四限 〜 気まずい……
場所は保健室。時刻は放課後。
そして、ここにクラスメイト。昨日弁当作ってくれた女の子。その午後、1セットで倒されたエース選手。
明坂めぐみと目が合ったのである。
「……あんたさ」
と、話しかけられる。
「何でごっそりといるの? 昼頃から」
「あー……変な事飲まされた、多分」
「は?」
疑惑の目で見つめられる。もっともの反応だが。
「ってか、マジ授業終わったのかよ」
「終わったに決まってんでしょ、何言ってるの」
よく見りゃ、昨日も着てたテニスウェアの明坂。部活始まったんだな。そして手に何か持ってる。
「明坂さん、絆創膏?」
「……念の為よ。色々あるでしょ」
「そんなに?」
「クラブの皆の分」
「へー、用心深いな」
「……別に」
そう言って、保健室を出る明坂。
「俺もそろそろ帰ろっか」
とは言え、胃がまだおかしな事やってる。聞いた事ない音とか。
「せ・ん・ぱ・い」
何かいる。
「気が付きましたね、先輩」
いつの間にか現れたんだろう。
「別に心配とかしてませんでしたし、この花田日清千香が治してやりましたし」
そもそも毒したのはお前だろ。
「って、治してくれたんだな、君」
「もちろんです。そんなの起こるはずなかったですから」
「じゃあ、この狂ってる胃を鎮めるか?」
「胃痛は専門外です」
なんだ専門外か。
「じゃ変なの飲ませるな!」
「あれは違うです」
「どう言う事?」
「……/////」
いや照れても分かんないし。
「何だよ、君は」
「君じゃなくて、花田日清千香です」
それじゃない。
「……し、清千香と呼んでも、いいですよ…?」
何だか嫌だ。こいつだけは。
「お、女の子にそんなの言わせないでください」
よく見りゃ、この子も全体的に割と少し結構成長が遅くて可愛いかも。可愛っぷりよく使うし。
「まださっきのブレンド少し残ってますから」
やっぱ無しで。
胃を抱えながら、家まで逃走した。
……。
悪手だと気付くには、後日まで掛かった。