「あぁぁ、目がぁ、目がぁ〜〜〜あああああああ〜〜〜〜」
初めての投稿なので生暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。
今日のタイトルはァ~?
「もし異世界に行ったら何がしたい?」
こんな質問をされたらあなたはどう答えるだろうか?恐らく異世界なんて無いと言う人がほとんどだと思うが、もしもの話でいい。
え?じゃあお前はどうなんだって?そりゃあ勿論チートとかを使って無双するんだよ。誰だって一度は夢見る事だと思う。仮に異世界に行ったとして自分がチートを使えるのか?なんて無粋な質問はやめてくれ、もしもの話だって言っただろ?
まあこんな話をするって事は───そう異世界に転移されたんだよ、俺。
あの日の事についてどこから話すべきか。あの日、柏木煉華はパソコンでゲームをやっていた。まあ、あえてこの場でそのゲームの名前を言う必要も無いだろうが、あえて言うならばアップデートによって彼のパソコンのデータが吹っ飛んだことがある。その時の煉華の表情は...なんと言うか、あえて残しておいた自分の好きな食べ物を横から取られた時のような絶望と虚無感の混じったなんとも言えない表情だった。
柏木煉華とは一体誰なのか。一言で言えば、普通の男子である。特に変わった人生を送っている訳でもない。髪型も普通、校則を破らない程度に伸ばしている。授業中にテロリストでも来ないかなー、と考えたりする普っっ通の男子である...いやだったと言うべきなのか。
そろそろあの日の話をしよう。煉華はその日一つの悩みを抱えていた。どんな悩みかと聞かれたら、別に隠す必要も無いので言ってしまうと始業式をどうやり過ごすか、という悩みだ。
煉華は昔から人が大勢いるところが苦手だった。苦手なだけで人がいっぱいいると死んでしまう!というほど酷い訳でもないし別に人付き合いがそこまで(←本人曰くここが重要らしい)苦手という訳でもない。
それでも自分から苦手な場所にわざわざ行く必要も無いので校庭には授業以外に出たことがないし渋谷のスクランブル交差点の映像とかを見ただけで圧迫感を感じ、あんなとこ良く行けるな、と現代の若者を目にして驚愕する日々を送っている。お前も若者だろうとかいうツッコミをするヤツには片っ端から俺がキン肉バスターを仕掛けてやる。と豪語して止まない煉華だが学校は一度も休んだことがない。何故か、という話はここでは置いておこう。
そんな煉華が始業式などという全校生徒が集まる式に参加できるはずがなかった。
「母さーん、いるー?ちょっと話がしたいんだけど…」
「ダメ」
「…はい…」
煉華と長年暮らしている母親が圧迫感を感じる煉華の体質を知らないはずがないのだが、ダメもとで話をするも一蹴される図がこれである。始業式の前日に煉華が自分から話を切り出すということは既に毎年の事であり、もはや一家の恒例行事となっている。
そういうわけで煉華は少しでも気を紛らわせるために自分の部屋の机の上でパソコンを開きゲームをしていたのであった。
そんな時に煉華の机の引き出しが急に光り始めた。
「え?え?何々なになになに????ど、どどどどどどうした!?」
煉華がいきなりの出来事に困惑していると突然ガタガタと揺れ始めと音速で開き腹部にズドン!と鈍い音を走らせる。
「み……鳩尾……」
いきなりの事に防御体制なんかとってもいなかった煉華のHPは1になってしまう。
と...とりあえず何が起こったのか確認しないと...と、考え手で腹を抑えながら何とか立ち上がり、全開になった引き出しの中の光を見たところで煉華のなんとか首の皮一枚つながっていた意識は途切れた。
「ここは...何処?私は誰?」
目を覚ますと、自分の知らない部屋にいたので決まり文句を一人呟く。勿論煉華の記憶は残っているのだが、まあお決まりのセリフなのだろう。自分の状況を確認すると壁や床が一面真っ白な空間の中で木製の椅子に座っていた。床を見ると魔法陣?らしきものが描かれており、さらに煉華の目の前には絶世の美女がいた。
(何といえばいいのだろう、こんな時に自分の語彙力の無さにもどかしさを感じる。身長は俺ぐらいだろうか。光を反射しキラキラと光り輝く銀の髪を腰まで伸ばしている。綺麗だ。白を基調としたシンプルな服装。似合っている、綺麗だ。肌も白く、その顔には美しさと引き込まれるような魅力がある。綺麗だ。そして全体的に白さが目立つ彼女の紫色の双眸に吸い込まれそうになる。綺麗だ。綺麗だ...クッ!だが俺には心に決めた人がいるんだ!!あれだ!アレだよ!好きな人じゃなくても綺麗に感じる人っているじゃん?!それだよ!俺は決して心が揺らいだりしない!...と思う!って俺は一体誰に言い訳をしてるんだよ!)
煉華が一人で頭を抱え体をくねらせながら悶々としているとその女性が煉華に話しかける。
「初めましてレンカさん。私は女神のルキナと言います。あなたは不運なことに今日死んでしまいました。」
唐突すぎる彼女──ルキナの告白に対し煉華の聴覚が拒否反応を起こした。
…え?今、この人なんて言った?
「ちょ、ちょっと待ってください!俺って死んじゃったんですか?」
「残念ですが……」
ルキナが目を伏せ悲しそうな表情をして答える。
いやーそんな顔も素敵だ!と、自分が死んだ事などそっちのけ状態の煉華だが鼻血の出てくる鼻を押さえながらこの展開はもしや…と思い話の続きを促す。
「そ、そうなんですか。ちなみに死因は何だったんですか?(鼻声)」
「ショック死です。」
またもや煉華の聴覚が拒否反応を起こす。どうやらルキナの女神ックパワーによって煉華の五感は上手く稼働しなくなったらしい。
「……あのうもう一回言ってくれませんか?」
「ショック死です。」
どうやら、煉華の聞き間違いではなく本当に死因はショック死らしい。机の光を見てから記憶がないんだがいったい何があったんだ俺よ...と思う煉華だがいくら考えても思い出せないので話の続きを促す。
「い、一体どういった経緯で?」
「本当に聞きたいですか?」
「え?あ...は、はい。」
「では説明しましょう。こちらを見てください。」
いつの間にか用意されていたホワイトボードに煉華の最期が書いてあった。そしてどこから取り出したのかルキナが眼鏡を装着し伸ばし棒を使って説明し始めた。
(似合ってるなぁ...てか何付けても似合いそうだなぁ)
この男に話を聞く気があるのかはこの際置いておこう。
「順を追って説明すると、まずあの謎の光を見たレンカさんがあまりの光の強さに失明してしまいます。その時に「あぁぁ、目がぁ、目がぁ~~~あああああああ~~~~」と叫びました。」
……覚えてないし……
「失明したまま後退したレンカさんが踵を足元の物に引っ掛けて転倒、この時に尻を強く打ったショックで死んでしまいました。」
恥ずかしくて顔を上げられなくなってしまった煉華にルキナが声を掛ける。
「あの...で、ですねレンカさんは不幸にも若くして死んでしまったので特別措置として今までいた世界とは別の世界で生活する...いわゆる異世界転移というものですね。それとまた同じ世界で違う人生を歩む、という二つの選択肢を選択できるようになりました。で、もし異世界転移をすることを選んだ時の注意事項なのですが「異世界転移で!」ッ早いですね!」
興奮して叫んだ煉華は若干引き気味のルキナに少し傷つくも興奮の方が勝ったのか勢いを増してしゃべり始めた。
「異世界転移ってあれですよねッ!あのースライムとかドラゴンとかッ!あとーそうそうチートなスキルとか沢山もらってハーレムしたりチヤホヤとかされるようになっちゃうんですよねッ!いやーラノベだったら何度も読んだことがあるんですけど、いーなーとか俺も行ってみたいとかズ~っと考えてたんですけどッ!でもそんなことなんて実際に起こるはずもねーしなァーとか思ってて!でも心の端っことかでもしかしたらとかちょっと考えてたりもしてたんですけどい~や~まさかホントにこーいうことって起こるんだなァ~っていまちょっとカンドーしてます!」
頬が引きつりながらも相槌を打ってくれているルキナは流石は女神というべきか。
「あ、あの一応異世界転移以外にも選択肢はあるんですけどどうしますか?」
「異世界一択で。」
「やっぱり早くないですか!?もっと考えてもいいような気がしますけど……」
「漢ってものは何でも決断が早いものなんです。」
折角念願の異世界転移ができるとなったらこれを逃がす手はないと考える煉華に対しルキナが最終確認を行った。
「ではホントに異世界転移でいいんですね?」
「はい!ぜひそれで!あ、あと異能力とかってもらえたりするんですか?」
「もちろんもらえますよ。人によって得られる数や能力の種類は変わりますけど。そこに立ってもらえますか?」
「じゃあよろしくお願いします。」
「では能力を付与します。女神の祝福」
ルキナが目を閉じ煉華に向かって手を出すと煉華の身体が淡く光り始めた。と、思ったらすぐに消える。次にルキナが目を開くとその目は驚愕の色に変わった。
「え!?レンカさん...あなたいったい何者なんですか?」
「…え?」
「…スキルがこんなに沢山...しかも能力は一人一つのはず...そうかこれのせいで...」
何のことだろうと思ってルキナの独り言を聞いているが何も理解出来ない。だが煉華の今までの経験が何かを察知した。
もしかして、無双できちゃう?俺異世界で無双できちゃう?
そんな事を一人妄想をしていると──
「レンカさん」
声が聞こえてきた。
ハッと我に返ると気を取り直したのか、ルキナが真剣な表情をして煉華を見ていた。その表情のまま煉華にこう頼んできた。
「あなたに魔王の討伐をお願いしたいのですが。」
天空の●ピュタ ム●カ大佐 でしたァ~