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優しさのゆくえ  作者: 藤乃 澄乃
序章 はじまりの予感
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学祭

いよいよ大学祭当日。

 今日はいよいよ大学祭に行く日だ。ちょっとだけおめかしして駅に向かった。

 10時にターミナルのコンコースで集合ということだけど、10分前には全員揃った。

 いや、行けるメンバーは全員揃った。1人ドタキャンするなんて。しかも理由が「彼とのデートが急に決まったから」だという。じゃあどうして合コンに参加したの? なんてゆっくり話していると電車に乗り遅れてしまう。急いでホームに向かった。

 

 時刻表を見ると日曜のこの時間帯、待ち時間も長く快速もない。ゆっくりゆっくり各駅に停車していく。それでも女子は話が尽きない。今日会うメンバーの誰がカッコイイとか、優しそう、タイプだとか、絶対にあり得ない……なんて好き放題に言い放題。1時間なんてあっという間だ。


 ようやく大学の最寄りの駅に着いた。改札を出たところで相手の学生5人が整列している。お互いよそ行きの顔と声を作って挨拶を交わした。

 そこから大学までの15分間、なあんとなく男子と女子に別れて歩いて行く。


 いよいよ校門の前に到着した。

 キャンパスを案内してくれるということなので、9人でぞろぞろと歩いて行く。初めはぎこちなかったメンバーも、徐々に会話が弾むようになってきた。

 彼等の大学は男女共学で、田舎にあるだけあって敷地も大きく、植木や花壇には色とりどりの花が植えられていて、綺麗に手入れされている。

 中でもバラ園に咲きそろっている”秋バラ”の美しさには、つい見とれてしまう。この時期のバラは春のバラに比べて、花の色が鮮やかなうえ香りが強いのが特徴である、とかなんとか言う説明を聞きながらバラを眺めていた。ふと、『バラの花言葉ってなんだっけ?』なんて思っていると誰かが隣にやってきた。


「バラの花言葉はね、全般には『愛』や『美』なんですよ」

「へぇ、そうなんですか」

 顔を上げると川崎さんが微笑んでいる。


「先日はいきなり電話をかけてしまって、すみませんでした。我ながら大胆な行動だったと、電話を切った後に恥ずかしくなってしまいました」

「そうですね、結構大胆ですね」

「すみません」

 必死に謝る姿に微笑ましささえ感じる。


「もういいですよ(笑)それより、バラの花言葉って、色によって違うって聞いたことあるんですけど」

「そうですよ、色や本数、またつぼみや満開かによっても意味が変わってくるんですよ。だから、プレゼントするときなんかは気をつけないと、相手が花言葉に詳しい人なら、変に誤解されてしまう場合もあるかもしれませんね」

「そうですね。今まであまり気にしたことがなかったですけど、そういうことを知れば面白いですね」


 川崎さんって花が好きなんだな。きっと優しい人なんだと思った。それに3才年下の私にもちゃんと敬語を使ってくれている。他の人はいつの間にか友達風に喋っているのに。

 もう少し話してみたいと思った。



お読み下さりありがとうございます。


次話は「帰路」です。


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