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優しさのゆくえ  作者: 藤乃 澄乃
優しさのゆくえ 『そして……』
21/36

明日になったら

メールなんかじゃなく、すぐに電話してほしかったな……。

 メールなんかでなく、そう思ったのならその場で、後でそう思ったのならその時すぐに電話してほしい。

 ……なんていうのは、私のワガママなのだろうか。


 そんなことをいろいろと考えながら、私は敢えてメールで返信した。


『川崎さん、メールありがとうございます。私の方こそすみませんでした。川崎さんのことをもっと信用すべきでした。私ももう一度お会いしたいです』 ――送信


 スマホをカバンに戻し、家へと急いだ。





 夜になって休む前にメールの確認をしたら、川崎さんから1件……。

 明日授業が終わったら私の大学近くの駅で待ってるって。OKと返信したけど。

 ……やっぱりメールなんだ。やっぱり。


 だからといって川崎さんのことが嫌いなわけでも、嫌なわけでもない。寧ろ好き。

 でも、このもやもやはどうしたらいいんだろうか。

 とにかく明日、明日考えよう。






「おはよう!」

「あ、おはよう」

 次の日大学に行くと、何だかみんなの様子がおかしい。

 私を見て挨拶はするけど、なにかヒソヒソと話をしている。なんか感じ悪い。

 ま、いいかと気にしないことにして席についた。


「あ、桜花さくらおはよう」

「おはよう」

 ともちゃんが言うには、るうちゃんが私についてありもしない噂を流しているらしい。

 本当は川崎さんと付き合うのはるうちゃんのはずだったのに、私が横入りして奪った……みたいな。


 はあー、もういい加減にしてほしい。ともちゃんが否定してくれたらしいけど、みんな半信半疑って感じかな。……かといって私がいちいち否定して回るのもおかしな話だし、この件についてはスルーすることにした。私の性格を知ってくれている子はそんな噂信じないだろうし、その子達が解ってくれていればいいと思ったからだ。


 案の定帰る頃にはみんなそんなことはすっかり忘れている。お年頃の女子は常に新しい情報に飛びつく。あの子がどうとかこの子がどうとか。そういうとこ、きっとおばさまになっても変わらないのだろうな。

 

 そんなことより、今私に大事なのは帰りの待ち合わせ。

 どんな顔をして会う? すまなさそうに俯いて? それとも何事もなかったかのように普通にニッコリ笑う? 

 川崎さんの方こそどんな顔で待っているのだろう。


 ケンカした後に言葉も交わさないまま待ち合わせをして、一体どんな顔をして会いに行けばいいの……。


 そんなことを考えながら駅に着いた。


 え……。


 どうして……どうして……。


 目に入ってきた光景に私はただ立ちすくんだ。




お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします。

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