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優しさのゆくえ  作者: 藤乃 澄乃
優しさのゆくえ 『そして……』
22/36

ままならない

思うようにはいかないものですね。

 え……。


 どうして……どうして……。


 目に入ってきた光景に私はただ立ちすくんだ。


 改札の中で川崎さんと楽しそうに話しているのは、紛れもないるうちゃんだ。状況が上手く飲み込めない私はひどく動揺してしまった。

 大きな駅なので、気づかぬふりをしてそのまま他の改札から入って帰ってしまおうか。

 それとも向こうが気づくまで待っている? いや待てよ。私は別に悪いことをした訳ではないのに、何も遠慮をすることはない。堂々として正面から行けばいいのだ。


 そう気を取り直して、正面の改札から入って2人に話しかけた。


「川崎さん、お待たせ、早かったんだね。あれ、るうちゃん今日はどうしたの?」

「ああ、桜花。ここで待っていたら偶然関口さんと会ってね」

「そうなの、学祭以来だから1ヶ月ぶりくらいかな。今からデートだって? 私もお邪魔しちゃおっかな」

「えっ」

「ねえ、川崎さん、いいでしょ?」

 

 関口瑠奈、恐るべし。

 なんと大胆な! そしてなんと厚かましい!

 仲直りのデート、川崎さんは断ってくれるよね!


「んー、そうだな。人数は多い方が楽しいし、関口さんは桜花の友達だし、僕はいいよ」

「川崎さん、関口さんじゃなく、”るう”って呼んでくださいよ。みんなそう呼んでくれます。ね、桜花」

「え、う、うん」

「じゃあ、るうちゃん、桜花、行こうか」


 そう言って歩き出した川崎さん。3人でどこ行くの? それに私達っていつの間に仲直り? 前を歩く2人の後からついて行く私。なんだかおかしいよね。なんて心の声を口に出すこともできず、ただもやもやが募っていく。このままでいいのか! 桜花、頑張れ!


 自分に言い聞かせてなんとか2人の間に割って入った。

「もう、2人とも歩くの速いよ」

「ああ、ごめんごめん。桜花、どこ行こっか」

「あのターミナルに新しくパンケーキのお店がオープンしたから、そこに行こうよ!」

 るうちゃん、あなたに聞いてないよ。なに勝手に答えてるのよ。しかも私達のデートなんだから!


「パンケーキか、美味しそうだね。桜花、そこに行ってみようか」

「わあ、川崎さん早く行きましょう」

 そう言って彼女は川崎さんの腕を引っ張ってさっさと行ってしまった。

 あの、るうちゃん、川崎さんは私に聞いているんですけど。


 それにしても、るうちゃんってあんな性格だったっけ? もっと人を思いやれる子だと思ってた。

 だから、私が川崎さんと付き合いだしてから、るうちゃんの川崎さんに対する気持ちを知った時、凄く心配したのに。今朝の学校でのことといい、こんなに露骨に嫌がらせをするような子には思えなかったのに。

 私が見誤っていたのかな……。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします。

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