夕暮れの公園で
アフタヌーン・ティーセットをいただいたあと、夕暮れの公園で……。
アフタヌーン・ティーセットをいただいた後、特に行くあてもなく歩いていた。
「これからどうする? どこか行きたいところとかある?」
「いえ、別に」
「じゃあ、外を歩こうか」
「はい」
しばらく歩いて、都会のオアシスと呼ぶに相応しい大きな公園にさしかかった。
夕暮れの公園、前を歩く川崎さんがベンチの前まで行って、クルッと振り返り何か言いたそうにしている。
「あ、あの。山口さん」
「は、はい」
川崎さんの真面目な面持ちに緊張がはしる。
「僕と正式にお付き合いしてもらえませんか?」
「え、でも」
「初めてお会いしたときから、山口さんのことが好きになりました」
ドキン
彼は続ける。
「今まで一目惚れなんてないって思っていたのですが、間違っていました」
ああ、どうしよう。そう言われてもまだ”友達の友達の友達”から”友達の友達”になったくらいの距離感。
ちょっと気になる存在だけど”友達の友達”。まだ……。
「話せば話すほど、会えば会うほどに好きになっていく自分に気付きます」
もちろん好意がなければ2人で出かけたりはしない。でもまだそんな関係には、恋人にはなれない。かといってキッパリと断る気にもなれない。
「ありがとうございます。でもまだそんな……」
一呼吸おいて落胆した様子で苦笑いの川崎さん。
「……そうですか。そうですよね」
「すみません」
「いえ、僕のほうこそすみません。なんか先走っちゃって。このままモヤモヤしているより、ちゃんと自分の気持ちを伝えたかったので。困らせちゃったみたいで、なんかすみません」
「あ、謝らないで下さい。川崎さんのお気持ちは嬉しいです。ただ、もう少しお時間をいただきたいなと。まずはお友達からということではダメですか?」
「え、あ、はい。それで充分です。まずは友達ですね。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
2人してお辞儀をして顔を見合わせ大笑いした。
「じゃあ、とりあえず、敬語はなしにしませんか? って僕も敬語を使っちゃってますが、友達ならもっとフランクに話せるといいかな」
「でも、川崎さんは3つも年上ですし、やっぱり……」
「そんなの関係ないよ」
「そうですね、友達ですもんね。じゃあそうします」
「あ、まだ敬語つかってる」
「あ、(笑)急にはムリみたいですね」
「ゆっくりでいいよ、ゆっくりで」
ああ、何故か優しさに包まれてゆく……。でもまだ友達。
やっと友達……。
お読み下さりありがとうございました。
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