昨日から機嫌悪そうだった。やっぱ気になる。切っ掛けは一昨日のだろうな。なら俺が悪かったかも知れない。
「そうだ、今からもう一本はどうかな? 報復、したいでしょ?」
「え?」
「えっ、今から!? いや今日はちょっと……」
花田日のせいでマジ疲れてるわ。逃げたり隠れたり、また逃げたり。
「あっそ」
「あ……」
ふんっと大きめの歩幅で校門の方へ向かう明坂。また、悪い事言ったな、今。ここから後ろ姿を見る事しか出来なかった。
「神崎君ぅ。そこ、受け取ってあげるんだよー!」
「……」
「それとも、断る理由でもあったの?」
「そうですね……」
「んんー。私でよければ、詳しく聞かせてくれないかな?」
「んん~っ、これだよぉ~。やっぱこの店に限る~」
先輩にちょっと話しに連れて来られたと思ったら、ただお気に入りのファミレスのパフェを食べる所を見せてる。たださっき行ってしまった明坂の代わりなのか。
まあ、ここで子供みたいに喜ぶ先輩の食べるのを見るのも悪い感じはしないな。
「ん? どうした、私の顔じっくり見て? 何か顔に付いてるの?」
「あ、いや……」
「で、結局どうしたの? 何だか色々大変そうに見えるから」
「実は……」
先輩に話す。一昨日の昼休みからの明坂の事を、花田日と起きた事を。
明坂の冷たい態度を、花田日のしつこさを。
それに、前の学校にはテニス部がなかった事を、事情があったから仕方なかった事を。
先輩はそこでじっとしてて、ただ話を聞いてくれるのだった。