明日になったら
メールなんかじゃなく、すぐに電話してほしかったな……。
メールなんかでなく、そう思ったのならその場で、後でそう思ったのならその時すぐに電話してほしい。
……なんていうのは、私のワガママなのだろうか。
そんなことをいろいろと考えながら、私は敢えてメールで返信した。
『川崎さん、メールありがとうございます。私の方こそすみませんでした。川崎さんのことをもっと信用すべきでした。私ももう一度お会いしたいです』 ――送信
スマホをカバンに戻し、家へと急いだ。
夜になって休む前にメールの確認をしたら、川崎さんから1件……。
明日授業が終わったら私の大学近くの駅で待ってるって。OKと返信したけど。
……やっぱりメールなんだ。やっぱり。
だからといって川崎さんのことが嫌いなわけでも、嫌なわけでもない。寧ろ好き。
でも、このもやもやはどうしたらいいんだろうか。
とにかく明日、明日考えよう。
「おはよう!」
「あ、おはよう」
次の日大学に行くと、何だかみんなの様子がおかしい。
私を見て挨拶はするけど、なにかヒソヒソと話をしている。なんか感じ悪い。
ま、いいかと気にしないことにして席についた。
「あ、桜花おはよう」
「おはよう」
ともちゃんが言うには、るうちゃんが私についてありもしない噂を流しているらしい。
本当は川崎さんと付き合うのはるうちゃんのはずだったのに、私が横入りして奪った……みたいな。
はあー、もういい加減にしてほしい。ともちゃんが否定してくれたらしいけど、みんな半信半疑って感じかな。……かといって私がいちいち否定して回るのもおかしな話だし、この件についてはスルーすることにした。私の性格を知ってくれている子はそんな噂信じないだろうし、その子達が解ってくれていればいいと思ったからだ。
案の定帰る頃にはみんなそんなことはすっかり忘れている。お年頃の女子は常に新しい情報に飛びつく。あの子がどうとかこの子がどうとか。そういうとこ、きっとおばさまになっても変わらないのだろうな。
そんなことより、今私に大事なのは帰りの待ち合わせ。
どんな顔をして会う? すまなさそうに俯いて? それとも何事もなかったかのように普通にニッコリ笑う?
川崎さんの方こそどんな顔で待っているのだろう。
ケンカした後に言葉も交わさないまま待ち合わせをして、一体どんな顔をして会いに行けばいいの……。
そんなことを考えながら駅に着いた。
え……。
どうして……どうして……。
目に入ってきた光景に私はただ立ち竦んだ。
お読み下さりありがとうございました。
次話もよろしくお願いします。




