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優しさのゆくえ  作者: 藤乃 澄乃
優しさのゆくえ
30/36

もやもやしてる

「どっか行きたい店とかある?」

「んー、特にないけど。落ち着いて話せる場所ならどこでも」

「オーケー、じゃ、この間の店でいいよな。お前気に入ってたし」

「うん。あのお店大好き!」


 すんなりと行き先も決まって歩き出した。




 お店に入ると……やっぱりかわいい。

 このお店大好き!


 かわいいものだらけで、またいつかのように見とれていると、鶴の一声。

「早く座れば?」

「はいはい、座ります」


 笑いながら席に着いた2人。

 その場の雰囲気からつい余計なことを聞いてしまう。

「デートどうだった?」

「え、あ、絶好調!」

 笑いながら答えているが明らかにおかしい。圭太が私のことを解るように、私だって圭太のことは解る。

 だって、幼馴染みだもん。


「どうしたの、なんかあった?」

「俺のことはいいからさ、お前、なんか話しあったんだろ?」

「うん、圭太が話してくれたら私も話す」

「なんだよ、それ。いいから話してみ」

「ダメ。いつも私が悩んでる時は圭太が話を聞いて、助言をしてくれたり励ましてくれてる。だから私も圭太の力になりたいの。もっと頼ってほしいのよ」

「いやいや、俺は大丈夫だからさ。桜花の場合は悩んでる時って、全身からオーラが消えてる感ハンパねえからさ、なんかほっとけなくって」


 うーん、圭太の方が大人かも。私はまだまだダメだなぁ。


 チョコレートケーキとコーヒーを注文して、私は今日の出来事と、自分の想い全てを正直に話した。

 なぜだか、圭太の前では素直になれる。素直な自分になれる。


 圭太は時々相づちを打ちながら、ちゃんと最後まで聞いてくれた。

 最後に圭太に聞きたかったことも思いきって一番聞きたかったことを聞いてみた。川崎さんとどんな話をしたのかって。


 圭太が言うには、あの状況を圭太が問いただしたら、るうちゃんが私の友達だから気を使ったことと、私のことを大事に想っているから、その証に指輪を渡して仲直りをするつもりだって返答があって、川崎さんの真剣な面持ちに信用できると思ったということだ。


 それでも私が浮かない顔をしていると、また圭太の鋭い言葉が聞こえた。

 

「そんなに信用できないんなら別れちゃえば? ムリして付き合うことないじゃん」

 もっともだ。

「信用していない訳じゃないんだけど」

「じゃ、どうして素直に喜べないんだ?」

「嬉しいよ。素直に嬉しい。でもそういうんじゃないんだな」

「じゃ、なんなんだ」


 圭太の少し強めの口調に少しムッとして、またいらぬことを言ってしまう。

「なんなんだって言われても、解らないから悩んでるんじゃん。

 やっぱ、圭太は男子だから乙女心が解らないんだよ」

「人を好きになるのに男も女もねえだろ。男だから解んないってなんだよ」


 ごもっともな意見。相変わらず圭太は大人だ。


「話してみろよ」

 今度は優しく促されてつい弱音を吐いてしまう。

「解らないのよ」

「何が」

「それが解らないの。もやもやしてるのよ、ここの奥の方が」

「心の奥ってことか?」

「そう」


 ふう、とため息をついて圭太はいぶかしげに腕組みをした。




お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします。

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